Q. 家計簿をつけるべき?
A. 住宅購入を考えているなら必要です。ただし、1円単位で記録する必要はありません。
家計簿の目的は、細かい支出を反省することではありません。
住宅ローンを払った後に、
- 教育費を積み立てられるか
- 車を買い替えられるか
- 住宅を修繕できるか
- 収入が減っても生活できるか
- 老後資金を残せるか
を確認することです。
毎日のコーヒー代を記録して疲れるより、住宅、保険、車、通信、教育などの大きな支出を把握する方が効果的です。
家計簿をつけないと住宅予算を決められない
住宅会社や金融機関では、年収から住宅ローンの借入可能額を計算できます。
しかし、年収だけでは返せる金額は分かりません。
同じ年収600万円でも、家庭によって支出は違います。
- 子どもの人数
- 車の台数
- 保険料
- 習い事・塾
- 奨学金やカーローン
- 親への援助
- 外食・旅行
- 将来の進学希望
毎月いくら使い、年間でいくら残っているか分からなければ、安全な住宅予算は計算できません。
家計簿をつけずに家を買うことは、燃料残量を見ずに長距離運転を始めるようなものです。
1円単位の家計簿は必要ない
家計簿が続かない最大の理由は、細かく記録しすぎることです。
- スーパーのレシートを品目ごとに分ける
- 現金支出を毎日入力する
- 数十円の誤差まで合わせる
- すべての支出を細かく分類する
住宅資金計画では、ここまで行う必要はありません。
最初に把握するのは、次の5項目です。
| 分類 | 主な内容 |
|---|---|
| 固定費 | 家賃・保険・通信・ローン・習い事 |
| 変動費 | 食費・日用品・光熱費・娯楽 |
| 特別費 | 税金・車検・旅行・家電・冠婚葬祭 |
| 積立 | 教育・車・住宅修繕・老後 |
| 残高 | 預金・投資・ローン残高 |
月単位で大まかに把握できれば、住宅購入の判断には十分役立ちます。
最初に固定費を確認する
固定費は毎月自動的に出ていくため、一度見直すと効果が続きます。
確認する項目は次のとおりです。
- 家賃
- 駐車場代
- 生命保険
- 医療保険
- 自動車保険
- 携帯電話
- インターネット
- 動画・音楽などの定額サービス
- 習い事・塾
- 奨学金
- カーローン
- リボ払い
- その他の分割払い
月5,000円の固定費でも、年間では6万円、10年間では60万円です。
毎日の食費を無理に削る前に、使っていない保険や定額サービスを確認する方が、生活への負担を抑えながら支出を減らせます。
特別費を忘れてはいけない
毎月の家計が黒字でも、貯金が増えない家庭があります。
原因の多くは、毎月発生しない特別費です。
- 自動車税
- 固定資産税
- 車検
- 自動車整備
- 火災・地震保険
- 家具・家電
- 旅行
- 帰省
- 入学・進学
- 冠婚葬祭
- 医療費
- 住宅修繕
例えば、毎月3万円黒字でも、年間60万円の特別費があれば、年間収支は24万円の赤字です。
家計は月単位ではなく、年間で確認する必要があります。
ボーナスを収入に入れなくても暮らせるか
ボーナスを前提に住宅ローンを組むと、減額や不支給になった場合に家計が崩れます。
安全性を確認するときは、まずボーナスを除いた毎月の収入だけで計算します。
ボーナスは次の目的へ優先的に振り分けます。
- 税金・保険
- 車検・車の買い替え
- 教育費
- 住宅修繕
- 生活防衛資金
- 老後資金
ボーナスを住宅ローン返済と日常生活費の補填に使わなければならない場合、毎月の固定費が高すぎる可能性があります。
住宅購入前に3か月記録する
住宅購入を考え始めたら、最低3か月間の家計を記録してください。
3か月あれば、食費、光熱費、日用品、外食などの平均を把握できます。
さらに、過去1年間の銀行口座とクレジットカードの履歴から、特別費を確認します。
3か月で確認する数字
- 毎月の手取り収入
- 毎月の生活費
- 現在の住居費
- 毎月のローン返済
- 教育費
- 毎月の積立額
- 実際に増えた預金額
家計簿上では月5万円余っているのに、1年間で預金が20万円しか増えていなければ、記録されていない支出が年間40万円あります。
計算上の黒字ではなく、預金残高が実際に増えたかで確認します。
家計簿より預金残高が正直
家計簿の入力を間違えても、預金残高はごまかせません。
1年前の預金残高が500万円で、現在が530万円なら、年間で実際に増えた金額は30万円です。
ボーナスを含む年間手取りが550万円なら、年間支出はおおよそ520万円だったことになります。
住宅購入前には、次の式で確認してください。
年間手取り収入-1年間で増えた金融資産=年間支出
投資商品の価格変動、贈与、臨時収入、大きな資産購入がある場合は調整します。
細かなレシートがなくても、家計全体の実態を把握できます。
住宅購入後の家計を作る
現在の家計が分かったら、住宅購入後の支出へ置き換えます。
現在の家計
| 項目 | 月額例 |
|---|---|
| 手取り収入 | 40万円 |
| 生活費 | 22万円 |
| 家賃 | 8万円 |
| 教育積立 | 3万円 |
| 車・特別費積立 | 3万円 |
