建築現場に置かれた木材や設備は、施主のものになる?
Q. 建築途中で住宅会社が倒産しました。敷地には木材、瓦、サッシ、キッチンなどが置かれています。自分の土地にあるのだから、施主のものとして工事に使ってもよいのでしょうか?
A. 自分の敷地に置かれているだけでは、施主のものとは限りません。倒産した住宅会社、資材を納入した業者、リース会社、施主のうち、誰に所有権があるのかは、契約内容・支払い状況・設置状況によって変わります。
破産管財人や専門家へ確認する前に、資材を使う、移動する、返却する、処分するといった行為は避けてください。
現場の材料は4種類に分けて考える
まだ取り付けられていない材料
敷地に置かれているだけの木材、瓦、断熱材、サッシ、住宅設備などです。
これらは、
- 倒産した住宅会社が購入したもの
- 納入業者が所有権を留保しているもの
- 協力業者が持ち込んだもの
- 他の現場で使う予定のもの
- リースや貸出品
である可能性があります。
施主が住宅会社へ工事代金を支払っていても、その材料の所有権が施主へ移っているとは限りません。
すでに建物へ取り付けられた材料
柱、梁、屋根材、外壁材、窓、配管など、建物の一部として取り付けられた材料です。
民法には、物が不動産と一体になった場合の「付合」に関する規定があります。民法第242条
ただし、建築途中の建物や材料の所有権は、工事請負契約の条項、工事の進捗、支払済み金額、取り付けられた状態などによって判断が変わります。
「建物に付いているから、すべて施主のもの」と一律には判断できません。
施主が直接購入した支給品
施主が住宅会社を通さず、販売店から直接購入した照明、洗面台、設備機器などは、施主の所有物と判断しやすくなります。
ただし、購入時の領収書、注文書、納品書などを保管し、施主が購入したことを証明できるようにしておく必要があります。
足場・工具・仮設設備
足場、工具、発電機、仮設トイレ、工事用フェンス、資材を覆うシートなどは、倒産した住宅会社のものとは限りません。
リース会社や協力業者の所有物であることが多く、施主が自由に使用・処分することはできません。
突然、所有者が回収に来る可能性もあります。
全額を支払っていれば施主のもの?
工事代金を全額支払っていても、現場にあるすべての材料が自動的に施主のものになるとは限りません。
工事請負契約書に、
- 材料を現場へ搬入した時点
- その材料分の代金を支払った時点
- 建物へ取り付けた時点
- 建物の引き渡し時点
のどこで所有権が移るのか、記載されている場合があります。
また、施主が住宅会社へ全額を支払っていても、住宅会社が納入業者へ代金を支払っていないケースもあります。
施主の支払いと、住宅会社から仕入先への支払いは別の契約です。
納入業者から代金を請求されたら?
住宅会社へ建材を販売した納入業者から、
「住宅会社から代金を受け取っていないので、施主が払ってください」
と請求されることがあります。
施主がその納入業者と直接契約していなければ、住宅会社の未払代金を当然に肩代わりしなければならないわけではありません。
住まいるダイヤルの相談事例でも、破産した住宅会社との契約に基づいて瓦を納入した業者は、原則として住宅会社へ代金を請求する関係であり、施主が代わりに支払う必要はないと説明されています。住まいるダイヤル「建材業者から請求を受けた事例」
ただし、契約や納入条件によって結論が変わる可能性があります。
その場で支払う、材料を返す、使用を認めると約束せず、破産管財人や弁護士へ確認してください。
勝手に別会社へ使わせてはいけない
工事を早く再開したいからといって、現場にある資材を引き継ぎ会社へ勝手に使わせるのは危険です。
後から所有者が判明した場合、
- 材料の返還
- 材料代金の請求
- 損害賠償
- 工事の再中断
- 取り付けた部分の撤去
などの問題につながる可能性があります。
引き継ぎ会社としても、所有権が確認できない材料は使用したがりません。
倒産を知った直後に行うこと
現場にある物を記録する
安全な範囲から、次の内容を写真や動画で記録します。
- 木材や建材の種類と数量
- 梱包に記載されたメーカー名
- 住宅設備の品番・製造番号
- 納品書や送り状
- 足場や工具の会社名
- すでに取り付けられた範囲
- 撮影日と現場全体の状態
契約書と支払い記録を確認する
工事請負契約書、見積書、振込記録、追加工事契約書、施主支給品の領収書を集めます。
破産管財人へ一覧を提出する
現場にある資材の一覧を作り、
- 誰の所有物なのか
- 使用してよいのか
- 引き継ぎ会社へ渡してよいのか
- 回収予定の物があるのか
を書面で確認します。
完成保証会社へ連絡する
完成保証が付いている場合、現場資材の扱いも含めて、保証会社の指示を確認します。
保証会社の承認前に資材を使用すると、追加費用の算定や保証手続へ影響する可能性があります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
建築現場にあるものが、すべて施主の財産とは限りません。
自分の土地にあり、自分の家へ使う予定で、自分が住宅会社へ代金を支払っていたとしても、所有権は別の問題です。
デザインハウス甲府では、工事の進捗に合わせた支払条件を設定し、万一の工事中倒産に備えて全棟に住宅完成保証を付けています。
住宅会社と契約する前に、契約書の中で次の点を確認してください。
「現場へ搬入された材料の所有権は、いつ施主へ移りますか?」
「住宅会社が仕入先へ代金を払っていない場合、現場資材はどうなりますか?」
「倒産後、完成保証会社は現場資材の確認と整理まで対応しますか?」
倒産後に家を守るには、建物だけでなく、現場にある一つひとつの材料が誰のものなのかを確認する必要があります。










