Q. 指定業者以外で修繕すると保証対象外になる?
A. 保証対象外になる可能性はありますが、他社で修繕しただけで、必ず家全体の保証がすべて消えるとは限りません。他社が施工した部分、その工事が原因で発生した不具合、または保証延長の対象部位だけが除外される場合もあります。
住宅会社から、
「他社で修繕したら保証が切れます」
と言われると、家全体の保証がその日からなくなるように感じます。
しかし、確認すべきなのは「保証が切れるか」だけではありません。
- どの部位の保証が切れるのか
- 現在の保証が終了するのか
- 次回の延長ができないのか
- 他社工事が原因の不具合だけが対象外なのか
この違いを明確にする必要があります。
他社施工の扱いは3段階ある
指定業者以外へ修繕を依頼した場合の取り扱いは、主に次の3つに分かれます。
1.他社が施工した部分だけ保証対象外
例えば、他社へバルコニー防水を依頼した場合、施工したバルコニー部分だけが住宅会社の保証対象外になるケースです。
構造や別の屋根部分など、他社工事と関係のない保証は残る可能性があります。
2.他社工事が原因の不具合だけ保証対象外
他社工事を行った事実だけではなく、その工事が原因で発生した不具合を保証対象外とする考え方です。
例えば、他社が行った外壁工事の施工不良によって雨漏りが発生した場合、その雨漏りは新築時の住宅会社ではなく、修繕工事を行った会社の責任になる可能性があります。
3.長期保証全体を延長できない
住宅会社または指定業者によるメンテナンス工事を、保証延長の条件としている制度です。
他社へ工事を依頼すると、次回以降の構造・防水保証などを延長できない可能性があります。
どの扱いになるかは、住宅会社、商品、契約時期、工事内容によって異なります。
「現在の保証」と「次の延長保証」は違う
特に注意したいのが、現在有効な保証と、将来予定されている延長保証の違いです。
例えば、初期30年保証が付いている住宅で、15年目に他社へ小規模な修繕を依頼したとします。
この場合、
- 初期30年保証が直ちにすべて終了する
- 他社施工部分だけが対象外になる
- 他社工事に起因する不具合だけが対象外になる
- 30年目以降の保証延長ができなくなる
など、複数の可能性があります。
「保証が切れる」という言葉だけでは、どれを指しているのか分かりません。
必ず書面で確認してください。
なぜ住宅会社は他社工事を嫌がるのか
住宅会社が他社施工部分の保証を制限することには、理由があります。
他社が工事を行うと、
- 使用した材料が分からない
- 下地処理の方法が確認できない
- 施工基準を満たしているか判断できない
- 工事中に別の部分を傷めた可能性がある
- 不具合の原因を特定しにくくなる
- 住宅会社と修繕会社の責任分担が曖昧になる
からです。
雨漏りが発生した場合、新築時の施工が原因なのか、後から行った外壁や屋根工事が原因なのかで責任者が変わります。
住宅会社が、自社で管理できない工事まで長期間保証できないという考え方には合理性があります。
小さな工事でも保証に影響する可能性がある
大規模リフォームだけが問題になるとは限りません。
次のような工事でも、施工場所によっては保証へ影響する可能性があります。
- 外壁への穴あけ
- 防犯カメラの取り付け
- テラス屋根やサンルームの設置
- 太陽光パネルの追加
- エアコン配管用の穴あけ
- 屋根アンテナの設置
- バルコニー床への固定
- 窓や玄関ドアの交換
- 壁を撤去する間取り変更
- 水まわりの移設
- 給湯器や換気設備の交換
特に、外壁、防水層、屋根、構造部分へ手を加える工事は注意が必要です。
「この程度なら問題ないだろう」と自己判断せず、工事前に住宅会社へ確認してください。
緊急修理でも先に連絡する
雨漏り、給湯器故障、水漏れなどは、すぐに修理しなければ被害が広がることがあります。
それでも可能であれば、工事を始める前に住宅会社や保証窓口へ連絡してください。
無断で修理すると、
- 故障前の状態を確認できない
- 原因調査ができない
- 指定部品か判断できない
- 保証対象だったことを証明できない
- 修理によって原因箇所が失われる
可能性があります。
緊急で連絡がつかず、他社へ応急処置を依頼する場合は、次の記録を残しましょう。
- 修理前の写真と動画
- 不具合が発生した日時
