つなぎ融資で支払ったお金は、住宅会社の倒産後どうなる?
Q. 着手金や中間金をつなぎ融資で支払った後、住宅会社が倒産した場合、そのお金やローンはどうなりますか?
A. 住宅会社が倒産しても、つなぎ融資の借金は原則として消えません。支払った工事代金が戻らない一方で、つなぎ融資の元金・利息が残るという、最も危険な状態になる可能性があります。
つなぎ融資は、住宅会社への立替払い制度ではありません。
施主が金融機関から借りたお金を、建物完成前の着手金や中間金として住宅会社へ支払う融資です。
住宅会社と金融機関は別の契約であるため、住宅会社が倒産したからといって、施主と金融機関との金銭消費貸借契約まで自動的に解除されるわけではありません。
住宅会社に渡ったお金はどうなる?
つなぎ融資が実行され、住宅会社へ振り込まれた時点で、そのお金は工事代金として支払われています。
倒産後、金融機関が住宅会社から自動的に取り戻し、施主の借入金を消してくれるわけではありません。
支払済み金額に対して工事が完成していなければ、その差額について住宅会社へ返還を求めることになります。
例えば、次のようなケースです。
- つなぎ融資実行額:900万円
- 倒産時の工事出来高:500万円
- 実質的な前払い:400万円
- つなぎ融資の借入残高:900万円
この場合、施主は住宅会社に対して400万円の返還を求める可能性があります。
しかし、住宅会社に資産が残っていなければ、400万円全額を回収できるとは限りません。一方、金融機関に対する900万円の借入義務は残ります。
家が完成しなくても、借金は残る
一般的なつなぎ融資は、建物完成後に実行される住宅ローンで、元金と利息を一括返済する仕組みです。
PayPay銀行も、つなぎ融資は建物完成前に必要な費用へ利用し、借入分は住宅ローンによって完済すると説明しています。
PayPay銀行「つなぎ融資」
ところが、住宅会社が倒産すると建物が完成しません。
建物が完成しなければ、検査や引き渡しができず、予定していた住宅ローンの実行も遅れる可能性があります。結果として、つなぎ融資を予定どおり完済できない状態に陥ります。
工事が止まっている間も利息が増える
つなぎ融資は、住宅ローンより金利が高めに設定されることがあります。
住宅会社の倒産によって工事再開が6か月、1年と遅れれば、その間の利息や契約変更費用が増える可能性があります。
例えば、借入額900万円、金利年3.5%で工事再開が6か月遅れた場合、単純計算による追加利息は約15万7,500円です。
900万円×3.5%×6か月÷12か月
=約15万7,500円
別途、融資期間を延長するための手数料が発生する場合もあります。
SBIアルヒも、工事が遅れて融資期間が延びる場合、追加料金や事務手数料がかかる可能性があると説明しています。また、商品によっては建築計画の遅延時に金銭消費貸借変更契約が必要です。
SBIアルヒ「つなぎ融資とは」
SBIアルヒ「フラットつなぎ 融資条件」
返済を止めてもよいわけではない
住宅会社が倒産したからといって、施主の判断だけで利息や返済を止めてはいけません。
返済を遅らせると、遅延損害金や信用情報への影響が発生する可能性があります。
倒産や工事停止を知ったら、すぐに金融機関へ次の内容を伝えます。
- 住宅会社が倒産または営業停止したこと
- 現場の工事が止まっていること
- 現在までの融資実行額
- 住宅会社へ支払った金額
- 現在の工事出来高
- 完成保証の有無
- 引き継ぎ会社を探していること
金融機関によって、融資期間の延長、契約変更、今後の融資実行停止などの対応が異なります。必ず金融機関と協議してください。
まだ実行されていない融資は止める
つなぎ融資を複数回に分けて実行する契約の場合、倒産後に予定されている融資が残っていることがあります。
例えば、
- 1回目:土地代金
- 2回目:着手金
- 3回目:上棟金
- 4回目:完成時資金
という支払計画です。
住宅会社の資金繰り悪化や工事停止が疑われる場合は、次回分が実行される前に金融機関へ連絡します。
すでに住宅会社へ渡ったお金の回収は難しくても、まだ実行されていない融資を止めることは、損失拡大を防ぐ重要な行動です。
完成保証があれば家を完成させられる可能性がある
完成保証が適用されれば、別の住宅会社へ工事を引き継ぎ、住宅を完成させられる可能性があります。
家が完成すれば、予定していた住宅ローンを実行し、つなぎ融資を精算できる可能性も高まります。
ただし、完成保証には限度額や支払条件があります。
JIO完成サポートも、タイプによって前払金と出来高との差額がサポート対象になるものと、対象外になるものがあります。
JIO「完成サポート」
また、JIOには完成サポートを付けたつなぎ立替払制度もあります。建築途中の支払いを一定割合に抑え、万一の場合には登録事業者へ工事を引き継ぐ仕組みです。
JIO「つなぎサポートパック」
「つなぎ融資が通ったから、この住宅会社は安全」と判断してはいけません。
金融機関の融資審査と、住宅会社が完成まで存続できるかどうかは、同じ意味ではありません。
契約前に確認する6項目
つなぎ融資を利用する場合は、次の内容を書面で確認してください。
- 融資金が住宅会社へ渡るタイミング
- 各支払時点の工事出来高
- 工事が遅れた場合に融資実行を止められるか
- 工期延長中の利息と変更手数料
- 住宅会社が倒産した場合の返済方法
- 完成保証がつなぎ融資の前払い損失をどこまでカバーするか
住宅会社には、次のように質問してください。
「つなぎ融資の支払額は、その時点の工事出来高を超えていませんか?」
「会社が倒産した場合、この前払い分は完成保証の対象ですか?」
「工事が遅れていても、予定どおり融資を実行する契約ですか?」
デザインハウス甲府からのアドバイス
つなぎ融資で最も恐ろしいのは、住宅会社の倒産によって、家は完成していないのに借金だけが完成することです。
デザインハウス甲府では、全棟に完成保証を付け、つなぎ融資を利用する場合も、工事の進捗から支払いが大きく先行しないように計画します。
比較するべきなのは、つなぎ融資の金利だけではありません。
- 工程ごとの支払割合
- 完成保証の対象範囲
- 倒産時の工事引き継ぎ方法
- 工期延長時の追加負担
ここまで確認して、初めて安全な資金計画といえます。
住宅会社が倒産しても、借りたお金は消えません。
だからこそ、つなぎ融資を利用する前に「その会社が倒産した場合、誰が家を完成させるのか」まで確認してください。










