Q. 登記費用とは?
A. 登記費用とは、土地や建物の所有者を法的に記録し、住宅ローンの担保を設定するための費用です。
新築住宅では、一般的に30万円から60万円程度が目安です。
土地の購入、分筆・合筆、住所変更、相続、既存建物の解体などがある場合は、60万円を超えることもあります。
重要なのは、登記費用が単なる「司法書士への手数料」ではないことです。
登記費用には、国へ納める税金、司法書士や土地家屋調査士への報酬、証明書の取得費用などが含まれます。
新築時に必要になる主な登記
注文住宅では、状況に応じて次の登記が必要です。
| 登記の種類 | 内容 | 主な担当者 |
|---|---|---|
| 土地の所有権移転登記 | 購入した土地の名義を買主へ変更 | 司法書士 |
| 建物表題登記 | 建物の所在地、構造、床面積などを登録 | 土地家屋調査士 |
| 所有権保存登記 | 新築建物の所有者を登録 | 司法書士 |
| 抵当権設定登記 | 金融機関が土地・建物に担保を設定 | 司法書士 |
| 建物滅失登記 | 解体した建物の登記を消す | 土地家屋調査士 |
| 住所変更登記 | 登記上の住所を現在の住所へ変更 | 司法書士または本人 |
すべての人に同じ登記が必要になるわけではありません。
自分の土地に現金で家を建てる場合と、土地を購入して住宅ローンを利用する場合では、登記の種類も費用も変わります。
登記費用の内訳
登記費用は、大きく3つに分かれます。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 登録免許税 | 登記するときに国へ納める税金 |
| 専門家報酬 | 司法書士・土地家屋調査士への報酬 |
| 実費 | 住民票、評価証明書、登記事項証明書、郵送費など |
日本司法書士会連合会も、不動産登記には「登録免許税」と「司法書士報酬」が必要と説明しています。詳しくは日本司法書士会連合会の案内で確認できます。
専門家に依頼せず、自分で申請できる登記もあります。しかし、住宅ローンを利用する場合は、金融機関が指定または承認した司法書士への依頼を求めることが一般的です。
新築住宅の登記費用はいくら?
土地をすでに所有し、住宅ローンで建物を新築する場合の概算です。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 建物表題登記 | 8万円~12万円 |
| 所有権保存登記 | 2万円~5万円+登録免許税 |
| 抵当権設定登記 | 3万円~7万円+登録免許税 |
| 証明書・交通費など | 1万円~3万円 |
| 合計 | 約20万円~40万円 |
土地を購入して家を建てる場合は、土地の所有権移転登記が加わります。
| 条件 | 登記費用の概算 |
|---|---|
| 所有地に現金で新築 | 15万円~30万円 |
| 所有地に住宅ローンで新築 | 20万円~40万円 |
| 土地を購入して住宅ローンで新築 | 30万円~60万円 |
| 分筆・相続・滅失登記なども必要 | 50万円~80万円以上の場合あり |
実際の金額は、不動産の評価額、借入額、土地の筆数、建物数、登記内容、依頼先によって変わります。上記は資金計画を作るための概算です。
建物表題登記とは?
建物表題登記とは、新築した建物の基本情報を法務局に登録する手続きです。
主に次の情報を登録します。
- 建物の所在地
- 家屋番号
- 建物の種類
- 木造などの構造
- 階数
- 床面積
担当する専門家は司法書士ではなく、原則として土地家屋調査士です。
建物完成後に現地調査や図面作成を行うため、費用は一般的に8万円から12万円程度が目安となります。建物の形状や附属建物の有無などによって増減します。
所有権保存登記とは?
所有権保存登記とは、新築建物が誰のものなのかを登録する手続きです。
建物表題登記には建物の物理的な情報が記録されますが、所有権保存登記をすることで、権利に関する登記が作られます。
新築住宅の登録免許税は本則では建物価額の0.4%ですが、一定の要件を満たす自己居住用住宅は0.15%へ軽減されます。認定長期優良住宅などは、さらに軽減される場合があります。
国土交通省によると、住宅用家屋の軽減措置は2027年3月31日までが適用期限とされています。詳しくは国土交通省の登録免許税特例案内をご確認ください。
抵当権設定登記とは?
