Q. 老後破綻する人の共通点とは?
A. 老後破綻する人の共通点は、「年金額を知らない」「住宅ローンが残る」「退職金を使い切る」「修繕・医療・介護費を計算していない」ことです。
老後破綻は、収入が少ない人だけに起きる問題ではありません。
現役時代に年収が高かった家庭でも、生活水準を下げられず、住宅ローン、車、保険、子どもへの援助を続ければ、老後資金は減っていきます。
特に危険なのは、「今は払えているから大丈夫」という考え方です。
老後は収入が減っても、次の支出は続きます。
- 住宅ローン
- 固定資産税
- 火災・地震保険
- 外壁・屋根の修繕
- 給湯器やエアコンの交換
- 車の買い替え
- 医療費
- 介護費
- 生命保険料
- 子どもや孫への援助
老後破綻を防ぐには、65歳ではなく、90歳までの家計を確認する必要があります。
老後破綻する人の10の共通点
| 共通点 | 危険な理由 |
|---|---|
| 年金見込額を知らない | 老後の収入が確定していない |
| 70歳以降も住宅ローンが残る | 年金と返済が重なる |
| 退職金で完済する予定 | 老後の生活資金が減る |
| 現役時代の生活水準を維持する | 収入減に支出が対応できない |
| 修繕費を準備していない | 数百万円の支出に耐えられない |
| 車の買い替えを計算していない | 老後も高額支出が続く |
| 保険に入りすぎている | 固定費が下がらない |
| 子どもや孫への援助が多い | 自分たちの資産が減る |
| 夫婦2人分の年金だけで計算する | 1人になった後の収支が崩れる |
| 資産残高を90歳まで計算しない | 途中で現金が尽きる年齢が分からない |
1つだけなら対策できても、複数が重なると急速に資産が減ります。
年金見込額を確認していない
老後資金計画の出発点は、夫婦それぞれの年金見込額です。
厚生労働省が示す2026年度のモデル年金は、夫婦2人で月額23万7,279円です。
ただし、これは夫が平均的な賃金で40年間厚生年金へ加入し、配偶者が40年間専業主婦だった場合のモデルです。厚生労働省「公的年金のモデル年金」
実際の受給額は、次の条件によって変わります。
- 厚生年金への加入期間
- 現役時代の収入
- 自営業だった期間
- パート・非正規雇用だった期間
- 国民年金保険料の未納期間
- 年金の繰上げ・繰下げ
- 配偶者の働き方
「夫婦で月24万円くらいもらえるだろう」と考えず、ねんきん定期便やねんきんネットで確認します。
70歳を超えて住宅ローンが残る
住宅ローンの完済年齢が高い人ほど、老後破綻の危険が増します。
35年ローンを利用した場合です。
| 借入時年齢 | 完済年齢 |
|---|---|
| 30歳 | 65歳 |
| 35歳 | 70歳 |
| 40歳 | 75歳 |
| 45歳 | 80歳 |
| 50歳 | 85歳 |
45歳で35年ローンを組めば、完済は80歳です。
銀行が貸してくれても、80歳まで安全に返済できる保証はありません。
老後は収入が下がる一方、住宅ローン以外にも固定資産税、保険、修繕費が必要です。
私なら、70歳前後までの完済を一つの目標にします。
退職金で住宅ローンを完済する
退職金を住宅ローン返済に使うこと自体が悪いわけではありません。
危険なのは、老後の生活費を計算せず、退職金の大半を一括返済へ使うことです。
たとえば、退職金1,500万円、住宅ローン残高1,000万円の場合です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 退職金 | 1,500万円 |
| 住宅ローン完済 | 1,000万円 |
| 完済後に残るお金 | 500万円 |
65歳から90歳まで25年間生活するなら、500万円は月約1万7,000円です。
これでは、年金だけで不足する生活費、医療費、介護費、修繕費に十分対応できません。
退職金は、住宅ローンを返すためだけのお金ではありません。
年金生活でも毎月赤字になる
総務省統計局の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、可処分所得は月約22万2,000円、消費支出は月約26万4,000円でした。
平均でも、消費支出に対して毎月約4万2,000円不足しています。総務省統計局「2025年家計調査」
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 可処分所得 | 約22万2,000円 |
| 消費支出 | 約26万4,000円 |
| 毎月の不足 | 約4万2,000円 |
| 年間の不足 | 約51万円 |
