引き渡し後に欠陥が見つかったら、瑕疵保険でどこまで直せる?
A. 住宅瑕疵担保責任保険で直せるのは、原則として「住宅の構造」と「雨漏り」に関係する重大な欠陥です。家の不具合なら何でも無償で直せるわけではありません。
床の傷、壁紙の剥がれ、建具の調整、キッチンや給湯器の故障などは、基本的に住宅瑕疵担保責任保険の対象外です。
住宅会社から、
「新築住宅には10年間の瑕疵保険が付いているので安心です」
と説明されると、「引き渡し後10年間は、家の不具合をすべて無料で直してもらえる」と思うかもしれません。
しかし、それは大きな誤解です。
瑕疵保険は、家全体を対象にした10年間の無料修理サービスではありません。
瑕疵保険が守るのは、原則として2つの部分
新築住宅の住宅瑕疵担保責任保険が対象とするのは、主に次の2つです。
1. 構造耐力上主要な部分
住宅の強度や安全性を支える部分です。
- 基礎
- 基礎ぐい
- 土台
- 柱
- 梁
- 耐力壁
- 筋かい
- 床版
- 屋根版
- 小屋組
2. 雨水の浸入を防止する部分
住宅内部への雨水の浸入を防ぐ部分です。
- 屋根
- 外壁
- 開口部のサッシや建具
- 屋根や外壁内部にある雨水排水管
国土交通省も、新築住宅における10年間の責任の対象を「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」としています。
国土交通省「新築住宅に関する法制度」
つまり、瑕疵保険は住宅のすべてを守る保険ではなく、家の安全性と雨漏りに関係する重要部分に限定された保険です。
対象になる可能性がある欠陥
例えば、次のような不具合です。
- 基礎の重大な欠陥によって建物が傾いた
- 柱や梁、耐力壁の施工不良で構造安全性に問題が生じた
- 屋根の施工不良によって雨漏りした
- 外壁やサッシまわりから雨水が浸入した
- 防水施工の不備によって建物内部へ雨水が入った
- 構造上重要な床や壁に、施工上の欠陥が見つかった
ただし、基礎にひび割れがあれば自動的に保険対象になるわけではありません。
そのひび割れが、
構造耐力に影響する施工上の欠陥なのか
単なる表面的なひび割れなのか
を調査したうえで判断されます。
「不具合が見つかった」という事実だけではなく、対象部分に瑕疵があり、その瑕疵によって事故が発生したことが重要です。
原則として対象外になる不具合
次のような不具合は、通常、住宅瑕疵担保責任保険の対象になりません。
| 不具合 | 瑕疵保険の一般的な扱い |
|---|---|
| 壁紙の剥がれや隙間 | 原則対象外 |
| 床や建具の傷 | 原則対象外 |
| ドアの開閉不良 | 原則対象外 |
| クロスの小さなひび割れ | 原則対象外 |
| キッチン・トイレ・給湯器の故障 | 原則対象外 |
| エアコンや照明器具の故障 | 原則対象外 |
| 経年劣化による外壁や屋根の傷み | 原則対象外 |
| 手入れ不足による腐食や詰まり | 原則対象外 |
| シロアリ被害 | 契約・特約による |
| 地震・台風・洪水による損害 | 原則として別の保険で判断 |
設備の製品不良については、住宅瑕疵担保責任保険ではなく、設備メーカーの保証が適用される可能性があります。
国土交通大臣指定の住宅相談窓口「住まいるダイヤル」も、内外装の仕上げ部分や設備の不具合は、住宅瑕疵担保責任保険では対応できないと説明しています。
住まいるダイヤル「新築工事の事業者が倒産。不具合の補修はしてもらえない?」
修理費以外も保険の対象になる?
