建替えによる「住宅性能向上(省エネ・断熱)」で、老後の医療費や光熱費は年間いくら削減できますか?
A. 光熱費は現在の使用状況から試算できますが、医療費を「年間○万円削減できる」と断定することはできません。ただし、断熱性能を高めて家の中の温度差を小さくすることは、老後の健康リスクを抑えるうえで重要です。
「高断熱住宅なら医療費も光熱費も大幅に安くなる」という説明を、そのまま信じるのは危険です。家族構成、在宅時間、設定温度、既存住宅の状態によって効果は大きく変わります。
光熱費の削減額は現在の金額から考える
例えば、古い住宅の電気・ガス・灯油代が年間36万円の場合、建て替え後に25%削減できれば、年間約9万円の削減です。
| 現在の年間光熱費 | 20%削減 | 30%削減 |
|---|---|---|
| 24万円 | 約4.8万円 | 約7.2万円 |
| 36万円 | 約7.2万円 | 約10.8万円 |
| 48万円 | 約9.6万円 | 約14.4万円 |
ただし、この金額は保証ではありません。高性能住宅に建て替えても、以前は我慢していた廊下や脱衣所まで暖房するようになれば、光熱費が劇的に減らないこともあります。
それでも、同程度の光熱費で家全体が暖かくなるなら、単なる節約ではなく「快適性と安全性を買えた」と考えるべきです。
医療費削減額は簡単に計算できない
断熱性能を高めれば、必ず病気にならず、医療費が減るというものではありません。健康状態は年齢、生活習慣、持病などにも左右されるためです。
一方、国土交通省も、断熱性能の低い住宅内の急激な温度変化は血圧変動を招き、脳卒中や心筋梗塞などにつながる恐れがあるとしています。WHOも、寒冷・温帯地域では冬の室温18℃以上を一つの目安としています。WHO「Housing and health guidelines」
つまり、医療費の削減額を売り文句にするより、次のリスクを減らすことに価値があります。
- 脱衣所や浴室でのヒートショック
- 夜間のトイレ移動時の急激な温度変化
- 結露によるカビ・ダニ
- 夏場の室内熱中症
- 寒さを我慢して動かなくなることによる活動量低下
大きな病気や転倒を一度防げれば、光熱費の節約額以上の意味があります。
設備より先に家の基本性能を上げる
太陽光発電や高効率エアコンだけを採用しても、断熱・気密性能が低ければ、暖めた空気や冷やした空気が逃げてしまいます。
優先順位は次のとおりです。
- 断熱性能を高める
- 気密性能を実測する
- 窓と日射遮蔽を計画する
- 換気による熱損失を抑える
- 高効率設備や太陽光発電を採用する
住宅会社には、商品名だけでなく、UA値、C値、換気方式、年間冷暖房負荷の根拠を確認してください。
デザインハウス甲府では、断熱等性能等級6・UA値0.46以下、C値0.7以下を目標に全棟で気密測定を行い、第一種熱交換換気を基本としています。太陽光発電だけに頼らず、まず少ないエネルギーで快適になる家をつくります。
高断熱住宅の価値は「何年で元が取れるか」だけではありません。毎月の支出を抑えながら、冬の寒さと夏の暑さを我慢せず、健康に暮らせる時間を延ばすことにあります。










