完了検査前に倒産したら、検査済証は取得できる?
Q. 住宅がほぼ完成していますが、完了検査を受ける前に住宅会社が倒産しました。施工会社がなくなっても、検査済証は取得できるのでしょうか?
A. 住宅会社が倒産しても、検査済証を取得できる可能性はあります。建築確認が直ちに無効になるわけではなく、建築主が新しい建築士や施工会社と協力し、残工事・必要書類・現場の適法性を整えたうえで完了検査を申請します。
ただし、工事写真や施工記録が残っていない、確認申請と異なる工事が行われている場合は、追加調査や是正工事が必要になり、検査済証の取得が難しくなることがあります。
施工会社が倒産しても申請できる理由
完了検査は、完成した建物が建築確認を受けた計画や建築基準関係規定に適合しているかを確認する手続です。
「施工会社が完了検査を申請する」と思われがちですが、建築基準法上、完了検査を申請する立場は建築主です。
実務では住宅会社や建築士が手続を代行することが多いため、住宅会社が倒産すると申請手続も止まってしまいます。しかし、建築主が新しい建築士などへ依頼し、手続を引き継ぐことは可能です。
建築基準法第7条では、建築主が工事完了後に検査を申請することが定められています。
最初に指定確認検査機関へ連絡する
住宅会社の倒産を知ったら、建築確認を行った指定確認検査機関または特定行政庁へ連絡します。
確認済証に、建築確認を行った機関名と確認番号が記載されています。
次のように伝えてください。
「施工会社が倒産し、完了検査前で工事が止まりました。別の施工会社と工事監理者へ変更して、完了検査を受けるには何が必要ですか?」
必要な届出や書類は、建物の規模、工事の進捗、設計変更の有無、審査機関によって異なります。
自己判断で書類を作り直すのではなく、最初に審査機関へ必要な手続を確認することが重要です。
引き継ぐために集める書類
新しい建築士や施工会社が完了検査へ進めるためには、倒産した住宅会社から次の資料を回収する必要があります。
- 確認済証
- 建築確認申請書の副本
- 設計図書
- 構造計算書
- 省エネ関係書類
- 中間検査合格証
- 工事監理報告書
- 基礎配筋などの工事写真
- 第三者検査の記録
- 設計変更や追加工事の記録
- 住宅瑕疵保険の検査記録
破産管財人や代理人弁護士が書類を保管している場合もあります。
倒産した会社の事務所へ勝手に入り、書類を持ち出すことはできません。破産管財人へ、建築確認関係書類や工事記録の引き渡しを正式に求めます。
工事写真がないと検査が難しくなる
完了検査では、完成後に目視できる部分だけでなく、施工中に隠れてしまった部分の確認が必要になることがあります。
例えば、
- 基礎の鉄筋
- 柱や梁の接合金物
- 耐力壁
- 断熱材
- 防火に関係する施工
- 省エネ基準に関係する施工
などです。
国土交通省のオンライン講座でも、完成時に直接確認できない部分について、工事写真などを確認する場合があるため、工事写真を撮影・整理するよう示されています。国土交通省「改正建築物省エネ法オンライン講座」
記録が不足している場合は、壁や天井の一部を開けて確認する、追加資料を作成する、専門家による調査を行うなどの対応を求められる可能性があります。
確認申請と違う工事があった場合
倒産前の住宅会社が、確認申請図面と異なる施工をしている場合もあります。
- 窓の位置や大きさが変わっている
- 耐力壁の位置が変わっている
- 建物の高さや配置が違う
- 設備や断熱仕様が変更されている
- 外構計画が確認申請と違う
変更内容によっては、軽微な変更の説明で済む場合と、計画変更の確認申請が必要になる場合があります。
必要な手続を行わずに完了検査を受けると、是正を求められ、検査済証が交付されない可能性があります。
検査済証が出ないと何が困る?
検査済証がないと、直ちに家が無価値になるわけではありません。
しかし、将来、次のような場面で問題になる可能性があります。
- 住宅を売却するとき
- 増築や大規模リフォームをするとき
- 住宅ローンを借り換えるとき
- 建物の適法性を証明するとき
- 補助金や各種制度を利用するとき
- 金融機関や買主から提示を求められたとき
住まいるダイヤルには、施工会社の手続ミスにより検査済証が交付されず、後から取得しようとして難航した事例もあります。時間が経過するほど、施工状況の確認や資料の回収が難しくなるため、倒産後すぐに動くことが重要です。住まいるダイヤル「検査済証が発行されない事例」
検査済証を取得するまでの流れ
- 破産管財人へ契約と書類の扱いを確認する
- 確認済証と設計図書を回収する
- 指定確認検査機関または特定行政庁へ相談する
- 新しい施工会社と工事監理者を決める
- 必要な変更届や手続を行う
- 現場と設計図書の相違を調査する
- 残工事と是正工事を完了させる
- 建築主名義で完了検査を申請する
- 検査で指摘された部分を是正する
- 検査済証の交付を受ける
必要な手続は案件ごとに異なるため、必ず審査機関と建築士の指示に従ってください。
デザインハウス甲府からのアドバイス
完了検査前の倒産で大切なのは、施工会社を探すことだけではありません。
それまでの工事が、設計図どおりに行われたことを証明できる資料を確保することです。
デザインハウス甲府では、確認申請図書、構造計算書、重要工程の検査記録、工事写真を保存し、完成後は完了検査を受けて検査済証を取得します。さらに、万一の工事中倒産に備えて、全棟に住宅完成保証を付けています。
住宅会社と契約する前に、次の質問をしてください。
「完了検査前に御社が倒産した場合、確認申請書類と工事写真は、施主がすぐ受け取れますか?」
「別の施工会社へ変更しても、検査済証を取得できる体制になっていますか?」
検査済証は、住宅会社のための書類ではありません。
その家が将来、売却・増改築・借り換えをするときまで、施主の財産を守る重要な証明書です。










