Q. 紹介件数や成約率によって、住宅会社の扱いは変わる?
A. 変わる可能性があります。紹介後の面談率や成約率、対応速度などを管理している相談会社では、実績の良い住宅会社へ紹介が集中し、成約につながりにくい会社の紹介が減ることが考えられます。ただし、具体的な運用基準は相談会社ごとに異なります。
住宅会社を紹介するサービスも、事業として運営されています。
相談者を何社へ紹介したのか、そのうち何組が面談し、何組が契約したのかは、経営上の重要な数字です。
紹介会社が住宅会社から成約連動の広告費や紹介料を受け取る仕組みなら、紹介しただけでは売上になりません。
契約が成立して、初めてまとまった収益が発生します。
そのため、成約につながりやすい住宅会社が重視される可能性があります。
紹介会社が管理しやすい数字
紹介事業では、住宅会社ごとに次のような数字を管理できます。
- 紹介件数
- 初回面談の実施率
- 来場率
- 提案まで進んだ割合
- 見積り提出率
- 住宅ローン事前審査の通過率
- 契約率
- 契約までの日数
- 平均建築金額
- 一件当たりの紹介会社収益
- 紹介後の報告速度
- 相談者からの苦情や辞退件数
これらは業務改善に役立つ数字です。
対応が遅い住宅会社や、紹介した相談者を放置する住宅会社を把握することは、相談者を守る意味でも必要です。
問題は、その数字が住宅会社の品質評価と混同されることです。
成約率が高い会社と、良い家を建てる会社は、必ずしも同じではありません。
成約率が高い会社へ紹介が集まる仕組み
例えば、A社とB社へそれぞれ10組を紹介したと仮定します。
| 住宅会社 | 紹介件数 | 成約件数 | 成約率 | 1件当たりの報酬 | 紹介会社の売上 |
|---|---|---|---|---|---|
| A社 | 10組 | 5件 | 50% | 120万円 | 600万円 |
| B社 | 10組 | 1件 | 10% | 120万円 | 120万円 |
同じ10組を紹介しても、紹介会社の売上には480万円の差が生じます。
この結果が続けば、紹介会社がA社へ多くの相談者を送りたいと考えても不思議ではありません。
仮に翌期の紹介配分が、
- A社へ20組
- B社へ5組
へ変われば、A社にはさらに実績が蓄積されます。
一方、B社には紹介件数が減るため、実績を回復する機会も少なくなります。
このように、実績のある会社へ紹介が集中し、その実績によってさらに紹介が増える循環が生まれる可能性があります。
しかし、この数字だけではA社の建物がB社より優れているとは判断できません。
A社の営業力が強いだけかもしれませんし、契約を急がせている可能性もあります。反対に、B社は慎重に資金計画を確認し、無理な顧客には契約を勧めていないのかもしれません。
成約率が低い理由を確認しなければならない
成約率が低い住宅会社には、さまざまな理由が考えられます。
- 返済が厳しい相談者には契約を勧めない
- 住宅ローンの事前審査を慎重に行う
- 予算不足を曖昧にせず、正直に伝える
- 契約を急がせない
- 年間施工棟数を制限している
- 施工エリアを狭く設定している
- 高い性能基準を下げない
- 相談者の希望と会社の方針が合わなければ断る
- 紹介された相談者の予算や条件が合っていない
このような会社は、紹介会社から見ると成約効率が低く見えるかもしれません。
しかし、相談者の立場から見れば、無理な契約をさせない誠実な住宅会社である可能性があります。
逆に、成約率が高くても、その理由が必ずしも良いとは限りません。
- 契約を急がせる
- 最初の見積りを安く見せる
- 追加費用を契約後に出す
- 住宅ローンの借入額を増やす
- 今月限定などの値引きで決断を迫る
- 建物性能より営業力で契約を進める
成約率という数字だけでは、これらの違いを見分けられません。
「対応が良い」の意味にも注意が必要
紹介会社から高く評価される「対応の良い住宅会社」とは、相談者に対して誠実な会社だけを指すとは限りません。
紹介会社にとって対応しやすい会社には、次のような特徴があります。
- 紹介後すぐ相談者へ連絡する
- 面談結果を速やかに報告する
- 商談状況を定期的に共有する
- 契約予定日を明確に伝える
- 成約時の費用を速やかに支払う
- 紹介案件を優先して処理する
これらは円滑な運営のために必要なことです。
しかし、紹介会社への報告が速いことと、設計や施工が丁寧であることは別です。
営業部門が優秀でも、現場管理まで優秀とは限りません。
紹介サービス内の評価が高いというだけで、住宅性能や施工品質まで保証されたと考えないほうがよいでしょう。
住宅会社の平均契約額も扱いに影響する可能性がある