保険商品や事故内容によっては、修補費用だけでなく、次の費用が対象になる場合があります。
- 欠陥の原因を確認するための調査費用
- 修補工事に必要な費用
- 工事中の仮住まい費用
- 転居費用
- 事故処理に必要な一定の費用
ただし、支払限度額、免責金額、対象となる費用、支払割合は、加入している保険商品や契約内容によって異なります。
「瑕疵保険に入っているから、かかった費用は全額出る」とは限りません。
保険金の支払対象や上限は、必ず付保証明書と保険約款で確認してください。
住宅会社が営業している場合は、まず住宅会社へ連絡する
引き渡し後に不具合を見つけたら、すぐに自分で修理業者へ依頼するのは避けてください。
先に修理してしまうと、原因や施工時の状況を確認できなくなり、保険の判断に影響する可能性があります。
基本的な流れは次のとおりです。
- 不具合箇所を写真や動画で記録する
- 発見日と発生状況を記録する
- 住宅会社へ書面やメールで連絡する
- 住宅会社または保険法人による調査を受ける
- 保険対象になるかの判断を待つ
- 承認された方法で補修工事を行う
雨漏りなど被害が拡大する恐れがある場合は、保険法人や住宅会社に連絡したうえで、応急処置の方法を確認します。
住宅会社が倒産していたら、施主が直接請求できる可能性がある
住宅会社が営業している場合、通常は住宅会社が補修し、住宅会社が保険法人へ保険金を請求します。
一方、住宅会社が倒産して補修できない場合、保険付き住宅で対象となる瑕疵であれば、住宅取得者が保険法人へ補修費用などを直接請求できる可能性があります。
住まいるダイヤルも、保険付き住宅であれば、住宅会社が倒産していても、引き渡しから10年間は保険法人へ直接請求できる可能性があると案内しています。
住まいるダイヤル「住宅事業者が不具合の補修依頼に対応しない」
ただし、ここで絶対に確認してほしいことがあります。
その住宅に、本当に住宅瑕疵担保責任保険が付いているのか。
新築住宅を供給する住宅会社には、保険加入または保証金の供託による資力確保が義務付けられています。
すべての住宅が同じ保険に加入しているとは限りません。
引き渡し時に渡された書類の中から、次の書類を確認してください。
- 住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
- 保険法人名
- 証券番号・付保証番号
- 保険期間
- 保険金額
- 免責金額
- 事故発生時の連絡先
付保証明書が見つからない場合は、住宅会社または保険法人へ早めに確認しましょう。
「10年以内に見つければ大丈夫」とは限らない
保険期間は一般的に引き渡しから10年間ですが、不具合を見つけたまま長期間放置するのは危険です。
雨漏りを放置して腐食が広がった場合などは、損害拡大部分の扱いが問題になる可能性があります。
欠陥の可能性を感じたら、
様子を見るのではなく、記録を残してすぐに連絡する。
これが基本です。
特に次の症状が出た場合は、早めの調査をおすすめします。
- 雨の後に天井や壁へシミが出る
- サッシまわりから水が入る
- 床が大きく傾いている
- 基礎に大きなひび割れがある
- 柱や壁が目に見えて傾いている
- ドアや窓が複数箇所で急に閉まりにくくなった
- 床下や小屋裏に継続的な漏水がある
契約前に確認すべき5つの質問
住宅会社を選ぶ段階で、次の質問をしてください。
- 瑕疵保険を引き受ける保険法人はどこですか?
- 保険の対象部分を具体的に説明してもらえますか?
- 住宅会社が倒産した場合、施主はどこへ連絡しますか?
- 引き渡し時に付保証明書を受け取れますか?
- 瑕疵保険の対象外となる部分は、どの保証で対応しますか?
「瑕疵保険があります」という一言だけでは不十分です。
構造と雨漏り以外の不具合について、
- 自社保証
- メーカー保証
- 有償メンテナンス
- 損害保険
- 延長保証
のどれで対応するのかまで確認して、初めて住宅全体の保証内容が見えてきます。
デザインハウス甲府の考え方
瑕疵保険が付いていることは、特別な性能自慢ではありません。
重要なのは、瑕疵保険の範囲を正しく説明し、保険を使うような重大事故を起こさないために、設計・施工・検査をどこまで徹底しているかです。
デザインハウス甲府では、瑕疵保険を「家のすべてを10年間保証する保険」のように誤解させる説明はしません。
- 何が瑕疵保険の対象になるのか
- 何が対象外なのか
- 設備保証は誰が行うのか
- 住宅会社が倒産した場合はどうなるのか
- 引き渡し後にどの書類を保管すべきか
これらを契約前に確認することが、家族と財産を守るために必要だと考えています。
瑕疵保険は大切です。
しかし、**「瑕疵保険があるから安心」ではなく、「どこまで守られる保険なのかを理解しているから安心」**なのです。
契約前には、保険の有無だけでなく、対象範囲、保険法人、支払限度額、免責条件、倒産時の直接請求方法まで書面で確認してください。










