「今月中に契約してほしい」と急かす会社は危険?
Q. 住宅会社から「今月中なら値引きできます」「今月中に契約してください」と急かされています。危険な会社でしょうか?
A. 契約を急かすだけで経営悪化とは断定できません。しかし、期限の根拠を示さず、プラン・総額・仕様・完成保証が未確定のまま契約と入金を迫る会社は危険です。
住宅は、数千万円の契約です。
それを、
「今日決めてください」
「今月中でなければ、この金額は出せません」
「とりあえず契約して、細かい内容は後で決めましょう」
と急かすのには、住宅会社側の理由があります。
その理由が施主の利益になるものなのか、営業成績や資金繰りのためなのかを見分けなければなりません。
客観的な期限なら書面で確認できる
契約を急ぐことに、合理的な理由がある場合もあります。
- 補助制度の申請期限
- 予算上限への到達見込み
- 建材メーカーの価格改定
- 土地購入の申込期限
- 金融機関の融資承認期限
- 希望する工事時期の着工枠
- 期間が明記された設備キャンペーン
本当に期限があるなら、次のような書類で確認できます。
- 制度の公式資料
- メーカーの価格改定通知
- 土地の買付証明書
- 金融機関の承認書
- 見積書の有効期限
- 工程表
- キャンペーン規約
「会社から言われた期限」ではなく、第三者が確認できる期限かどうかを見てください。
危険なのは「会社都合の期限」
一方、次のような説明しかない場合は注意が必要です。
- 今月が会社の決算だから
- 営業担当者の目標まであと1件だから
- 店長が今月だけ許可したから
- 社長が今日だけ値引きを認めたから
- 来月になると価格が上がるかもしれないから
- 他のお客様も検討しているから
- とりあえず契約だけ先にしてほしい
これらは、施主が今月契約しなければならない理由ではありません。
住宅会社の営業成績や決算は、施主が数千万円の契約を急ぐ理由にはなりません。
資金繰りが悪い会社ほど契約金を急ぐ
契約を急かす会社が、必ず倒産するわけではありません。
しかし、次の条件が同時に出てきた場合は、資金繰り悪化を疑う必要があります。
- 月末までの契約を強く求める
- 契約金を通常より多く求める
- 契約翌日の振込を求める
- 着手金や中間金も前倒しさせる
- 値引きと早期入金をセットにする
- 法人口座ではなく個人口座を指定する
- 完成保証書を提示できない
- 見積書の内訳を出さない
住宅会社にとって重要なのは、契約書へ署名をもらうことだけではありません。
契約金が入金され、現金が増えることです。
「今月中に契約してほしい」より、
「今月中に契約金を入れてほしい」のほうが危険度は高くなります。
「仮契約だから大丈夫」は危険
住宅会社から、
「本契約ではなく仮契約です」
「嫌なら後から解約できます」
「まず申込金だけ入れてください」
と言われることがあります。
しかし、書類の名称が「申込書」「仮契約書」であっても、工事内容、金額、当事者の合意内容によっては契約として扱われる可能性があります。
また、解約時に、
- 設計料
- 申請費
- 営業経費
- 資材発注費
- 違約金
などを請求される可能性があります。
「仮契約だから署名しても問題ない」と判断せず、返金条件と解約条件を確認してください。
土地が決まる前の契約は急がない
土地が決まっていなければ、正確な建築総額は確定しません。
土地によって、次の費用が変わるからです。
- 地盤改良
- 屋外給排水工事
- 擁壁
- 高低差処理
- 道路からの引き込み
-造成工事 - 建築可能な面積
- 法令上の制限
国民生活センターも、敷地が決まっていない段階で建物の請負契約をすると、土地の制約を把握できず、後から設計変更や追加工事が発生するなどの問題があると注意を促しています。
国民生活センター「土地が決まっていない建物の請負契約」
土地も総額も決まっていないのに、
「良い土地が出たときにすぐ動けるよう、先に建物を契約しましょう」
と言われたら、契約を急がないでください。
契約前に確定させる8項目
最低でも、次の内容を確認してから契約します。
- 建築する土地
- 確定した間取り
- 建物の面積
- 断熱・耐震・気密などの性能
- 設備・内外装の仕様
- 付帯工事を含めた総額
- 工程ごとの支払条件
- 自分の住宅に付く完成保証
一つでも大きく未確定なら、「今月中」という理由だけで契約するべきではありません。
3日考えるだけで、何を失うのか聞く
契約を急かされたら、住宅会社へこう伝えてください。
「契約書と見積書を持ち帰り、家族と3日間確認します」
そのうえで、
「3日後では適用できない条件と、その根拠を書面でください」
と質問します。
本当に補助制度やメーカー価格改定が理由なら、具体的な日付と資料が出てきます。
営業担当者の目標や会社の資金繰りが理由なら、説明が曖昧になります。
契約を急ぐ会社の簡易危険度チェック
次の項目に該当したら、1点ずつ加算してください。
| 危険信号 | 点数 |
|---|---|
| 今日・今月中だけの値引き | 1点 |
| 契約金の即日・翌日入金 | 1点 |
| 土地・プラン・仕様が未確定 | 1点 |
| 期限の根拠を書面で出さない | 1点 |
| 完成保証書を確認できない | 1点 |
判定
- 0~1点: 期限の根拠を確認して検討
- 2~3点: 契約を延期し、第三者へ相談
- 4~5点: その場では契約しない
これは倒産を断定する診断ではありません。契約を急がず確認するための目安です。
契約金250万円を失う可能性
2,500万円の住宅で、契約時に10%の250万円を支払う契約だったとします。
契約直後は、現場工事が始まっていません。
仮に、設計や申請など実際に行われた業務の価値が30万円の段階で住宅会社が倒産すれば、差額220万円が実質的な前払いになります。
支払済み250万円-業務・工事の価値30万円
=前払い部分220万円
「今月中なら100万円値引き」と言われて契約しても、220万円を回収できなければ得にはなりません。
値引き額より、契約直後にいくらのお金が危険にさらされるかを確認してください。
後で解約できるとは限らない
すべての住宅契約に、無条件でクーリング・オフが適用されるわけではありません。
訪問販売など、一定の条件に該当すればクーリング・オフできる場合がありますが、契約場所や勧誘の経緯によって扱いが異なります。
消費者庁「訪問販売とクーリング・オフ」
「一度契約して、嫌ならクーリング・オフすればよい」
とは考えないでください。
解約できても、実費や違約金をめぐって争いになる可能性があります。
営業担当者への回答文
急かされたときは、次のように答えてください。
契約期限の理由と、3日後では適用できない条件を書面で提示してください。総額、仕様、支払条件、完成保証、解約条件を確認してから判断します。本日は契約金を支払いません。
この回答に対して不機嫌になったり、さらに強く契約を迫ったりする会社は、契約後も施主の立場より会社都合を優先する可能性があります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
住宅会社が本当に自社の商品と価格に自信を持っているなら、施主が契約書を持ち帰り、家族で確認する時間を認められるはずです。
デザインハウス甲府では、建物本体だけでなく、付帯工事、建築確認、消費税などを含めた総額、住宅性能、支払条件、完成保証を契約前に説明します。
契約を急ぐ理由は、施主側にあるべきです。
- 補助制度の期限
- 土地購入の期限
- 入居希望時期
- 家族の事情
住宅会社の決算や営業目標ではありません。
「今月中に契約してください」は、施主のための提案とは限りません。
その会社が今月中に必要としているのは、あなたの家ではなく、あなたの契約金かもしれません。










