工期の延期を繰り返す住宅会社は、倒産の前兆?
Q. 住宅会社から完成予定日の延期を何度も伝えられています。工期の遅れは、倒産の前兆でしょうか?
A. 工期の延期だけで倒産とは断定できません。しかし、現場が長期間止まり、延期理由が毎回変わり、工程表を出さず、支払いだけを求めてくる場合は、資金繰り悪化を疑う必要があります。
住宅工事には、天候や資材不足など、住宅会社だけでは防げない遅延もあります。
見るべきなのは、延期した回数だけではありません。
なぜ遅れたのか
いつ再開するのか
誰が工事するのか
材料は発注されているのか
この4点を、住宅会社が書面で説明できるかどうかです。
倒産と関係しない工期延期もある
次のような理由で、工期が延びることはあります。
- 台風・大雨・大雪
- 地震などの災害
- 地盤改良の追加
- 建築確認や各種申請の遅れ
- 施主による設計・仕様変更
- 特注設備の納期遅延
- 資材の全国的な供給不足
- 職人の病気や事故
- 近隣対応
- 電気・水道など公共工事の遅れ
こうした場合でも、健全な住宅会社なら、
- 遅延理由
- 現在の工事進捗
- 新しい工程表
- 完成予定日
- 仮住まいへの影響
- 追加費用の負担
- 現場の養生方法
を説明します。
合理的な遅延かどうかは、理由だけでなく、その後の対応で判断できます。
資金繰り悪化を疑う10の危険信号
次の項目が複数重なった場合は注意してください。
- 延期理由が毎回変わる
- 新しい完成日を明言しない
- 変更工程表を提出しない
- 現場に職人が来なくなった
- 資材が長期間搬入されない
- 現場監督と連絡が取れない
- 下請業者が途中で変わる
- 工事が遅れているのに中間金を請求する
- 下請業者から未払いの話を聞く
- 完成保証機関への確認を嫌がる
特に危険なのは、
現場は止まっているのに、支払いだけは契約どおり求められる状態
です。
住まいるダイヤルにも、上棟時まで代金の3分の2を支払った後、工事がほとんど進まなくなった相談事例があります。回答では、工程表を要求するとともに、住宅会社の経営状態を確認し、経営悪化が原因なら工事途中の倒産もあり得ると注意を促しています。
住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅の新築工事が大幅に遅延」
工事が止まると、何が起きている可能性がある?
1.下請業者への未払い
大工、基礎業者、電気業者などが、住宅会社から代金を受け取れず、現場へ来なくなっている可能性があります。
住宅会社は施主へ、
「職人の都合がつかない」
と説明するかもしれません。
しかし、複数の業者が同時に来なくなった場合は、単なる人手不足ではなく、未払いを疑う必要があります。
2.資材業者が納品を止めている
住宅会社の支払いが遅れると、建材店や設備メーカーが納品条件を変更する可能性があります。
- サッシが入らない
- 外壁材が届かない
- キッチンが納品されない
- 木材が入らない
といった状態が長く続く場合は、住宅会社が資材代を支払えているか確認してください。
3.新しい契約金が入るまで工事できない
資金繰りが悪化した住宅会社では、新しい顧客から契約金が入らないと、現在進行中の現場を動かせない場合があります。
新規契約が取れれば一時的に工事が再開し、再び資金がなくなると止まる。この繰り返しになることがあります。
4.現場監督や社員が退職している
給与遅延や経営不安によって、現場監督、営業担当者、設計担当者が相次いで退職する場合があります。
担当者が頻繁に変わり、引き継ぎもされていなければ、会社内部で異変が起きている可能性があります。
工期延期の「説明」で見分ける
比較的信頼できる説明
外壁材メーカーから納期が3週間遅れる通知が届きました。通知書はこちらです。外壁工事以外を先に進め、新しい完成予定日は10月20日です。
具体的な資料、代替工程、新しい完成日があります。
警戒するべき説明
職人が忙しくて……。来週には入れると思います。完成日はまだ分かりませんが、大丈夫です。
理由が曖昧で、工程表も完成予定日もありません。
「大丈夫です」という言葉ではなく、日付と書面で判断してください。
何日止まったら危険?