成約時の費用が建築金額に連動する場合、成約率だけでなく、平均契約額も紹介会社の収益へ影響します。
例えば、次の2社があったとします。
| 住宅会社 | 成約率 | 平均建築金額 | 報酬率 | 10組紹介した場合の想定収益 |
|---|---|---|---|---|
| A社 | 30% | 2,500万円 | 4% | 300万円 |
| B社 | 30% | 4,500万円 | 4% | 540万円 |
成約率が同じでも、B社を紹介したほうが、紹介会社の想定収益は240万円多くなります。
これだけでB社が優先されるとは断定できません。
しかし、紹介配分を決める人が各社の成約率、平均契約額、報酬額を把握しているなら、収益面の影響を完全に否定することは難しくなります。
紹介件数が多い会社ほど「人気」に見える
紹介件数が多い住宅会社は、相談者からも人気会社に見えます。
「多くのお客様が選んでいます」
「紹介実績が豊富です」
「成約件数の多い会社です」
こうした説明を受けると、相談者は安心しやすくなります。
しかし、最初から紹介件数の配分に差があれば、成約件数にも差が生まれます。
100組紹介された会社と10組しか紹介されていない会社を、成約件数だけで比較することはできません。
確認すべきなのは、件数だけではなく成約率です。
さらに、成約率だけでなく、
- 紹介された相談者の予算帯
- 土地の有無
- 住宅ローンの承認状況
- 建築希望地域
- 会社ごとの紹介件数
- 契約後の解約件数
- 追加費用や苦情の有無
まで見なければ、公平な比較にはなりません。
住宅会社の評価が下がると何が起きるのか
紹介会社の運用によっては、実績の低い住宅会社に次のような変化が起こる可能性があります。
- 紹介件数が減る
- 優先順位が下がる
- 紹介対象の地域や予算帯が限定される
- 改善を求められる
- 提携条件を見直される
- 掲載や提携が終了する
一定の品質を維持するために、問題のある住宅会社を除外することは必要です。
しかし、その評価が相談者の満足度や施工品質ではなく、成約率や売上だけに偏っていれば、中立な住宅会社選びとは言いにくくなります。
重要なのは、何を基準に扱いが変わるのかです。
本当に評価すべき住宅会社の数字
紹介会社が住宅会社を評価するなら、成約率だけでなく、次の項目も確認する必要があります。
- 契約後の追加費用
- 契約解除や解約の割合
- 施工中のトラブル
- 第三者検査の結果
- 完成後の不具合
- 定期点検の実施状況
- 断熱・気密・耐震性能
- 気密測定の実施率
- 保証条件と有償修繕の内容
- 顧客からの苦情と対応結果
- 住宅会社の経営状態
契約を取るまでの数字だけでは、住宅会社の本当の質は分かりません。
住宅は、契約して終わる商品ではありません。
完成後、何十年も暮らすものです。
契約率を重視するなら、同時に引渡し後の満足度や不具合率まで追跡しなければ、相談者本位の評価とは言えません。
無料相談で確認すべき質問
相談会社へは、次のように質問してください。
- 住宅会社ごとの紹介件数を管理していますか
- 成約率によって紹介件数は変わりますか
- 紹介順位を決める基準は何ですか
- 成約率以外に、どの項目を評価していますか
- 契約後の追加費用や苦情も確認していますか
- 施工品質を現場で確認していますか
- 年間施工棟数の少ない工務店も公平に評価していますか
- 成約を断った住宅会社は評価が下がりますか
- 住宅ローン否認も住宅会社の成約率へ含まれますか
- 今回紹介する会社は、なぜ紹介件数が多いのですか
特に重要なのは、「紹介件数が多い理由」を聞くことです。
建物の品質が評価された結果なのか、営業対応が速いからなのか、成約率が高いからなのか、報酬条件が良いからなのかによって意味が変わります。
結論
紹介件数や成約率によって、住宅会社の扱いが変わる可能性はあります。
事業として考えれば、成約につながらない住宅会社より、対応が速く、成約率が高い住宅会社へ紹介を増やすのは合理的です。
しかし、相談者にとって重要なのは、紹介会社の事業効率ではありません。
自分の予算を守り、必要な住宅性能を確保し、契約後も責任を持って家を建てる会社を選ぶことです。
成約率が高い会社は、契約させるのが上手な会社かもしれません。しかし、それだけで良い家を建てる会社とは判断できません。
紹介実績や成約件数だけに安心せず、その会社がどのような住宅を、どのような総額で、どのように施工しているのかを確認してください。
紹介会社の数字ではなく、完成した住宅と住んでいる人の結果を見ることが、後悔しない住宅会社選びにつながります。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










