完成保証があっても、保証されないケースとは?
A. 完成保証証書があっても、すべての工事停止や損失が保証されるわけではありません。保証開始前の倒産、工事進捗を超えた先払い、保証タイプの対象外費用、施主都合の契約解除、自然災害などは、保証されない可能性があります。
住宅完成保証を利用するには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 自分の建物に有効な完成保証が付いている
- 工事停止の原因が保証事故として認められる
- 発生した損失が保証対象と限度額の範囲に入っている
どれか一つでも満たさなければ、完成保証が付いていると思っていても、保証金が支払われない可能性があります。
完成保証は「倒産したら何でも払われる制度」ではなく、保証約款で決められた事故と損失だけを守る制度です。
1. 住宅会社が登録されているだけ
住宅会社が保証機関の登録事業者でも、自分の建物が自動的に保証されるとは限りません。
住宅ごとに、
- 個別申請
- 保証機関の審査
- 保証料の支払い
- 保証証書・確認書の発行
などが必要な制度があります。
住宅あんしん保証も、住宅会社が事業者登録を完了しただけでは保険・保証加入にはならず、住宅または工事ごとの申し込みが必要だと案内しています。住宅あんしん保証「住宅所有者様へ」
ホームページに保証機関のロゴがあっても、自分の建物に保証番号がなければ保証されない可能性があります。
2. 保証開始前に住宅会社が倒産した
完成保証は、申し込みを行った日から必ず始まるとは限りません。
例えばJIO完成サポートでは、施主の手元に「JIO完成サポート確認書」が届いた時点から効力が発生するとされています。JIO「完成サポート一般タイプ」
そのため、
- 申請する予定だった
- 住宅会社が書類を準備していた
- 保証機関へ申込書を送った
- 現在審査中だった
という段階で倒産した場合、保証開始前として扱われる可能性があります。
契約前に説明を聞くだけでなく、保証証書・確認書が自分の手元に届いたことを確認してください。
3. 工事の遅れだけで、倒産や工事継続不能と認められない
工期が遅れている、現場に職人が来ない、担当者と連絡が取りにくいというだけで、すぐ完成保証を使えるとは限りません。
完成保証では、一般的に、
- 破産
- 民事再生
- 支払い停止
- 銀行取引停止
- 事業廃止
- その他、住宅会社の責任で工事継続が不可能な状態
などを保証機関が確認します。
住宅保証機構も、住宅会社の責任によって工事を継続できなくなったと同機構が認めた場合を保証事故としています。住宅保証機構「住宅完成保証制度」
したがって、
- 単なる工期遅延
- 一時的な資材不足
- 施主と住宅会社の契約トラブル
- 施工内容への不満
- 営業担当者との人間関係
- 会社再編後も工事継続が可能な場合
などは、完成保証の保証事故として認められない可能性があります。
4. 施主の判断で契約を解除した
住宅会社の対応が悪い、工事が遅い、希望と違うという理由で、施主が先に請負契約を解除した場合、完成保証を使えない可能性があります。
完成保証は、施主が自由に住宅会社を変更するための制度ではありません。
契約を解除する前に、
- 住宅会社の契約違反
- 工事継続の可能性
- 完成保証の事故認定
- 解除後の保証の扱い
を保証機関と弁護士などへ確認してください。
先に契約を解除してから保証機関へ連絡すると、自ら工事を止めたと判断される危険があります。
5. 施主の未払いで工事が止まった
契約上の支払期日が来ているのに、正当な理由なく施主が工事代金を支払わず、住宅会社が工事を止めた場合は、完成保証の対象外になる可能性があります。
一方、工事進捗に到達していないのに支払いを求められた場合や、住宅会社の経営悪化が疑われる場合は、判断が異なります。
自己判断だけで支払いを止めず、
- 契約書
- 工程表
- 現在の出来高
- 完成保証の支払い条件
- 金融機関の融資条件
を確認してください。
6. 保証制度の支払い割合を超えて先払いした
完成保証では、工事進捗に応じた支払い上限が定められている場合があります。
その条件を超えて支払った金額は、保証対象外になる可能性があります。
例えば、請負金額2,800万円で、その工事段階の支払い上限が30%だったとします。
支払い上限は、
2,800万円×30%=840万円
です。
ところが、住宅会社から求められて1,400万円を支払っていた場合、
1,400万円-840万円=560万円
この560万円が保証対象外になる可能性があります。
住まいるダイヤルも、住宅会社倒産時の払い戻しは難しいため、工事の進行状況に合わせて支払い、過払いを避けるよう注意を促しています。住まいるダイヤル「工事前に建設業者が倒産」
7. 保証タイプに前払い金が含まれていない
同じ完成保証機関でも、保証タイプによって守られる費用が異なる場合があります。
JIO完成サポートの一般タイプでは、前払い金と出来高の差額や増嵩工事費用がサポート範囲となります。
一方、Mタイプでは、増嵩工事費用は対象になりますが、前払い金と出来高の差額による損失は対象外です。JIO「完成サポート」
例えば、
- 前払い金の損失:400万円
- 増嵩工事費用:150万円
が発生しても、前払い金が対象外のタイプなら、400万円部分は保証されない可能性があります。
「完成保証が付いているか」だけでなく、「どのタイプが付いているか」が重要です。
8. 保証限度額を超えている
保証対象となる損失でも、保証証書に記載された限度額を超えた部分は施主負担になる可能性があります。
例えば、
- 前払い金の損失:400万円
- 増嵩工事費用:300万円
- 損失合計:700万円
- 保証限度額:500万円
なら、
700万円-500万円=200万円