住宅ローンを借りると、金融機関は土地や建物に抵当権を設定します。
抵当権とは、住宅ローンを長期間返済できなくなった場合に、金融機関が土地や建物から優先的に返済を受けるための権利です。
抵当権設定登記の登録免許税は、原則として借入額の0.4%です。一定の住宅要件を満たして軽減措置を利用できれば、借入額の0.1%になります。
借入額3,000万円の場合で比較します。
| 税率 | 登録免許税 |
|---|---|
| 本則0.4% | 12万円 |
| 軽減0.1% | 3万円 |
差額は9万円です。
軽減措置を受けるには、住宅用家屋証明書などの必要書類をそろえる必要があります。税率や適用条件は国税庁の登録免許税税額表で確認できます。
土地購入時の登記費用
土地を購入すると、売主から買主へ名義を変更する所有権移転登記が必要です。
土地の登録免許税は、購入価格ではなく、原則として固定資産税評価額を基に計算します。
そのため、1,500万円で買った土地の登録免許税が、必ず1,500万円を基準に計算されるわけではありません。
さらに、住宅ローンの融資条件によっては、土地購入時と建物完成時の2回に分けて司法書士が手続きを行います。決済が複数回になれば、その分だけ報酬や実費が増えることがあります。
建て替えでは追加登記に注意
建て替えでは、新築だけにはない登記が発生する場合があります。
| 確認項目 | 必要になる可能性がある登記 |
|---|---|
| 古い建物を解体した | 建物滅失登記 |
| 土地の所有者が亡くなっている | 相続登記 |
| 登記名義人の住所が古い | 住所変更登記 |
| 土地を分けて建てる | 分筆登記 |
| 複数の土地をまとめる | 合筆登記 |
| 未登記建物が残っている | 表題登記・滅失手続など |
| 土地の境界が不明確 | 境界確認・測量など |
特に危険なのが、亡くなった親や祖父母の名義のままになっている土地です。
相続人が複数いると、相続関係の確認、戸籍収集、遺産分割協議などが必要になり、費用だけでなく時間もかかります。
建築計画を始める前に、土地と建物の登記事項証明書を取得し、所有者と住所を確認してください。
「登記費用一式」は内訳を確認する
住宅会社の資金計画書に「登記費用一式40万円」とだけ書かれていたら、次の内容を確認しましょう。
- 土地の所有権移転登記は含まれるか
- 建物表題登記は含まれるか
- 所有権保存登記は含まれるか
- 抵当権設定登記は含まれるか
- 登録免許税を含む金額か
- 司法書士報酬を含むか
- 土地家屋調査士報酬を含むか
- 住宅用家屋証明書の取得費用を含むか
- 住所変更登記や滅失登記は別途か
- つなぎ融資に関する登記費用は含まれるか
「一式」や「概算」だけでは、契約後に費用が増える可能性があります。
登記費用は建物価格に含まれないことが多いため、最初から住宅取得総額へ入れておく必要があります。
登記名義の決め方にも注意
土地や建物を夫婦共有名義にする場合、実際に負担した資金割合と登記持分を合わせることが基本です。
たとえば夫が全額負担したのに、建物を夫婦2分の1ずつで登記すると、夫から妻への贈与と判断される可能性があります。
逆に、妻が頭金を出したのに夫単独名義にすると、妻から夫への贈与が問題になることもあります。
共有名義にするときは、次の金額を整理します。
- 夫が出す自己資金
- 妻が出す自己資金
- 夫の住宅ローン借入額
- 妻の住宅ローン借入額
- 親からの資金援助
- 土地を取得したときの負担割合
契約直前に持分を決めるのではなく、資金計画の段階で司法書士や税理士へ確認してください。
登記費用を安くする方法
登記費用は、単純な値引きだけで考えないことが大切です。
- 住宅用家屋証明書を取得し軽減措置を確認する
- 長期優良住宅などの特例を確認する
- 不要な分筆や合筆を避ける
- 建築前に相続・住所変更を整理する
- 司法書士と土地家屋調査士の見積書を確認する
- 登録免許税と専門家報酬を分けて比較する
登録免許税は税金なので、司法書士を変更しても原則として安くなりません。
比較できるのは主に専門家報酬や実費ですが、住宅ローンでは金融機関指定の司法書士を利用する場合があります。
数万円を安くすることだけに集中し、融資実行や所有権移転でトラブルが起きては意味がありません。
俺流結論
登記費用は、家を自分の財産として法的に守るための必要経費です。
新築なら30万円から60万円程度を目安にし、土地購入、建て替え、相続、分筆がある場合は、さらに余裕を持たせます。
危険なのは、見積書に「登記費用別途」や「登記費用概算」とだけ書かれ、住宅取得総額に正しく入っていないことです。
建物価格が予算内でも、登記、住宅ローン費用、火災保険、外構、家具家電を加えれば、総額は大きく変わります。
家づくりは、建物価格ではなく、住み始めるまでに必要な総額で判断してください。










