残土処分費は、なぜ着工後に増えやすい?
A. 実際に掘ってみるまで、土の量・土質・地中の障害物が確定しないからです。さらに、掘り出した土は体積が増えるため、契約前の「予算取り」より高くなりやすい項目です。
残土処分費とは、基礎工事や配管工事などで掘り出した土のうち、敷地内で再利用できない土を運び出して処分する費用です。
注意したいのは、見積書にある土量と、実際に処分する土量が必ずしも同じではないことです。
掘り出した土は体積が増える
地面の中に締め固まっていた土は、掘り起こすと土粒子の間に空気が入り、体積が膨らみます。
土質によって異なりますが、地中で30㎥だった土が、掘削後には36~39㎥程度の運搬量になることもあります。
つまり、
図面上の掘削量=処分場へ運ぶ土量
ではありません。
この「土が膨らむ分」を見込まずに残土処分費を計算していると、着工後に処分量が増え、追加請求につながります。
残土処分費を増やす4つの要因
残土処分費は、主に次の計算で決まります。
処分する土量 × 処分単価+運搬費+重機費
着工後に、次のどれかが変わると金額も上がります。
1.掘削量が想定より多かった
基礎を予定より深くする、雨水処理設備を設置する、給排水管を長く掘るなど、工事内容によって土量は増えます。
地盤改良、擁壁、浄化槽、深基礎が必要になる土地では、特に増えやすくなります。
2.敷地内で再利用できなかった
掘った土は、すべて処分するわけではありません。建物周囲の埋め戻しや、外構の高さ調整に使える場合があります。
しかし、次のような土は再利用できないことがあります。
- 水分を多く含んだ泥状の土
- 粘りが強く、締め固めに向かない土
- 石や木の根が大量に混ざった土
- コンクリート片や瓦などが混入した土
- 敷地内に置いておく場所がない場合
「敷地内で20㎥使える」という前提が崩れると、その分だけ処分量が増えます。
3.地中から障害物が出てきた
古い建物があった土地では、掘ってみると次のようなものが出てくることがあります。
- 昔の基礎やコンクリート
- 古い浄化槽や井戸
- 瓦・レンガ・ブロック
- アスファルト
- 大きな石や木の根
- 過去に埋められた廃材
土だけなら通常の建設発生土として搬出できますが、廃材などが混じると分別や別処理が必要になり、費用が大きく上がります。
4.処分場が遠くなった
残土は、空いている土地へ自由に捨てられるものではありません。
国土交通省は、不法・危険な盛土を防ぐため、建設発生土の搬出先や最終搬出先を確認する制度を強化しています。国土交通省「建設発生土の搬出先計画制度」
受入先の休止、受入条件の変更、土質による受入拒否などで遠い処分場へ運ぶことになると、運搬時間・燃料費・車両費が増えます。
道路が狭く、大型ダンプが入れない土地では、小型車両で何往復もするため、さらに高くなります。
20万円の予定が50万円を超える例
たとえば、契約前に次のような予算を組んでいたとします。
| 項目 | 契約前 | 着工後 |
|---|---|---|
| 処分土量 | 25㎥ | 38㎥ |
| 処分・運搬単価 | 8,000円/㎥ | 11,000円/㎥ |
| 残土処分費 | 20万円 | 41万8,000円 |
| 地中障害物の分別処分 | なし | 15万円 |
| 合計 | 20万円 | 56万8,000円 |
この場合、追加費用は36万8,000円です。
土量が増えただけでなく、遠い処分場への変更や地中障害物の処理が重なると、金額は一気に上がります。
危険なのは「残土処分費 一式」
見積書に次のような記載しかない場合は、契約前に内訳を確認してください。
残土処分費 一式 200,000円
これでは、何㎥まで含まれているのか分かりません。実際の処分量が少なかった場合に減額されるのかも不明です。
最低でも、次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 掘削予定量 | 基礎・配管・雨水・外構まで含むか |
| 敷地内利用量 | 何㎥を埋め戻しや造成に使う想定か |
| 搬出予定量 | 何㎥まで契約金額に含むか |
| 土量換算 | 掘削後に膨らむ分を見込んでいるか |
| 単価 | 1㎥または車両1台当たりいくらか |
| 運搬費 | 処分費とは別料金か |
| 障害物 | コンクリートや瓦が出た場合の単価 |
| 増減精算 | 増えた場合だけでなく、減った場合も精算するか |
「実費精算」なら証拠を残してもらう
残土処分費を契約前に完全確定できない場合、実費精算になること自体は不自然ではありません。
ただし、住宅会社に任せきりにするのは危険です。
- 搬出前に追加見積書を出す
- 施主の承認後に搬出する
- 搬出台数や土量を記録する
- 処分場の伝票を保管する
- 搬出前後の写真を残す
- 想定より少なければ減額する
このルールを契約前に決めておくことが重要です。
山梨では土地の高低差にも注意
山梨では、傾斜地、高低差のある土地、元農地、古家を解体した土地なども少なくありません。
建物の配置や外構計画を変更した結果、予定していた土を敷地内で使えなくなることもあります。住宅だけでなく、駐車場や道路との高さまで決めてから土量を計算しなければ、正確な金額は出せません。
契約前には、こう質問してください。
「残土は何㎥で計算し、敷地内で何㎥再利用する予定ですか。増減した場合は、どの単価で精算しますか?」
この質問に数量と単価で答えられず、「掘ってみないと分かりません」「とりあえず予算取りです」だけで終わる会社には注意が必要です。
残土処分費は、着工後でなければ確定できない部分があります。しかし、分からないことと、説明しなくてよいことは別です。
正直な住宅会社は、増える可能性だけでなく、計算根拠・精算方法・減額条件まで契約前に説明します。










