「親子間でのお金の貸し借り」で建て替える場合、贈与とみなされないためにはどうすればよいですか?
結論:契約書を作るだけでは不十分です。実際に毎月返済している事実が必要です
親から建て替え資金を借りること自体に問題はありません。
返済能力があり、契約どおりに返済している実態があれば、借入元金は原則として贈与にはなりません。
一方で、
- 返済期限が決まっていない
- 無利息である
- 実際には一度も返済していない
- 親が返済を求めていない
- 子どもに返済能力がない
- 「余裕があるときに返せばよい」としている
場合は、形式上は貸付でも、実質的な贈与と判断される可能性があります。
国税庁も、「ある時払いの催促なし」や「出世払い」のような貸借は、借入金そのものが贈与として扱われる場合があると案内しています。国税庁「親から金銭を借りた場合」
金銭消費貸借契約書に記載する内容
親子間でも、資金を移動する前に金銭消費貸借契約書を作成します。
最低限、次の内容を記載してください。
- 貸主と借主の氏名・住所
- 貸付金額
- 貸付日
- 資金の使い道
- 利率
- 返済開始日
- 毎月の返済額
- 返済日
- 最終返済日
- 返済方法
- 繰上返済の条件
- 返済が遅れた場合の扱い
- 貸主が死亡した場合の扱い
- 契約日と双方の署名
紙で契約書を作る場合は、契約金額に応じて収入印紙が必要になることがあります。
公正証書にすることは必須ではありませんが、金額が大きい場合や兄弟間の相続問題が考えられる場合は、公証人、税理士、司法書士などへの相談を検討します。
無利息なら必ず贈与になる?
親子間の無利息貸付が、直ちに借入金全額の贈与になるとは限りません。
ただし、無利息によって子どもが得た利息相当の利益が、贈与として扱われる場合があります。
また、無利息、長期間、返済実績なしという条件が重なると、最初から返済する意思のない資金援助と疑われやすくなります。
金額、返済期間、市場金利などを踏まえ、合理的な利率を設定した方が説明しやすくなります。
例えば1,000万円を年1%、15年間の元利均等返済とすると、毎月返済額は約6万円です。
ただし、1%がすべてのケースで適正という意味ではありません。契約時の金利水準を踏まえ、税理士へ確認してください。
親が受け取る利息について、所得税の申告が必要になる場合もあります。
返済能力のない契約は危険
80歳の親から65歳の子どもが2,000万円を借り、30年間で返済する契約を作っても、実現性がなければ問題があります。
確認される可能性があるのは、
- 子どもの給与・年金収入
- 毎月返済額
- 返済終了時の年齢
- 生活費とのバランス
- 既存住宅ローンなどの借入れ
- 実際の返済履歴
です。
年金収入が月15万円なのに毎月10万円を返済する契約では、継続可能性を説明しにくくなります。
親の年齢ではなく、借りる子どもが現実に完済できる条件を設定してください。
返済は必ず銀行振込で行う
返済は現金の手渡しを避け、親名義の口座へ毎月振り込みます。
通帳には、元金と利息の返済であることが分かる記録を残します。
保存したい資料は次のとおりです。
- 金銭消費貸借契約書
- 親から子への送金記録
- 住宅会社への支払記録
- 毎月の返済記録
- 返済予定表
- 繰上返済の記録
- 親が受け取った利息の記録
親から振り込まれた資金を、すぐに住宅会社へ支払うことで、建て替え資金として使った流れも確認しやすくなります。
返済したお金を親が戻すのは危険
子どもが毎月6万円を返済し、親が同額を現金で子どもへ戻していたら、実質的に返済していないと判断される可能性があります。
また、途中から親が、
- 残額を返さなくてよいと言う
- 毎年一定額を帳簿上だけ免除する
- 返済を受けたことにして実際には受け取らない
場合も注意が必要です。
債務を免除された金額は、原則としてその時点で贈与とみなされる可能性があります。国税庁「債務免除等を受けた場合」
途中で贈与へ切り替えるなら、住宅取得等資金の非課税特例や暦年課税、相続時精算課税を含め、改めて税理士へ相談してください。
親が亡くなっても借金は消えない
貸付期間中に親が亡くなっても、子どもの返済義務が自動的になくなるわけではありません。
親が持っていた貸付金返還請求権は相続財産となり、配偶者や兄弟などの相続人へ引き継がれます。
例えば、親から1,000万円を借り、死亡時に700万円残っていれば、その700万円相当の債権が相続財産に含まれる可能性があります。
借りた本人が債権を相続する場合もありますが、遺産分割や相続税の計算が必要です。
ほかの兄弟が相続すれば、親ではなく兄弟へ返済することになる可能性もあります。
契約時に、
- 親が亡くなった場合の返済先
- 残債を誰が相続するか
- 遺言書を作成するか
- 兄弟へ事前に説明するか
まで考えてください。
住宅ローンを併用する場合
親からの借入れと銀行の住宅ローンを併用する場合、金融機関へ親子間借入れを申告します。
親からの借入れも債務であり、毎月返済額が住宅ローン審査へ影響する可能性があります。
これを自己資金として申告すると、後で契約違反や審査上の問題になる恐れがあります。
また、金融機関が土地・建物へ第一順位の抵当権を設定する場合、親が同じ不動産へ担保設定できないことがあります。
借入れの順序、返済条件、抵当権について、住宅ローン申込前に確認してください。
貸付と贈与、どちらがよい?
親からの資金援助には、主に次の方法があります。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 親子間貸付 | 返済が必要。契約と返済記録を残す |
| 暦年贈与 | 年間110万円の基礎控除がある |
| 住宅取得資金贈与 | 要件を満たせば500万円または1,000万円まで非課税 |
| 相続時精算課税 | 将来の相続税計算まで考える必要がある |
| 親子リレーローン | 金融機関の審査・団信・持分に注意 |
「税金がかからないように貸付にする」のではなく、子どもが本当に返済するのかで決めます。
返済する予定がないなら、最初から贈与制度を検討した方が安全です。
契約前に確認したい8項目
- 子どもに完済できる収入があるか
- 利率と返済期間は合理的か
- 毎月銀行振込で返済できるか
- 親は返済金を子どもへ戻さないか
- 住宅ローン金融機関へ申告したか
- 建物持分は実際の資金負担と合っているか
- 親が死亡した場合、債権を誰が相続するか
- 貸付より贈与特例の方が適切ではないか
デザインハウス甲府の考え方
親子間の資金移動は、住宅会社の見積書だけでは整理できません。
- 誰が建築資金を出すか
- 贈与か貸付か
- 誰が住宅ローンを借りるか
- 土地・建物を誰の名義にするか
- 親の老後資金が十分に残るか
- 将来の相続で兄弟が揉めないか
まで確認する必要があります。
借用書を1枚作ることが対策ではありません。返済可能な契約を結び、契約どおりに振り込み続けることが、本当の貸付の証明です。
金額が大きい場合は、資金を動かす前に税理士などへ契約内容を確認してもらってください。