毎月4万2,000円の不足が25年間続けば、単純計算で約1,270万円です。
住宅ローンが月8万円残っていれば、毎月の不足は約12万2,000円まで拡大します。
年間約146万円、10年間で約1,460万円です。
「年金で住宅ローンを払えばよい」と考える前に、生活費を差し引いた後にいくら残るかを確認してください。
現役時代の生活水準を下げられない
現役時代の手取り月収が45万円だった家庭が、年金生活で月23万円前後になれば、収入は大きく減ります。
しかし、生活水準は自動的には下がりません。
- 外食
- 旅行
- 高額な車
- 通信契約
- 保険料
- 趣味
- 交際費
- 子どもへの援助
これらを現役時代と同じように続ければ、毎月の赤字を預貯金で補うことになります。
最初は2万円、3万円の赤字でも、10年、20年と続けば大きな金額です。
老後破綻は、一度に数百万円を失うことで起きるとは限りません。毎月の小さな赤字が積み重なって起きます。
住宅修繕費を計算していない
新築時に住宅ローンだけを計算し、将来の修繕費を考えていない家庭は危険です。
| 修繕項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 給湯器・エコキュート交換 | 30万円~70万円 |
| エアコン交換 | 10万円~30万円以上 |
| 外壁塗装 | 80万円~150万円以上 |
| 屋根塗装 | 40万円~80万円 |
| 屋根カバー工法 | 100万円~180万円 |
| 屋根葺き替え | 150万円~300万円 |
| 水回り設備交換 | 数十万~数百万円 |
35歳で新築し、70歳で住宅ローンを完済する頃には、家は築35年です。
住宅ローンが終わる頃に、2回目の給湯器交換や外壁・屋根の再修繕が必要になる可能性があります。
修繕費を借金で払うことになれば、住宅ローンを完済しても家計の負担は終わりません。
車の買い替えを忘れている
山梨県では、老後も車が必要になる家庭があります。
65歳から85歳まで20年間で、10年ごとに夫婦の車を買い替える場合を考えます。
| 条件 | 金額 |
|---|---|
| 1台250万円 | 250万円 |
| 夫婦2台 | 500万円 |
| 20年間で2回買い替え | 1,000万円 |
購入費だけで1,000万円です。
さらに、自動車税、保険、車検、タイヤ、燃料、修理費がかかります。
住宅ローンだけを完済しても、車の買い替えをローンに頼れば、老後の借金はなくなりません。
保険料を払い続ける
現役時代に加入した生命保険、医療保険、個人年金、がん保険を、そのまま老後まで継続している家庭があります。
住宅購入時には団信へ加入するため、死亡保障が重複する可能性もあります。
月3万円の保険料を65歳から80歳まで15年間払い続けると、総額は540万円です。
| 毎月の保険料 | 15年間の総額 |
|---|---|
| 1万円 | 180万円 |
| 2万円 | 360万円 |
| 3万円 | 540万円 |
| 5万円 | 900万円 |
保障を減らせばよいという意味ではありません。
必要保障額、預貯金、公的保障、団信、子どもの独立状況を確認し、重複している保障を見直します。
子どもや孫へ援助しすぎる
子どもの住宅購入、結婚、車、孫の教育費などを援助する家庭があります。
援助すること自体が悪いわけではありません。
危険なのは、自分たちの介護費や生活費を残さずに援助することです。
たとえば、子ども2人へ300万円ずつ援助すれば、合計600万円です。
その後、親の老後資金が不足し、子どもが生活費や介護費を負担するなら、結果的に援助したお金を返してもらうことになります。
援助額は、90歳までの資産残高を確認してから決めます。
夫婦2人の年金だけで計算している
夫婦の一方が亡くなると、年金収入は単純に半分になるわけではありませんが、夫婦2人分のときより減る可能性があります。
一方で、生活費は半分にはなりません。
- 固定資産税
- 火災保険
- 光熱費の基本料金
- 通信費
- 車の維持費
- 住宅修繕費
これらは1人になっても残ります。
総務省統計局の2025年家計調査では、65歳以上の単身無職世帯で、可処分所得は月約11万8,000円、消費支出は月約14万8,000円でした。
平均でも毎月約3万円不足します。
夫婦2人の期間だけでなく、夫死亡後、妻死亡後の両方を試算する必要があります。
介護費を計算していない
介護は、いつから、何年続くかを正確には予測できません。
しかし、資金計画から除外してよい費用ではありません。
介護が始まると、次の支出が発生する可能性があります。
