Q. 「厳選された優良住宅会社」は、誰が何を基準に選んでいる?
A. 多くの場合、住宅相談サービスの運営会社が独自の基準で選んでいます。ただし、「優良住宅会社」という言葉に全国共通の統一基準があるわけではありません。許可や実績だけを確認するのか、財務・設計・施工現場・苦情・引渡し後まで調べるのかで、「厳選」の信頼性は大きく変わります。
無料住宅相談会社のホームページや広告には、
「厳選された優良住宅会社だけをご紹介」
「厳しい基準を満たした会社を選定」
という言葉が使われることがあります。
家づくりを始めたばかりの人は、
「専門家が地域の住宅会社を調査し、安全な会社だけを選んでいる」
と受け取るでしょう。
しかし、誰が、何を、どこまで確認して優良と判断したのでしょうか。
この基準が公開されていなければ、「厳選」の中身は分かりません。
「優良住宅会社」は統一された称号ではない
一般的な広告表現として使われる「優良住宅会社」は、すべての相談会社が同じ基準で判定する統一称号ではありません。
相談サービスごとに、評価項目や合格基準が異なる可能性があります。
例えば、ある相談会社では、
- 建設業許可がある
- 一定の施工実績がある
- 提携契約へ同意する
- 広告掲載料を支払う
ことが登録条件かもしれません。
別の相談会社では、
- 財務内容を確認する
- 建築現場を確認する
- 住宅性能を数値で確認する
- 実際の施主へ聞き取りを行う
- 苦情やトラブルを調査する
ところまで審査するかもしれません。
どちらも「厳選された優良住宅会社」と表現できてしまう可能性があります。
誰が審査しているのか
最初に確認したいのは、審査する人です。
- 相談アドバイザー
- 営業担当者
- 編集担当者
- 会社の管理職
- 建築士
- 施工管理技士
- ファイナンシャルプランナー
- 外部の審査委員
- 経営・財務の専門家
住宅会社の説明を聞く能力と、設計図や施工現場を評価する能力は同じではありません。
営業経験が豊富でも、構造、防水、断熱、施工管理を技術的に判断できるとは限りません。
建築士資格があっても、住宅会社の財務状態や長期保証の履行能力まで評価できるとは限りません。
「専門家が選びました」と言われたら、その専門家の資格と実務経験を確認してください。
最低限確認すべき会社情報
住宅会社を紹介する前に、最低限、次の情報は確認する必要があります。
- 正式な法人名
- 所在地
- 代表者
- 設立年
- 建設業許可
- 宅地建物取引業免許
- 年間施工棟数
- 施工可能地域
- 保証制度
- 瑕疵保険または供託
- アフターサービス体制
- 過去の行政処分など
これらは、住宅会社として営業するための基本情報です。
しかし、許可があることと、設計・施工品質が高いことは同じではありません。
許可や会社概要を確認しただけで「優良」と判断するのは不十分です。
財務状態を確認しているか
住宅会社には、契約から完成まで多額のお金を預けます。
完成後も、保証やアフターサービスを継続してもらう必要があります。
そのため、次の内容も重要です。
- 売上
- 利益
- 自己資本
- 借入れ
- 支払状況
- 資金繰り
- 過去の赤字
- 急激な受注増
- 完成保証の有無
住宅性能が高くても、建築途中に倒産すれば家が完成しない可能性があります。
60年保証を掲げていても、会社が存続しなければ独自保証を履行できない可能性があります。
「優良住宅会社」と紹介するなら、設計・施工だけでなく経営の継続性も確認する必要があります。
住宅性能をどこまで確認しているか
高性能住宅と説明するなら、何を基準に判断したか確認してください。
- 耐震等級
- 構造計算方法
- 断熱等級
- UA値
- C値
- 気密測定の実施率
- 窓の仕様
- 換気方式
- 結露対策
- 日射取得・遮蔽
- 冷暖房計画
住宅会社がカタログへ書いた数字を、そのまま掲載しているだけかもしれません。
実際の設計図、計算書、測定結果まで確認しているのかで信頼性は変わります。
また、会社が高性能住宅を建てられることと、すべての住宅が同じ性能であることは別です。
標準仕様なのか、追加費用が必要なオプションなのかも確認してください。
建築現場を見ているか
住宅の品質は、カタログや完成写真だけでは判断できません。
本当に確認すべきなのは建築途中です。
- 基礎の配筋
- コンクリート
- 構造金物
- 防水処理
- 断熱材
- 気密処理
- 配管
- 現場の整理
- 工事写真
- 現場監督の管理
完成後は、壁や床の中に隠れて見えなくなる部分があります。
相談会社が「施工品質の高い会社」と評価するなら、実際の建築現場を何棟確認したのか聞いてください。
モデルハウスや完成住宅だけを見ても、施工中の品質管理は分かりません。
一棟だけ見れば判断できる?
