フランチャイズ加盟店が倒産したら、本部が家を完成させてくれる?
A. 原則として、フランチャイズ本部に家を完成させる義務はありません。加盟店と本部は別法人であり、工事請負契約の相手が加盟店なら、完成責任を負うのも基本的には加盟店です。
全国ブランドの看板が付いていると、
地元の加盟店が倒産しても、本部か近くの加盟店が続きを建ててくれるだろう
と考えてしまいがちです。
しかし、フランチャイズ本部は加盟店へブランド名、商品、設計・施工ノウハウ、営業ツールなどを提供する立場であり、施主と直接工事請負契約を結んでいるとは限りません。
公正取引委員会も、フランチャイズは本店と支店のように見える場合が多い一方、加盟店は法律上、本部から独立した事業者だと説明しています。公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」
ブランドは同じでも、会社も、経営も、工事責任も別ということです。
最初に確認するのは「契約相手の会社名」
住宅展示場やホームページでは、フランチャイズブランドの名称が大きく表示されています。
しかし、工事請負契約書を見ると、契約相手として地元の建築会社名が記載されているケースが一般的です。
例えば、次のような関係です。
- 商品・ブランド名:〇〇ホーム
- フランチャイズ本部:株式会社〇〇
- 加盟店・請負会社:△△建設株式会社
- 工事代金の振込先:△△建設株式会社
- 施主との契約相手:△△建設株式会社
この場合、△△建設株式会社が倒産しても、株式会社〇〇が自動的に工事請負契約を引き継ぐわけではありません。
まず、工事請負契約書の表紙と署名欄で、次の3点を確認してください。
- 請負人として記載されている法人名
- 契約書へ押印している会社
- 工事代金の振込先
フランチャイズのロゴではなく、契約書に書かれた法人名が責任を判断する出発点です。
本部が家を完成させる可能性がある4つのケース
本部が必ず責任を負うわけではありませんが、次のような契約や制度があれば、工事を引き継ぐ可能性があります。
1.本部自身が工事請負契約の当事者になっている
工事請負契約書に本部が請負人として記載されていれば、本部自身が契約上の責任を負います。
ただし、住宅フランチャイズでは、地域の加盟店だけが請負人となるケースも少なくありません。
2.本部が連帯保証または完成保証をしている
契約書や別の保証書に、
加盟店が工事を継続できなくなった場合、フランチャイズ本部が工事完成債務を引き継ぐ
などの記載があり、本部が記名押印していれば、本部へ履行を求められる可能性があります。
営業担当者が「本部が面倒を見ます」と口頭で説明しただけでは不十分です。
誰が、どこまで、いくらまで責任を負うのかを、書面で確認してください。
3.第三者の住宅完成保証が付いている
本部が完成させるのではなく、保証会社が引き継ぎ会社を探し、前払金損害や増嵩工事費用を保証する方法です。
この場合、確認するのはフランチャイズ本部の規模ではありません。
- 保証会社名
- 保証対象となる施主名
- 建築地
- 保証限度額
- 保証開始日
- 保証対象外になる条件
- 引き継ぎ会社の選定方法
が記載された保証証書です。
本部のブランド保証と、第三者の住宅完成保証は別物です。
4.本部が自主的に他の加盟店を紹介する
ブランドイメージを守るため、本部が近隣の加盟店へ工事の引き継ぎを依頼することは考えられます。
ただし、これは本部の自主的な支援であって、契約上の義務とは限りません。
さらに、紹介された加盟店にも、
- 引き継ぐ義務がない
- 施工エリア外で対応できない
- 工法や仕様が違う
- 採算が合わない
- 既施工部分の責任を負えない
- 自社の職人を確保できない
といった事情があります。
本部が「引き継ぎ会社を探す」ことと、追加負担なしで家を完成させることは別の話です。
本部が図面を持っていても、完成責任があるとは限らない
住宅フランチャイズでは、本部が次の業務を行っている場合があります。
- 商品開発
- 基本設計
- 構造計算
- 部材や設備の指定
- 施工マニュアルの提供
- 加盟店への研修
- 広告・集客支援
- 現場検査
- 資材の共同仕入れ
これだけ本部が関与していれば、施主は「実質的には本部が建てている」と感じるでしょう。
しかし、本部が図面を作ったり、施工方法を指導したりしていることだけで、加盟店の工事完成債務を当然に引き継ぐとは限りません。
契約書に本部の完成責任がなければ、
図面や仕様の情報は提供しますが、工事契約は加盟店と施主との契約です
という対応になる可能性があります。
本部のホームページに施工実績が載っていても安心できない
フランチャイズ全体の施工実績が「累計1万棟」と表示されていても、契約する地域加盟店の経営状態が安全だとは限りません。
確認すべきなのは、全国合計ではなく、その加盟店の情報です。
- 法人名
- 設立年
- 建設業許可
- 年間施工棟数
- 従業員数
- 現場監督の人数
- 直近の決算状況
- 同時施工棟数
- 下請業者への支払状況
- 完成保証を利用できる状態か
全国1万棟のブランドでも、実際に契約する加盟店が年間数棟しか施工していないこともあります。
本部の規模と加盟店の資金力を、同じものとして判断してはいけません。
2,200万円の契約で加盟店が倒産した場合
次のケースを考えてみます。
- 工事請負金額:2,200万円
- 加盟店への支払済み金額:1,100万円
- 実際の工事出来高:800万円
- 工事進捗を超えた前払い:300万円
- 引き継ぎによる追加工事費:250万円
- 仮住まい・融資利息など:60万円
施主の追加負担や損失は、合計610万円になる可能性があります。
フランチャイズ本部が加盟店を紹介してくれたとしても、この610万円を本部が負担するとは限りません。
第三者の完成保証があり、前払金損害と増嵩工事費用が保証対象になれば負担を減らせる可能性があります。
しかし、完成保証がなければ、
別の加盟店は紹介します。ただし、追加費用は施主負担です
となることも考えられます。
全国ブランドの看板は、610万円を補償する保証証書ではありません。
瑕疵保険があれば、未完成の家も完成する?