少なくとも200万円が保証限度額を超えます。
さらに、個別の費用ごとに上限が設定されている場合もあります。
- 前払い金の上限
- 増嵩工事費用の上限
- 合計保証限度額
- 保証割合
- 免責金額
を分けて確認してください。
9. 仮住まいやローン利息などの間接損害
住宅会社が倒産すると、家を完成させる費用以外にも多くの損失が発生します。
- 仮住まい家賃
- 引っ越し延期費用
- 荷物保管料
- つなぎ融資の利息
- 土地ローン
- 現場へ通う交通費
- 仕事を休んだことによる損失
- 精神的損害
これらは完成保証の対象外になる可能性があります。
住宅保証機構も、保証対象を前払い金の損失や増嵩工事費用などとし、工事が滞ったことによって発生するその他の費用は対象にならないと説明しています。
10. 施主が希望した仕様変更やグレードアップ
倒産後に、
- キッチンを高額商品へ変更
- 窓を増やす
- 太陽光発電容量を増やす
- 間取りを変更する
- 床材や外壁をグレードアップする
場合、その差額は倒産によって必要になった費用ではありません。
引き継ぎ会社の見積もりが高くなっても、施主都合の変更分は完成保証の対象外になる可能性があります。
当初契約と同等の仕様で完成させるために増えた費用と、施主が希望した変更費用を分けて見積もる必要があります。
11. 保証機関へ連絡せず、勝手に工事を再開した
住宅会社が倒産した後、施主が独自に別の住宅会社を探し、保証機関の現場確認や承認を受けずに工事を始めると、追加費用が保証されない可能性があります。
保証機関は、
- 倒産時点の工事進捗
- 施工済み部分の状態
- 残工事の金額
- 手直しの必要性
- 引き継ぎ見積もりの妥当性
を確認する必要があります。
工事を進めて現場の状態が変われば、倒産時の損失を査定できなくなります。
緊急の雨養生や安全対策が必要な場合も、可能な限り作業前に保証機関へ連絡し、写真、見積書、請求書を保存してください。
12. 地震・台風などが原因で工事が止まった
完成保証は、住宅会社の倒産や責任によって工事継続ができなくなった場合を対象とする制度です。
地震、噴火、津波、洪水、台風、戦争などが原因で工事が止まった場合は、完成保証の保証事故として認められない可能性があります。
工事中の自然災害については、
- 建設工事保険
- 火災保険
- 工事請負契約の危険負担
- 住宅会社の賠償責任
などを確認します。
13. 引き渡し後に不具合が見つかった
完成保証は、原則として建築途中の倒産によって家が完成しないリスクを守る制度です。
完成・引き渡し後に、
- 構造上の瑕疵
- 屋根や外壁からの雨漏り
- 地盤沈下
- 住宅設備の故障
が見つかった場合は、住宅瑕疵担保責任保険、地盤保証、設備保証などの対象を確認します。
完成保証が付いていても、引き渡し後の全ての不具合が保証されるわけではありません。
保証されない主なケース
| 状況 | 保証されない可能性がある理由 |
|---|---|
| 会社だけが登録され、建物の個別申請がない | 自分の建物に保証がない |
| 保証証書・確認書が届く前に倒産 | 保証開始前 |
| 工期が遅れているだけ | 保証事故と認められない |
| 施主が先に契約解除した | 施主都合と判断される可能性 |
| 施主の未払いで工事停止 | 施主側の契約不履行 |
| 支払い上限を超えて先払い | 過払い部分が対象外 |
| 前払い金対象外の保証タイプ | 保証範囲外 |
| 保証限度額を超えた | 超過部分は施主負担 |
| 仮住まい・融資利息 | 間接損害として対象外の可能性 |
| 仕様変更・グレードアップ | 倒産による損失ではない |
| 無断で引き継ぎ工事を開始 | 損失を査定できない |
| 自然災害による工事停止 | 住宅会社の倒産・責任ではない |
| 引き渡し後の瑕疵 | 別の保険・保証の対象 |
保証を拒否されたら確認すること
保証機関から対象外と言われた場合は、口頭説明だけで終わらせず、次の内容を確認してください。
- 対象外と判断した理由
- 根拠となる保証約款の条項
- 保証事故として認められなかった理由
- 出来高の査定方法
- 前払い金の計算
- 増嵩工事費用の査定内訳
- 保証限度額と対象外金額
- 再確認・異議申出の手続き
すぐに免責同意書や最終精算書へ署名せず、契約書、保証証書、支払い記録、現場写真を整理してください。
判断に疑問がある場合は、住まいるダイヤルや弁護士へ相談します。
契約前に確認する10項目
- 自分の建物に個別保証が付くか
- 保証開始日はいつか
- 何をもって保証事故とするか
- 保証タイプは何か
- 前払い金は対象か
- 増嵩工事費用は対象か
- 工程ごとの支払い上限
- 保証限度額と免責金額
- 対象外となる費用
- 工事停止時の連絡・承認手順
住宅会社へは、次のように質問してください。
「完成保証が使えないケースを全て説明してください。特に、保証開始前、先払い、保証タイプ、自然災害、契約解除、仮住まい費用について書面で確認したいです」
保証される話だけでなく、保証されない話を説明できる会社かを見てください。
デザインハウス甲府の考え方
完成保証は、付けるだけでは不十分です。
保証開始日、保証タイプ、限度額、支払い条件、対象外費用を施主が理解し、その条件から外れないように工事を進める必要があります。
デザインハウス甲府では、全棟に完成保証を付けると同時に、契約前に総額と工事範囲を提示し、工事の進捗と支払い時期を確認しながら進めます。
住宅会社を比較するときは、
「何が保証されますか」だけでなく、「どんな場合に保証されませんか」と質問してください。
完成保証があっても、条件から外れれば守られません。
本当に確認すべきなのは、保証があるという安心の言葉ではなく、自分の契約にある対象外条件です。










