Q. 本当に中立なら、紹介先と収益の関係を公開できる?
A. 少なくとも、誰から、どのような条件で収益を得ているのかという基本構造は説明できるはずです。ただし、住宅会社ごとの正確な契約金額や料率まで公開できない場合があります。重要なのは、すべての数字を開示することではなく、収益関係が紹介先の選定に影響しない仕組みを具体的に説明できるかです。
無料住宅相談サービスが「中立」「第三者の立場」「公平な住宅会社選び」を掲げるなら、相談者はその根拠を確認する必要があります。
相談料が無料でも、運営費がゼロになるわけではありません。
店舗の家賃、人件費、広告費、システム費などを、誰かが負担しています。
住宅会社から掲載料、広告費、紹介料、成約連動費などを受け取っているなら、その収益関係は住宅会社選びと無関係ではありません。
問題は、住宅会社からお金を受け取ること自体ではありません。
お金を受け取っている事実を分かりにくくしたまま、「完全に中立です」と印象づけることです。
中立を掲げるなら公開してほしい基本情報
相談者が正しい判断をするためには、少なくとも次の情報が必要です。
- 相談者が無料で利用できる理由
- 主な収益源
- 住宅会社から費用を受け取っているか
- 費用が定額か、成約連動か
- 建築金額に応じて報酬が変わるか
- 紹介先が提携住宅会社に限られるか
- 住宅会社によって報酬条件が違うか
- 紹介順位を決める基準
- 成約件数が担当者の評価へ影響するか
- 提携していない住宅会社を案内できるか
住宅会社ごとの具体的な料率を公開できないとしても、収益構造そのものは説明できます。
例えば、
「住宅会社から定額の掲載料を受け取っています」
「契約が成立した場合に広告費が発生します」
「報酬は建築請負金額に連動します」
「紹介する住宅会社によって契約条件が異なります」
この程度の説明まで拒むのであれば、相談者は何を根拠に中立性を信じればよいのでしょうか。
正確な金額を公開できないことはある
住宅会社と紹介会社の契約には、守秘義務が設定されている場合があります。
そのため、
- A社は4%
- B社は5%
- C社は一件150万円
というように、会社別の正確な契約条件を一般公開できない可能性はあります。
非公開だから、直ちに不正だとは言えません。
しかし、個別の金額を言えなくても、
- 定額制なのか
- 成約時だけ発生するのか
- 建築金額に連動するのか
- 会社ごとに条件が違うのか
- 高額な契約ほど収益が増えるのか
という仕組みは説明できます。
「契約上、具体的な数字は言えません」と「収益構造について何も説明しません」は、まったく違います。
「相談者からは一切いただきません」だけでは不十分
無料相談の説明でよく使われるのが、
「お客様から相談料は一切いただきません」
という表現です。
これは、相談者が窓口で直接支払わないという意味では正しいでしょう。
しかし、相談者が本当に知りたいのは、そこだけではありません。
- 住宅会社は何を支払っているのか
- 成約すると、いくら収益が発生するのか
- 住宅価格が高いほど、収益も増えるのか
- その費用が住宅会社選びに影響しないのか
ここまで説明されなければ、無料相談の全体像は分かりません。
相談者が直接支払わないことと、その費用が住宅価格や会社選びへ影響しないことは同じではありません。
収益によって紹介会社の判断は変わり得る
仮に、成約時に建築請負金額の5%が発生する仕組みだったとします。
| 建築請負金額 | 5%の費用 |
|---|---|
| 2,500万円 | 125万円 |
| 3,000万円 | 150万円 |
| 4,000万円 | 200万円 |
| 5,000万円 | 250万円 |
2,500万円の住宅会社を紹介する場合と、5,000万円の住宅会社を紹介する場合では、一件当たり125万円の差が生まれます。
この仕組みだけで、高価格帯の住宅会社が優先されるとは断定できません。
しかし、紹介先によって自社の収益がこれだけ変わる可能性があるなら、利益相反を防ぐ対策が必要です。
単に「中立です」と宣言するだけでなく、
- 紹介担当者が報酬条件を知らない
- 報酬額で紹介順位を変えない
- 相談者の予算と要望を先に数値化する
- 複数の候補を同じ基準で比較する
- 紹介理由を書面で説明する
- 成約数だけで担当者を評価しない
といった仕組みがあるかを確認する必要があります。
