別居している子どもが、将来実家へ戻る前提で建替えてもよいですか?
A. 子どもが戻る時期、同居する家族、資金負担が決まっていないなら、最初から二世帯住宅や大きな家にするのはおすすめしません。
「いつか戻るかもしれない」という言葉だけで子世帯の部屋をつくると、結局戻らず、親だけが高い建築費・固定資産税・光熱費・修繕費を負担する可能性があります。
口約束の同居予定に、数百万円をかけないことが重要です。
「戻る予定」と「戻る可能性」は違う
子どもから「将来は実家へ戻るかもしれない」と言われても、転勤、結婚、配偶者の仕事、子どもの進学などによって予定は変わります。
建替え前に、少なくとも次の点を家族で確認してください。
- 何年後に戻る予定なのか
- 子どもだけか、配偶者や孫も一緒なのか
- 完全同居か、生活を分けるのか
- 建築費を誰がいくら負担するのか
- 毎月の光熱費や修繕費をどう分担するのか
- 親の介護を誰が担うのか
- 将来、土地と建物を誰が相続するのか
- 戻らなかった場合に家をどうするのか
具体的な回答が出ないなら、現時点では「戻る前提」ではなく、戻る可能性があるだけと判断した方が安全です。
使わない部屋にもお金がかかる
将来の子世帯のために、寝室2室、子ども部屋、セカンドリビング、トイレなどを追加すれば、その分だけ建築面積が増えます。
仮に8坪増やせば、建築費だけでなく、次の負担も増えます。
- 固定資産税
- 冷暖房費
- 外壁や屋根の修繕費
- 掃除と管理の負担
- 将来の解体費
- 広い家の中を移動する負担
山梨県では、家を大きくした分だけ将来高く売れるとは限りません。使わない二世帯部分が、そのまま資産価値として回収できるとは考えない方が現実的です。
おすすめは「今は親にちょうどよく、後から変えられる家」
子どもが戻る可能性を残したい場合は、最初から完全な二世帯住宅にするのではなく、変更しやすい間取りにします。
例えば次のような方法です。
- 親夫婦は1階だけで生活を完結させる
- 予備室を客間・趣味室・将来の子世帯寝室として使う
- 収納を将来ミニキッチンへ変更できるようにする
- 将来の設備用に給排水管や専用回路を準備する
- トイレや洗面所を追加しやすい位置に配置する
- 玄関近くに、独立して使える部屋を設ける
- 将来間仕切りを追加・撤去しやすい構造にする
- 駐車スペースだけは増車を想定して確保する
子どもが戻らなかった場合でも、予備室を来客、介護、在宅勤務、収納に使えるため、無駄になりにくくなります。
子どもがお金を出す場合は名義に注意する
子どもが別居したまま建築費を負担する場合は、建物の登記持分と実際の出資額を一致させる必要があります。
例えば、親名義の建物に子どもが1,000万円を出しても、建物をすべて親名義にすると、子から親への贈与と判断される可能性があります。
子どもが負担した割合に応じて建物を共有名義にする、親子間の貸付として契約書と返済記録を残すなど、事前の整理が必要です。
国税庁も、親名義の建物に子が増築費を負担した場合、対価や持分移転がなければ、親に贈与税が課税される可能性があると説明しています。国税庁「親名義の建物に子供が増築したとき」
親の土地に子ども名義の家を建てる場合
土地は親名義、建物は子ども名義という方法もあります。
親の土地を地代や権利金なしで使用する「使用貸借」の場合、一般的には子どもへ借地権相当額の贈与があったとは扱われません。ただし、親が亡くなったとき、その土地は原則として自用地として相続税評価されます。国税庁「親の土地に子供が家を建てたとき」
また、土地を相続する子と建物を所有する子が違えば、将来の売却・修繕・建替えでトラブルになる可能性があります。
名義は税金だけでなく、相続後の使い方まで考えて決めてください。
子どもが戻ってから増築すればよい、とは限らない
「戻ってきたら増築すればよい」と考える場合もありますが、敷地の建ぺい率・容積率、斜線制限、浄化槽の人数、駐車配置などによって、希望どおり増築できないことがあります。
そのため、建築時に次の確認は必要です。
- 将来増築できる敷地余白があるか
- 建ぺい率・容積率に余裕があるか
- 増築部分と接続しやすい構造か
- 給排水・電気容量を増やせるか
- 駐車台数を増やせるか
- 市街化調整区域などで増築に制限がないか
増築工事は、住みながら行う負担や工事費の割高感もあります。最初から完成させる部分と、将来に備える部分を分けて考えることが重要です。
デザインハウス甲府では、「子どもが戻る」という希望だけで家を大きくするのではなく、戻る場合・戻らない場合の両方で資金計画と間取りを比較します。
家は、まだ決まっていない未来のために大きくするものではありません。今の親世帯にちょうどよく、家族構成が変わったときに無理なく対応できる家が、最も後悔の少ない建替えです。