住宅瑕疵担保責任保険と完成保証は役割が違います。
瑕疵保険は、完成・引き渡し後の住宅で、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に瑕疵が見つかった場合などに備える保険です。
事業者が倒産して補修できない場合、保険付き住宅の取得者は、保険法人へ補修費用を直接請求できる制度があります。国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」
ただし、瑕疵保険は、工事途中で倒産した住宅を完成させるための保証ではありません。
- 工事途中の倒産:住宅完成保証
- 引き渡し後の構造・雨漏り等の瑕疵:住宅瑕疵担保責任保険
- 設備・内装・定期点検:住宅会社独自の保証やメーカー保証
この3つを分けて確認する必要があります。
契約前に本部へ確認する10項目
フランチャイズ加盟店と契約する前に、加盟店だけでなく本部へも次の質問をしてください。
- 工事請負契約の相手は本部と加盟店のどちらですか。
- 加盟店が倒産した場合、本部に工事完成義務はありますか。
- その責任は、どの契約書に記載されていますか。
- 本部が別の加盟店を紹介するだけですか。
- 引き継ぎによる追加費用は誰が負担しますか。
- 前払金の損失は誰が保証しますか。
- 第三者の完成保証は、全棟に付きますか。
- 私の家の保証証書は、いつ発行されますか。
- 本部は図面・構造計算書・申請データを保存していますか。
- 引き渡し後に加盟店が倒産した場合、点検や保証は誰が行いますか。
回答は口頭ではなく、契約書、保証約款、保証証書などで確認してください。
「本部があるから大丈夫」と言われたら
営業担当者から、
万一の場合は本部がありますから大丈夫です
と言われたら、次のように聞き返してください。
本部が工事を完成させる義務と、追加費用を負担することが書かれた書面を見せてください。
書面が出てこなければ、「大丈夫」は営業説明にすぎません。
特に注意したい回答は次の5つです。
- 今まで倒産した加盟店はありません
- 全国の仲間が助けてくれます
- 本部が図面を持っているから安心です
- ブランドを傷つけるようなことはしません
- そのときは本部が何とかします
これらは、法的な完成保証や金銭保証の説明ではありません。
加盟店が倒産した直後にすること
すでに加盟店が倒産した場合は、次の順番で動きます。
- それ以降の工事代金を支払わない
- 工事請負契約書と入金記録を確保する
- 現場の進捗状況を写真で記録する
- フランチャイズ本部へ書面で連絡する
- 完成保証会社へ連絡する
- 破産管財人または代理人を確認する
- 図面・構造計算書・申請書類を回収する
- 引き継ぎ会社と契約する前に現場調査を行う
完成保証が付いている場合は、保証会社へ連絡する前に勝手に工事請負契約を解除したり、別会社へ工事を依頼したりしないでください。手続き違反によって、保証が受けられなくなる可能性があります。
また、本部とのやり取りは電話だけで終わらせず、メールや書面で残します。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府も、全国共通の住宅商品やノウハウを活用しています。
だからこそ、ブランド名だけで安心させるのではなく、実際に契約する会社、総額、住宅性能、支払い条件、保証内容を契約前に明確にする必要があると考えています。
重要なのは、
- 契約相手を隠さない
- 建築総額を隠さない
- 性能を数値で示す
- 許容応力度計算を行う
- 全棟に完成保証を付ける
- 保証内容を書面で確認する
- 工事の進捗以上に代金を先払いさせない
という仕組みです。
フランチャイズであること自体が危険なのではありません。
危険なのは、本部と加盟店の責任分担を説明せず、「全国ブランドだから安心」と思わせることです。
本部は何をしてくれるのか。
加盟店が倒産したとき、誰が家を完成させるのか。
追加費用は誰が負担するのか。
この3点を契約書と保証証書で確認できなければ、全国ブランドであっても安心とは言えません。










