家の前に私道がある場合、水道管の掘削や通行に関する「承諾書」は必要ですか?
A. 私道だから一律に承諾書が必要とは限りませんが、建て替え前に「通行・掘削・配管・工事車両」の権利を必ず確認してください。
普段から通行している道路でも、建て替え工事や水道管の掘削まで自由にできるとは限りません。
私道所有者との調整ができず、建物は設計できたのに、上下水道を引き込めない、工事車両が入れないという問題が起きることがあります。
最初に私道の所有者と持分を確認する
法務局で登記事項証明書や公図などを取得し、次の内容を確認します。
- 私道の所有者は誰か
- 単独所有か共有か
- 建築予定地の所有者が私道持分を持っているか
- 通行地役権などが登記されているか
- 所有者が死亡し、相続登記が止まっていないか
- 抵当権などが設定されていないか
私道持分があるからといって、工事車両の通行や掘削を無条件で行えるとは限りません。共有者や水道事業者との事前協議が必要になる場合があります。
通行と掘削は別の問題
人や自動車が通行できても、道路を掘って水道管や下水道管を設置できるとは限りません。
建て替えでは、次の工事が私道に影響します。
- 水道管の新設・口径変更
- 下水道管の接続
- ガス管の設置
- 電気・通信設備の引き込み
- 解体車両、クレーン車、生コン車の通行
- 私道舗装の撤去と復旧
既存住宅で水道を使えていても、新築時に引込管の口径や経路を変更する場合は、新たな掘削が必要になることがあります。
民法改正でライフライン設置のルールが明確になった
2023年4月施行の改正民法により、電気、ガス、水道などを利用するために必要な場合、一定の要件のもとで他人の土地へ設備を設置したり、他人の設備を使用したりできるルールが明確になりました。
ただし、自由に掘削できる制度ではありません。
- 原則として事前通知が必要
- 他人の土地への損害が最も少ない場所・方法を選ぶ
- 設置や使用に伴う費用を負担する
- 土地所有者に損害が生じれば補償が必要になる場合がある
そのため、法律上の権利が考えられる場合でも、無断工事は避け、私道所有者、水道事業者、自治体と協議するのが基本です。法務省「所有者不明土地等関係の民法改正」
承諾書へ入れたい内容
承諾書を取得する場合は、「通行を認める」だけでは不十分です。
次の内容を具体的に記載します。
- 日常的な人・自動車の通行
- 建て替え工事車両の通行
- 上下水道、ガス、電気、通信設備の設置
- 修理・交換時の再掘削
- 舗装の復旧方法
- 工事費と補修費の負担者
- 通行料や承諾料の有無
- 私道所有者が変更された場合の扱い
将来の売却や相続も考えるなら、承諾書だけで十分か、通行地役権などの登記が必要かを司法書士や弁護士へ確認してください。
建築基準法上の道路かも確認する
水道や通行の問題が解決しても、その私道が建築基準法上の道路として扱われなければ、建て替えできない可能性があります。
確認するのは次の点です。
- 建築基準法上の道路種別
- 敷地が道路へ2m以上接しているか
- セットバックが必要か
- 道路位置指定の範囲
- 現況幅員と登記上の境界
見た目が道路でも、建築基準法上の道路ではないケースがあります。住宅会社だけで判断せず、自治体の建築指導担当へ確認する必要があります。
追加費用も総額へ入れる
私道に関係する費用には、次のものがあります。
- 所有者調査と測量
- 承諾料
- 水道管延長・口径変更
- 私道掘削と舗装復旧
- 交通誘導員
- 小型車両による資材運搬
- 境界確認や地役権設定
敷地前に水道管が見えていても、自由に接続できるとは限りません。建築見積もりへ含まれているか確認しましょう。
デザインハウス甲府では、建物のプランを進める前に、道路種別、私道持分、上下水道の引込状況、工事車両の進入経路を確認します。
私道で最も危険なのは、「今まで普通に通っていたから建て替えも問題ない」という思い込みです。家の契約前に、建てられる権利だけでなく、工事できる権利まで確認してください。