| 老後積立 | 2万円 |
| 余裕 | 2万円 |
住宅購入後
| 項目 | 月額例 |
|---|---|
| 手取り収入 | 40万円 |
| 生活費 | 22万円 |
| 住宅ローン | 9万円 |
| 税金・保険・修繕積立 | 3万円 |
| 教育積立 | 3万円 |
| 車・特別費積立 | 3万円 |
| 老後積立 | 2万円 |
| 収支 | -2万円 |
家賃8万円が住宅ローン9万円になるだけなら、月1万円の増加に見えます。
しかし、固定資産税、保険、修繕積立を加えると月4万円増え、家計は赤字になります。
この場合は住宅予算を下げるか、固定費を見直す必要があります。
住宅ローン以外の住宅費を入れる
住宅購入後の家計簿には、次の費用を月割りで入れます。
| 項目 | 月額の想定例 |
|---|---|
| 固定資産税 | 1万円 |
| 火災・地震保険 | 3,000円 |
| 住宅修繕積立 | 1万〜2万円 |
| 自治会費など | 1,000〜3,000円 |
| 合計 | 約2万4,000〜3万6,000円 |
住宅ローンが月9万円なら、実質住宅費は約11万4,000〜12万6,000円です。
「家賃と同じ返済額」という説明だけで判断してはいけません。
教育費は支出ではなく先取り積立にする
教育費は、必要になった月に支払うだけでは準備できません。
大学資金500万円を、子どもが8歳から18歳までの10年間で準備するなら、運用益を考慮しない単純計算で月約4万1,700円です。
住宅ローンを払った後に余った金額を教育費へ回すのではありません。
給料が入った時点で、教育費を別口座へ移します。
子どもが二人なら、進学時期と必要額を一人ずつ分けて管理してください。
家計簿は5つの口座で簡単になる
家計を細かく記録する代わりに、お金の置き場所を分ける方法があります。
1. 生活口座
食費、光熱費、通信費、日用品など、毎月の生活に使います。
2. 住宅口座
住宅ローン、固定資産税、火災・地震保険、修繕費を管理します。
3. 教育口座
学費、塾、受験、大学進学資金を積み立てます。
4. 車・特別費口座
車検、税金、車の買い替え、旅行、家電などに使います。
5. 生活防衛・老後口座
収入減少、病気、介護、老後に備えます。
給料日に自動で振り分ければ、毎日の家計簿を細かくつけなくても、目的別の残高を確認できます。
家計簿アプリを使う場合
家計簿アプリを使うなら、銀行口座とクレジットカードを連携し、自動記録を中心にします。
分類は細かくしすぎず、次の程度で十分です。
- 住居
- 食費・日用品
- 光熱・通信
- 教育
- 車
- 保険
- 娯楽
- 特別費
- 貯蓄・投資
毎日確認する必要はありません。
月に一度、夫婦で30分程度確認し、次の3点だけ話し合います。
- 今月の赤字・黒字
- 大きかった支出
- 来月予定されている特別費
家計簿を夫婦どちらかへの監視や責任追及に使うと続きません。
家族の目標を守るための資料として使います。
削ってはいけない支出もある
家計改善というと、すべての支出を削ろうとしがちです。
しかし、次の支出まで無理に削るべきではありません。
- 子どもの必要な教育費
- 健康維持に必要な医療費
- 十分な食費
- 火災・地震保険
- 住宅修繕
- 家族で過ごすための最低限の娯楽費
先に見直すのは、住宅予算、車の購入額、過剰な保険、使用していない定額サービスなどの大きな固定費です。
月3万円高い住宅ローンを組み、毎日の食費を1,000円削る生活は長続きしません。
家計簿から住宅予算を逆算する
住宅予算は、年収からではなく、現在の家計から逆算します。
例えば、現在の家賃が8万円で、毎月5万円貯金できている家庭でも、5万円すべてを住宅ローンの増額へ使ってはいけません。
その5万円には、将来必要になる次のお金が含まれています。
- 教育費
- 車の買い替え
- 住宅修繕
- 老後資金
- 収入減少への予備費
現在の家賃に追加できるのは、必要な積立額を引いた後の金額です。
家計簿をつけても意味がない使い方
次のような使い方では、記録しても家計は改善しません。
- 記録するだけで振り返らない
- 数百円の支出だけを責める
- 年間の特別費を入れない
- ボーナスを毎月の赤字補填に使う
- 預金残高を確認しない
- 住宅購入後の家計を作らない
- 夫婦で数字を共有しない
家計簿の目的は、きれいな表を作ることではありません。
住宅予算や積立額を決め、実際の行動を変えることです。
俺流結論
住宅購入を考えているなら、家計簿はつけるべきです。
ただし、毎日の支出を1円単位で記録する必要はありません。
把握すべきなのは、
- 毎月の固定費
- 平均的な生活費
- 年間の特別費
- 目的別の積立額
- 実際の資産残高
この5つです。
家計が分からない状態で住宅ローンを組むと、借りられる金額が住宅予算になってしまいます。
しかし、本当に必要なのは、教育費、車、修繕費、老後資金を確保した後に、住宅へいくら使えるかを知ることです。
家計簿は、過去のお金を反省するためのものではありません。
家を建てた後も家族が困らないように、未来のお金を守るためのものです。