住宅会社が年間50棟建てている場合、きれいに管理された一棟だけを見ても、会社全体の品質は判断できません。
確認したいのは、
- 複数現場を抜き打ちで確認したか
- 現場監督ごとの差を確認したか
- 協力業者が変わっても品質を保てるか
- 社内検査の記録があるか
- 不具合発生時の改善記録があるか
という点です。
住宅会社が案内した優良現場だけを見るのか、任意の建築現場も確認するのかで審査の価値は変わります。
実際の施主へ確認しているか
住宅会社の営業担当者から話を聞くだけでは、会社側の説明しか分かりません。
実際に建てた人へ、次の内容を確認することも重要です。
- 契約後に価格が増えたか
- 打合せ内容が守られたか
- 工期が遅れなかったか
- 不具合があったか
- 補修対応は早かったか
- 定期点検が行われたか
- 営業担当者の退職後も対応したか
- 保証対象外と言われたことはあるか
完成直後の満足度だけでなく、入居後3年、5年、10年の評価も必要です。
新築時には満足していても、不具合対応や有償メンテナンスで評価が変わることがあります。
苦情やトラブルも評価しているか
年間施工棟数が多ければ、一定数の不具合や苦情が発生する可能性があります。
重要なのは、苦情が一件もないことではありません。
- どのような問題が起きたか
- 住宅会社がどのように対応したか
- 再発防止を行ったか
- 補修費用を誰が負担したか
- 同じ問題が繰り返されていないか
を確認することです。
「苦情ゼロ」という自己申告だけでなく、相談会社が実際に紹介した顧客の契約後まで追跡しているかを聞いてください。
広告契約が選定条件に入っていないか
住宅会社が紹介候補になるために、広告掲載料や成約時費用の支払いが必要な場合があります。
この場合、選定基準には、
- 住宅会社としての品質基準
- 相談サービスとの提携条件
の両方が含まれます。
どれほど高品質な会社でも、提携条件へ同意しなければ紹介候補にならない可能性があります。
反対に、広告費を払えば自動的に「優良住宅会社」として掲載されるのであれば、厳選とは言いにくいでしょう。
相談会社へ、
広告費を支払えば掲載されるのか、それとは別に審査があるのか。
と確認してください。
審査基準を点数化できるか
本当に住宅会社を客観的に選ぶなら、評価項目と配点を決める方法があります。
例えば、次のような100点満点の評価です。
| 評価分野 | 配点例 |
|---|---|
| 法令・許可・経営状態 | 15点 |
| 構造・耐震・住宅性能 | 20点 |
| 現場管理・施工品質 | 25点 |
| 価格・見積りの透明性 | 15点 |
| 保証・アフターサービス | 10点 |
| 契約者満足度・苦情対応 | 15点 |
| 合計 | 100点 |
これは一つの例です。
重要なのは、広告担当者の印象ではなく、共通の評価基準で比較することです。
さらに、
- 何点以上で登録できるか
- 一項目でも重大問題があれば不合格か
- 何年ごとに再審査するか
まで決める必要があります。
住宅会社と一棟の住宅は別に評価する
優良住宅会社として登録されていても、建てる一棟の品質が自動的に保証されるわけではありません。
同じ会社でも、
- 営業担当者
- 設計担当者
- 現場監督
- 大工
- 協力業者
- 建築時期
- 土地条件
によって結果が変わる可能性があります。
会社選びだけで安心せず、実際の住宅について次を確認してください。
- 設計図
- 構造計算
- 断熱計算
- 見積書
- 仕様書
- 工事写真
- 検査記録
- 気密測定結果
- 完成検査
会社の評価と、個別住宅の品質確認は両方必要です。
登録後の再審査が重要
住宅会社の状態は変わります。
登録時に優良でも、
- 急激に受注が増える
- 熟練社員が退職する
- 現場監督が不足する
- 経営状態が悪化する
- アフター対応が遅れる
- 標準仕様が変わる
- 苦情が増える
可能性があります。
厳選しているなら、登録時だけでなく定期的な再審査が必要です。
少なくとも次の点を確認してください。
- 再審査の頻度
- 登録更新の条件
- 苦情発生時の調査
- 登録停止・取消し基準
- 過去に登録を取り消した実績
一度登録すれば自動的に掲載が続くなら、現在の品質を保証しているとは限りません。
紹介会社へ確認する10項目
「厳選された優良住宅会社」の中身を確認するため、次の質問をしてください。
- 誰が住宅会社を審査していますか
- 審査担当者の資格と実務経験は何ですか
- 選定基準と配点を公開していますか
- 財務状態を確認していますか
- 建築現場を何棟確認しましたか
- 実際の施主へ聞き取りをしましたか
- 苦情や施工トラブルも評価していますか
- 広告費の支払いと審査は別ですか
- 登録後は何年ごとに再審査しますか
- 登録取消しの基準と実績はありますか
これらへ具体的に答えられるほど、「厳選」の信頼性は高くなります。
注意したい回答
次のような回答だけの場合は、選定内容をさらに確認してください。
- 長年営業している会社です
- 地域で人気があります
- 担当者が信頼できます
- 多くのお客様が契約しています
- 高性能住宅を建てています
- 当社独自の基準を満たしています
- 詳しい審査内容は公開できません
これらは評価の一部にはなります。
しかし、財務、現場、契約後、苦情対応まで確認した証拠にはなりません。
最終結論
「厳選された優良住宅会社」は、一般的には住宅相談サービスの運営会社が独自基準で選びます。
だからこそ、確認すべきなのは「優良」という言葉ではありません。
- 誰が審査したのか
- どのような資格があるのか
- 何を確認したのか
- 現場まで見たのか
- 財務や苦情も調べたのか
- 広告費の支払いと審査を分けているか
- 定期的に再審査しているか
という具体的な審査内容です。
カタログ、会社案内、営業担当者への聞き取りだけで選んだ会社と、財務・現場・入居後まで確認した会社では、同じ「厳選」でも価値が違います。
無料住宅相談を利用するときは、こう質問してください。
「この住宅会社を優良と判断した資料と、合格基準を見せてもらえますか?」
優良という形容詞ではなく、選んだ証拠を見る。
それが、住宅会社紹介の信頼性を判断する方法です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