工種の切り替わりやコンクリートの養生など、現場に職人がいない日があるのは正常です。
そのため、単純に「3日止まったから危険」とは判断できません。
実務上は、次の状態を警戒してください。
- 工程表上の作業日なのに1週間以上動きがない
- 2週間以上、新しい資材が入っていない
- 再開予定日を2回以上破っている
- 1か月以上、目に見える工事が進んでいない
- 完成予定日を2回以上変更している
- 変更後の工程表を提出しない
これは倒産を断定する基準ではなく、調査を開始する目安です。
工期延長で施主はいくら損する?
工事が6か月延びた場合を考えます。
- 仮住まい家賃:月8万円
- つなぎ融資利息:月2万5,000円
- 荷物保管料:月1万5,000円
- 毎月の追加負担:12万円
12万円×6か月=72万円
工事費が増えなくても、完成が6か月遅れるだけで72万円の負担です。
さらに、
- 引越しのキャンセル料
- 融資期間の変更手数料
- 資材価格の上昇
- 引き継ぎ会社への追加費用
が発生する可能性があります。
まず変更工程表を要求する
工期延期の連絡を受けたら、口頭だけで了承せず、次の内容を書面でもらいます。
- 遅延が発生した理由
- どの工事が遅れているか
- 現在の工事出来高
- 未発注・未納品の資材
- 今後現場へ入る下請業者
- 工事再開日
- 新しい完成予定日
- 遅延中の現場保全方法
- 仮住まい費用などの負担
- 変更後の支払予定
国土交通省の民間建設工事標準請負契約約款でも、工期、支払方法、工程表などを契約上明確にし、工程に基づいて工事を管理する仕組みが示されています。
国土交通省「民間建設工事標準請負契約約款」
工事が遅れている間の支払い
契約上の支払条件が、
上棟・構造検査完了後
となっているなら、その工程へ到達していない段階で支払うべきではありません。
一方、日付だけで支払日が決められている場合は、契約書や約款の確認が必要です。自己判断で支払いを止めず、工事監理者、完成保証機関、金融機関、専門家へ相談してください。
JIO完成サポートでは、工事の進捗に応じて支払割合を定め、その割合を超えて支払った金額はサポート対象外になるとしています。
JIO「完成サポート 一般タイプ」
工事が遅れているのに支払いだけ進めると、完成保証の対象外になる可能性があります。
倒産が疑われる場合の行動
1.現場を毎日記録する
写真と動画で、工事進捗、置かれている資材、現場の養生状態を記録します。
2.支払額と出来高を比較する
支払済み金額が、実際の工事価値をどれだけ上回っているか確認します。
3.完成保証機関へ直接連絡する
- 保証が有効か
- 現在の支払額が条件内か
- 工事停止を報告する必要があるか
- 事故扱いとなる条件
を確認します。
4.金融機関へ連絡する
つなぎ融資や分割融資の次回実行を止められるか確認します。
5.住宅会社へ書面で回答期限を設定する
工事再開日、工程表、完成予定日について、回答期限を設けて書面で求めます。
6.専門家へ相談する
契約解除や損害賠償を検討する場合は、破産申立て前に弁護士や住まいるダイヤルへ相談します。
途中で別会社へ勝手に工事を依頼すると、元の契約や完成保証へ影響する可能性があります。
住宅会社への確認文
工事の進行が工程表より遅れており、完成予定日も複数回変更されています。遅延理由、現在の出来高、未発注資材、下請業者の予定、工事再開日、新しい完成予定日を記載した変更工程表を○月○日までに提出してください。次回支払いについては、契約上の工程到達と完成保証機関への確認後に判断します。
電話だけで終わらせず、メールや書面で記録を残してください。
デザインハウス甲府からのアドバイス
一度の延期だけで、住宅会社の倒産を疑う必要はありません。
しかし、
延期する
説明しない
工程表を出さない
現場は動かない
支払いだけ求める
この状態が続くなら、単なる工事遅延ではありません。
デザインハウス甲府では、工程と支払いを連動させ、全棟に完成保証を付けています。
工期が遅れたとき、住宅会社の本当の姿が見えます。
問題が起きない会社が信頼できるのではありません。
問題が起きたときに、理由・日付・対応策を隠さず説明できる会社が信頼できるのです。










