Q. 子育て世代の理想的な資金計画とは?
A. 教育費を先に確保し、収入が減っても70歳前後までに住宅ローンを完済できる計画です。
子育て世代の住宅資金計画で、最も危険なのは「今の年収なら払える」という判断です。
これから家計には、教育費、車の買い替え、住宅修繕、固定資産税、老後資金が重なります。
理想的な資金計画とは、住宅ローンだけを払える計画ではありません。
- 教育費を守れる
- 現金を残せる
- 収入減少に耐えられる
- 金利上昇に対応できる
- 70歳前後までの完済を目指せる
- 90歳まで資産が残る
この6項目を満たす計画です。
最初に住宅予算を決めてはいけない
一般的な住宅営業では、最初に住宅ローンの借入可能額を計算します。
しかし、その順番が逆です。
正しい順番は次のとおりです。
- 毎月の生活費を確保する
- 教育資金の積立額を決める
- 車・税金・修繕費を積み立てる
- 生活防衛資金を残す
- 老後資金を確保する
- 残った金額から住宅予算を決める
銀行が貸してくれる金額は、教育費や老後生活まで保証した金額ではありません。
住宅金融支援機構のシミュレーションでも、住宅取得費だけでなく、毎月の家計収支や将来のライフイベントを含めた試算ができます。
月々の理想的な家計配分
例えば、手取り月収40万円の子育て世帯なら、次の配分が一つの目安です。
| 項目 | 月額 | 手取りに対する割合 |
|---|---|---|
| 生活費 | 18万円 | 45% |
| 住宅費 | 10万円 | 25% |
| 教育資金 | 4万円 | 10% |
| 車・税金積立 | 3万円 | 7.5% |
| 住宅修繕積立 | 1万円 | 2.5% |
| 老後資金 | 2万円 | 5% |
| 予備費 | 2万円 | 5% |
| 合計 | 40万円 | 100% |
住宅費には、住宅ローンだけでなく、固定資産税、火災・地震保険、将来の修繕費も含めて考えます。
住宅ローンが月10万円でも、税金、保険、修繕積立を加えると、実質的な住宅費は月12万〜13万円になる場合があります。
「家賃と同じ返済額だから大丈夫」という説明だけでは不十分です。
教育費を先に確保する
文部科学省の令和5年度「子供の学習費調査」を基にすると、幼稚園から高校まで、すべて公立でも約599万円の学習費がかかります。
大学へ進学すれば、さらに数百万円が必要です。
自宅外通学になれば、授業料だけでなく家賃や生活費の仕送りも発生します。詳しい統計は文部科学省「子供の学習費調査」で確認できます。
子ども二人なら、大学進学が重なる時期も確認しなければなりません。
例えば、子どもが8歳と6歳の場合、10年後と12年後に大学進学を迎えます。
住宅購入時に見るべきなのは、現在の返済額ではなく、その時点の住宅ローン残高と教育資金残高です。
大学資金は一人500万円を一つの目標にする
大学入学までに、子ども一人当たり500万円を準備する計画が一つの基準です。
| 子どもの現在年齢 | 大学までの期間 | 500万円を貯める月額 |
|---|---|---|
| 0歳 | 18年 | 約2万3,200円 |
| 5歳 | 13年 | 約3万2,100円 |
| 8歳 | 10年 | 約4万1,700円 |
| 12歳 | 6年 | 約6万9,500円 |
すでにある貯蓄や児童手当を充てる場合は、必要積立額を減らせます。
重要なのは、住宅ローンを組んだ後に残ったお金を教育費へ回すのではなく、教育費を先に確保することです。
頭金を入れすぎない
頭金を多く入れれば、住宅ローンの借入額と毎月返済額は減ります。
しかし、現金を使い切ってはいけません。
住宅購入後も、最低限次のお金は残します。
- 生活費6か月分
- 引っ越し・家具・家電費
- 車の買い替え資金
- 教育資金
- 固定資産税
- 医療費などの緊急資金
- 予備の住宅修繕費
毎月の生活費が30万円なら、生活防衛資金だけでも180万円です。
頭金を200万円増やした結果、貯金がほぼゼロになるなら、その頭金は入れすぎです。
住宅ローン残高が少ない安心より、手元に使える現金がない危険の方が大きい場合があります。
住宅ローンは70歳前後の完済を目指す
35歳で35年ローンを組めば、完済は70歳です。
45歳で35年ローンを組めば、完済は80歳です。
審査に通る年齢と、安全に返済できる年齢は違います。