提携会社しか紹介しないなら、その事実を伝えるべき
相談者が「地域の住宅会社を幅広く比較してもらえる」と思っていても、実際には紹介会社と契約している住宅会社だけが候補になっている可能性があります。
例えば、地域に100社の住宅会社があっても、提携先が20社なら、紹介対象はその20社だけかもしれません。
その中から3社を紹介されても、それは地域の100社を比較した結果ではありません。
「提携している20社の中から選んだ3社」です。
この違いは非常に重要です。
本当に透明性を重視するなら、
「当社が正式に紹介できるのは提携会社に限られます」
「提携していない住宅会社については、情報提供のみとなります」
と説明すべきです。
紹介できる会社の範囲を明らかにしないまま、「あなたに最適な3社を厳選しました」と伝えれば、相談者が誤解する可能性があります。
相談者が判断できる説明になっているか
透明性とは、情報を大量に掲載することではありません。
相談者が、自分で利害関係を判断できる状態にすることです。
次のような説明なら、収益関係を理解できます。
当社は相談者から相談料をいただいていません。運営費は提携住宅会社からの掲載料と、成約時に発生する広告費によって賄っています。紹介先は原則として提携会社です。ただし、報酬額によって紹介順位は変更せず、予算・建築地・希望性能・間取り・返済計画を基準に候補を選定しています。
一方、次の説明だけでは判断できません。
相談は完全無料です。中立な立場で、厳選した優良住宅会社をご紹介します。
「無料」「中立」「厳選」「優良」という言葉は並んでいますが、
- 誰が費用を負担するのか
- 何社から選ぶのか
- 何を基準に厳選するのか
- 紹介先と収益の関係
が分かりません。
きれいな言葉より、仕組みの説明を見るべきです。
本当に中立かを確認する10の質問
無料相談を受ける前に、次の質問をしてください。
- このサービスの主な収益源は何ですか
- 住宅会社から掲載料や紹介料を受け取っていますか
- 費用は定額ですか、成約連動ですか
- 建築金額が上がると、御社の収益も増えますか
- 住宅会社ごとに報酬条件は違いますか
- 紹介できるのは提携住宅会社だけですか
- 紹介順位を決める具体的な基準は何ですか
- 報酬額が選定へ影響しない仕組みはありますか
- 提携していない住宅会社も比較できますか
- 今回この会社を紹介する理由を書面で説明できますか
正確な料率が答えられなくても、運営の仕組みや選定基準は答えられるはずです。
質問に対して具体的に説明する会社と、言葉を濁す会社では、同じ「中立」でも信頼性が違います。
情報公開は紹介会社自身を守る
収益構造の公開は、相談者だけのためではありません。
真面目に運営している相談会社にとっても、透明性は自社を守る材料になります。
- 住宅会社から報酬を受け取っている
- それでも報酬額によって紹介先を決めていない
- 選定基準を明文化している
- 利益相反を防ぐ仕組みがある
- 相談者の予算と希望を優先している
これらを説明できれば、単なる広告代理や送客業との違いを示せます。
反対に、収益構造を隠したまま中立性だけを強調すれば、後から仕組みを知った相談者は「最初から説明してほしかった」と感じるでしょう。
信頼は、無料という言葉ではなく、都合の悪い情報まで説明する姿勢から生まれます。
結論
本当に中立なら、住宅会社との収益関係について、基本的な仕組みを公開できるはずです。
個別企業との正確な契約金額や料率まで、すべて公表できない場合はあります。
しかし、
- 誰が費用を負担しているのか
- 何をきっかけに費用が発生するのか
- 建築金額によって収益が変わるのか
- 提携会社だけを紹介するのか
- 収益が紹介先の選定に影響しない仕組みがあるのか
は説明できます。
中立性は、会社が自分で名乗れば成立するものではありません。相談者が検証できる情報を公開して、初めて信頼できるものになります。
「無料です」「中立です」という言葉だけで判断せず、その裏側にある収益構造と選定基準を確認してください。
説明できない中立より、利害関係まで正直に説明する有料相談や紹介サービスのほうが、信頼できる場合もあります。
住宅会社を選ぶ前に、まず、その住宅会社を勧めている人の立場を確認することが重要です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