- 介護サービスの自己負担
- 紙おむつや介護用品
- 通院・送迎
- 住宅のバリアフリー改修
- 有料老人ホームなどの入居費
- 配偶者や子どもの交通費
- 家族の介護離職による収入減
住宅ローンと介護費が同時に発生すると、現金の減少が早くなります。
80歳まで住宅ローンが残る計画では、介護費との重複を必ず確認します。
高金利の借金を老後へ持ち越す
住宅ローン以外の借金も注意が必要です。
- カーローン
- リボ払い
- カードローン
- 教育ローン
- 投資用不動産ローン
- 事業借入
特にリボ払いやカードローンは、住宅ローンより金利が高い傾向があります。
住宅ローンを繰上返済する前に、高金利の借金を優先して整理する方が、利息負担を減らせる場合があります。
老後破綻の危険度チェック
次の項目に5つ以上該当する場合は、早めに資金計画を見直します。
- 年金見込額を確認していない
- 70歳以降も住宅ローンが残る
- 退職金額が確定していない
- 退職金の半分以上をローン返済へ使う
- 老後も車2台が必要
- 修繕積立をしていない
- 毎月の保険料が3万円を超える
- 子どもの教育費がまだ終わっていない
- 親の介護が始まる可能性がある
- 夫婦どちらかの死亡後を計算していない
- 預貯金と投資資産を正確に把握していない
- 90歳までの家計表を作っていない
- 毎月いくら使っているか分からない
- 老後も現役時代と同じ生活を続ける予定
- 物価上昇を考えていない
該当数が少なくても、住宅ローン残高や介護費が大きい場合は注意が必要です。
老後破綻を防ぐ7つの対策
1. 年金見込額を確認する
夫婦それぞれについて、65歳からの年金見込額を確認します。
繰上受給、通常受給、繰下受給の違いも比較します。
2. 住宅ローンを70歳前後で終わらせる
借入前なら住宅予算を下げます。
返済中なら、生活防衛資金を確保したうえで、期間短縮型の繰上返済や借換えを検討します。
3. 退職金を最初から返済に入れない
退職金を使わない状態で、90歳まで家計が持つか確認します。
そのうえで余裕がある分だけ、住宅ローン返済へ回します。
4. 修繕費を毎月積み立てる
戸建住宅なら、給湯器、エアコン、外壁、屋根などのために、月2万円程度を一つの目安として積み立てます。
家の仕様や修繕計画によって必要額は異なります。
5. 老後の車を減らす
夫婦2台から1台へ減らせる時期、公共交通やタクシーへ切り替える時期を考えます。
車両購入費だけでなく、年間維持費を含めて比較します。
6. 保険を見直す
子どもの独立後は、大きな死亡保障が不要になる場合があります。
団信、公的年金、預貯金、配偶者の収入を確認し、重複保障を整理します。
7. 90歳まで年単位で計算する
最低でも次の年齢を確認します。
| 年齢 | 主な確認事項 |
|---|---|
| 60歳 | 退職金・ローン残高 |
| 65歳 | 年金開始・再雇用終了 |
| 70歳 | 住宅ローン完済状況 |
| 75歳 | 車・修繕・医療費 |
| 80歳 | 介護費・夫婦どちらかの死亡 |
| 90歳 | 最終的な金融資産 |
90歳時点の残高だけでなく、途中で資産が最も少なくなる年齢も確認します。
住宅を建てる前に老後破綻を防ぐ
老後破綻対策は、60歳になってから始めるものではありません。
住宅予算を決める段階で、すでに始まっています。
私なら次の条件で住宅予算を決めます。
- 住宅ローン返済は手取り月収の20%前後
- 税金・保険・修繕を含む住居費は25%程度
- ボーナス払いなし
- 金利3%でも返済可能
- 世帯収入30%減でも一定期間耐えられる
- 住宅購入後も生活費6~12か月分を残す
- 教育費・車・修繕費の積立を継続する
- 70歳前後までに完済する
- 90歳まで資産が枯渇しない
銀行が4,000万円貸してくれても、老後資金が残らなければ借りすぎです。
俺流結論
老後破綻する人の共通点は、老後になってから突然お金がなくなることではありません。
現役時代に、住宅ローン、車、保険、教育費、生活水準を限界まで広げ、そのまま収入が減る老後へ入ってしまうことです。
特に危険なのは、70歳を超えて住宅ローンが残り、退職金で完済し、修繕費と介護費を準備していない計画です。
私なら、住宅ローンを70歳前後までに完済し、生活防衛資金、修繕費、医療・介護費を別に確保します。
家は老後を守る財産です。
しかし、住宅予算を間違えれば、家を守るために老後資金を失うことになります。
「今、返せるか」ではなく、「90歳まで資産がなくならないか」で住宅予算を決める。それが、老後破綻を防ぐ最も重要な対策です。