退職後も住宅ローンが残る場合は、次の数字を確認します。
- 退職時の住宅ローン残高
- 年金受給額
- 退職後の毎月返済額
- 退職金を使わない場合の完済年齢
- 90歳時点の金融資産
- 配偶者一人になった場合の収支
退職金で完済する計画は、退職金を住宅に使っても老後資金が残る場合に限ります。
最初から退職金を全額返済へ回す計画は危険です。
共働き収入を満額使わない
共働き世帯では、夫婦二人の現在収入を前提に借入額を増やしやすくなります。
しかし、出産、育児、介護、病気、転職によって、どちらかの収入が減る可能性があります。
住宅ローンは、原則として次のどちらかで設計します。
- 主たる収入だけでも最低限返済できる
- 片方の収入が半分になっても赤字にならない
夫婦二人の収入を限界まで住宅ローンへ使うと、共働きを辞められない家計になります。
家族のために建てた家が、家族の働き方を縛ってはいけません。
金利上昇を試算する
変動金利を選ぶ場合、現在の金利だけで判断してはいけません。
借入3,500万円、35年返済の概算では、金利によって毎月返済額が次のように変わります。
| 金利 | 毎月返済額の目安 |
|---|---|
| 1.0% | 約9万9,000円 |
| 2.0% | 約11万6,000円 |
| 3.0% | 約13万5,000円 |
金利1%と3%では、毎月約3万6,000円の差です。
金利が上がったとき、教育資金の積立を止めなければ返済できない計画なら、最初から借りすぎです。
車の買い替え費用を忘れない
山梨県の子育て世帯では、夫婦それぞれに車が必要になる家庭も少なくありません。
車1台300万円、10年ごとに買い替えるなら、単純計算で月2万5,000円の積立が必要です。
夫婦2台なら、買い替え時期によっては600万円になります。
住宅ローン審査時にカーローンがなかったとしても、35年間一度も車を買い替えない家庭はほとんどありません。
住宅ローンを限界まで借り、車を毎回ローンで購入する資金計画は、家計を借金から抜け出せなくします。
修繕費は新築時から積み立てる
新築住宅でも、将来は必ず修繕が必要です。
- 給湯器
- エアコン
- 太陽光発電設備
- 外壁・屋根
- 水回り設備
- 防水・シーリング
- 家電製品
住宅修繕用として、最低でも月1万〜2万円を別口座へ積み立てることをおすすめします。
「壊れたら考える」では、そのたびにリフォームローンやカードローンを使うことになります。
高性能住宅は家計防衛にもなる
住宅性能を落として建築費を安くしても、光熱費が高くなれば、住んでからの支出は増えます。
比較すべきなのは建物価格だけではありません。
住宅に必要な総額に加え、次の費用まで比較します。
- 住宅ローン総返済額
- 35年間の光熱費
- 修繕費
- 太陽光発電による削減効果
- 金利上昇時の返済額
- 退職時のローン残高
高断熱・高気密住宅によって削減できた光熱費を使ってしまわず、専用口座へ積み立てる方法もあります。
積立額が50万円に達した段階で期間短縮型の繰上返済を行えば、完済年齢を早められる可能性があります。
ただし、教育費や生活防衛資金を削って繰上返済してはいけません。
理想的な資金計画の合格条件
次の項目をすべて確認できれば、比較的安全性の高い計画です。
- 建築に必要な総額が契約前に分かっている
- 建築後も生活費6か月分以上の現金が残る
- 子ども一人ずつの教育資金が計算されている
- 車の買い替え費用を積み立てられる
- 住宅修繕費を積み立てられる
- 金利3%でも家計が赤字にならない
- 収入が減っても返済を継続できる
- 70歳前後までの完済を目指せる
- 90歳までの資産推移を確認している
一つでも確認できていないなら、建物を諦めるのではなく、住宅総額、借入額、返済期間、生活費を再調整します。
俺流結論
子育て世代の理想的な資金計画は、住宅ローン審査に通る計画ではありません。
教育費を守り、現金を残し、車と修繕費を準備し、収入減少や金利上昇にも耐え、70歳前後までの完済を目指せる計画です。
住宅会社が勧める家を基準に借入額を決めてはいけません。
家族の未来に必要なお金を先に確保し、残った予算で建てられる家を考える。
これが正しい順番です。
住宅会社にとって都合のよい資金計画ではなく、建てた家族が30年後も笑っていられる資金計画を作るべきです。