- 水漏れや雨漏りの場所
- 住宅会社へ連絡した履歴
- 応急処置の内容
- 取り外した部品
- 修理会社の報告書
- 見積書と領収書
原因部分を捨てずに保管できる場合は、保管しておくことも重要です。
他社へ依頼する前に書面で確認する
住宅会社には、次のように質問してください。
今回、指定業者以外へ修繕を依頼した場合、現在の保証と将来の延長保証へどのような影響がありますか。保証対象外になる部位、原因、期間、継続する保証を保証規程の該当条項とともに書面で回答してください。
確認すべき内容は次のとおりです。
- 現在の保証は継続するか
- 対象外になる部位はどこか
- 他社工事と無関係な不具合も対象外になるか
- 構造保証は残るか
- 防水保証は残るか
- 次回の保証延長は可能か
- 指定材料を使えば認められるか
- 工事前後の検査を受ければ認められるか
- 再保証制度はあるか
担当者の口頭回答だけで進めず、メールや書面を残してください。
他社へ依頼するなら施工記録を残す
他社へ修繕を依頼する場合は、価格だけで業者を選ばないことが重要です。
施工会社へ次の資料を求めてください。
- 工事前の劣化状況写真
- 工事中の下地写真
- 使用材料の商品名と製造番号
- 施工方法
- 塗布量や施工回数
- 工事範囲図
- 完成写真
- 施工保証書
- 工事担当者の連絡先
- 不具合発生時の責任範囲
外壁や防水工事は、完成後には下地の状態を確認できません。
施工途中の写真がなければ、将来不具合が起きたときに原因を証明しにくくなります。
指定業者なら何でも安心とは限らない
指定業者であれば住宅会社の管理基準に沿って工事が行われ、保証との責任関係も明確になります。
これは大きなメリットです。
しかし、指定業者だから見積金額を確認しなくてよいわけではありません。
- 工事範囲
- 使用材料
- 単価と数量
- 保証延長に必須の工事
- 推奨工事
- 工事後の保証期間
- 自己負担の総額
を確認してください。
指定業者しか選べない制度では価格競争が働きにくいため、工事内容の説明責任はより重要になります。
契約前に確認すること
新築契約前に、次の質問をしておきましょう。
- 他社で修繕した場合、家全体の保証が終了しますか
- 他社施工部分だけが対象外になりますか
- 他社工事に起因する不具合だけが対象外ですか
- 外壁への小さな穴あけでも事前承認が必要ですか
- 設備交換も指定業者への依頼が必要ですか
- 他社工事前に検査や承認を受ける制度はありますか
- 工事後に住宅会社の検査を受ければ保証を継続できますか
- 保証が終了した後に再保証を受けられますか
- 再保証に必要な費用はいくらですか
保証書を契約後に渡されるのではなく、契約前に確認できる住宅会社を選ぶことが大切です。
「全部保証対象外」をそのまま信じない
他社へ修繕を依頼すると、住宅会社が管理できない部分の保証が制限されることはあります。
しかし、
「他社へ頼んだので、今後は家全体を一切保証しません」
という説明を受けた場合は、その根拠を確認してください。
保証対象外とする範囲、理由、他社工事との因果関係、保証規程の該当条項を書面で示してもらいましょう。
指定業者以外で修繕すると保証へ影響する可能性はあります。しかし、何が対象外になるかを曖昧にしたまま、家全体の保証がなくなると思い込んではいけません。
他社へ依頼する前に、現在の保証、延長保証、対象部位、責任範囲を一つずつ確認してください。
長期保証で本当に重要なのは、保証年数ではなく、所有者が修繕会社を選ぶ自由と保証をどこまで両立できるかです。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁
【参考資料】
積水ハウスは、同社以外の業者による増改築などによって同社の設計基準に合致しない状態になった場合、保証の適用除外になると案内しています。積水ハウス「長期保証制度(永年保証)」
大和ハウス工業は、同社が関与しない増改築や補修に起因するなど、保証内容を満たさない場合は適用除外になると公表しています。大和ハウス工業「長期保証・アフターサポート」
住友林業は、維持保全計画書に基づくメンテナンス工事を同社で実施した場合、構造躯体と防水を最長60年間保証するとしています。住友林業「60年保証・アフターサービス」










