Q. 学資保険は必要?
A. 必須ではありません。ただし、確実に貯める仕組みが必要な家庭には有効です。
学資保険へ入らなければ、教育資金を準備できないわけではありません。
預貯金やNISAでも準備できます。
重要なのは商品名ではなく、子どもが大学へ進学する時期までに、必要な現金を確保できるかです。
学資保険は、
- 自分では貯金を続けにくい
- 投資による元本割れを避けたい
- 親に万一があった場合にも教育資金を残したい
という家庭には向いています。
一方、住宅購入を控えている家庭や、毎月の家計に余裕がない家庭は慎重に判断すべきです。
学資保険とは?
学資保険は、毎月または毎年保険料を支払い、子どもの進学時期に祝い金や満期保険金を受け取る保険です。
一般的には、契約者である親が死亡または所定の高度障害状態になった場合、その後の保険料払い込みが免除され、予定された学資金を受け取れる保障があります。
主な目的は次の2つです。
- 教育資金を強制的に積み立てる
- 親に万一があった場合の教育資金を確保する
単なる貯金ではなく、保障機能を持つことが学資保険の特徴です。
学資保険のメリット
1. 半強制的に教育資金を貯められる
銀行口座に現金があると、車、旅行、家電、住宅オプションなどへ使ってしまう家庭があります。
学資保険なら毎月自動的に保険料が引き落とされるため、教育資金を別枠で確保しやすくなります。
貯金が苦手な家庭には、強制力そのものがメリットです。
2. 親に万一があった場合に備えられる
契約内容によりますが、契約者である親に万一のことがあった場合、以後の保険料が免除されても、予定された学資金を受け取れる商品があります。
預貯金だけの場合、親が亡くなった時点で積立は止まります。
学資保険は、教育資金の積立と死亡保障を組み合わせられる点に意味があります。
ただし、すでに十分な生命保険へ加入している場合は、保障が重複する可能性があります。
3. 受け取る時期を進学時期に合わせられる
高校入学、大学入学など、契約時に決めた時期に学資金を受け取れます。
教育費は総額だけでなく、必要になる時期が重要です。
大学入学時には、入学金、前期授業料、受験料、引っ越し、家具・家電などが短期間に重なります。
学資保険のデメリット
1. 途中解約すると元本割れする可能性がある
学資保険は、原則として長期間継続する商品です。
契約から短期間で解約した場合、解約返戻金が支払った保険料を下回る可能性があります。
金融庁も、保険には途中解約によって受取額が少なくなる商品があるため、内容を理解して契約するよう注意を促しています。金融庁「基礎から学べる金融ガイド」
住宅購入、収入減少、病気などで現金が必要になっても、損失を出さずに自由に引き出せるとは限りません。
2. 資金を自由に使いにくい
預貯金なら、いつでも必要な金額を引き出せます。
学資保険は満期までの利用を前提としているため、教育費以外の緊急支出には対応しにくくなります。
特に住宅購入前は、次の現金が必要です。
- 契約金や諸費用
- 引っ越し費用
- 家具・家電
- 車の買い替え
- 生活防衛資金
- 想定外の追加工事
現金を学資保険へ入れすぎると、住宅購入時の手元資金が不足します。
3. 大きく増える商品ではない
学資保険は、資産を大きく増やす商品というより、教育資金を確実に準備するための商品です。
例えば、総額388万8,000円を払い込み、満期時に400万円受け取る場合、増える金額は11万2,000円です。
返戻率は約102.9%ですが、これは18年間全体の数字です。
年間2.9%で増えるという意味ではありません。
「返戻率が100%を超えているから高利回り」と判断しないよう注意してください。
4. インフレに弱い
契約時に将来の受取額が決まるタイプでは、大学費用や生活費が上昇しても、受け取れる金額が自動的に増えるわけではありません。
18年後に400万円を受け取れても、物価や大学費用が上昇すれば、現在の400万円と同じ価値ではありません。
学資保険だけで大学費用の全額を準備するのではなく、預貯金や運用資産と組み合わせることが重要です。
学資保険・預貯金・NISAの違い
| 方法 | 元本割れ | 引き出しやすさ | 収益性 | 親の死亡保障 |
|---|---|---|---|---|
| 学資保険 | 中途解約時に可能性あり | 低い | 低め | あり※ |
| 預貯金 | 原則なし | 高い | 低い | なし |
| NISAでの運用 | 可能性あり | 比較的高い | 期待できるが未確定 | なし |
※保障内容は契約によって異なります。
どれか一つに絞る必要はありません。
確実に必要な教育費は預貯金や学資保険、長期間使わない余裕資金はNISAというように、目的を分けて準備できます。
学資保険が向いている家庭
- 貯金が長続きしない
- 教育資金を他の支出と分けたい
- 毎月の保険料を無理なく払い続けられる
- 投資による値下がりを避けたい
- 契約者の死亡保障が必要
- 生活防衛資金を別に確保している
- 住宅購入後も家計が赤字にならない
強制的な積立が必要で、満期まで継続できる家庭なら、学資保険は有効な選択肢です。
学資保険を急いで契約しない方がよい家庭
- 住宅購入後の手元資金が少ない
- 現在の家計が毎月赤字
- ボーナスがなければ保険料を払えない
- カーローンやリボ払いがある
- 生活費6か月分の現金がない
- 数年以内に解約する可能性がある
- すでに生命保険の死亡保障が十分にある
- 教育費の目標額を計算していない
家計に余裕がない状態で学資保険を契約すると、保険料を払うためにカードローンを使うような逆転現象が起きます。
教育資金を守る商品が、現在の家計を苦しくしては意味がありません。
住宅購入前に契約内容を確認する
すでに学資保険へ加入している場合、住宅ローンの資金計画に次の数字を入れます。
- 毎月の保険料
- 払込終了年齢
- 払込保険料総額
- 満期時の受取総額
- 学資金を受け取る時期
- 中途解約時の返戻金
- 契約者死亡時の保障
- 子ども二人分の受取時期
学資保険料を「保険だから仕方がない支出」として扱わず、教育資金の積立として家計表に明記します。
生命保険料控除だけで決めない
契約内容によっては、学資保険の保険料が生命保険料控除の対象になる場合があります。
ただし、控除額と税金がそのまま同額戻るわけではありません。
また、満期保険金の税務上の扱いは、保険料を負担した人と保険金を受け取る人によって異なります。
保険料負担者と受取人が同じ場合は所得税、異なる場合は贈与税の対象になる可能性があります。詳しくは国税庁「生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」で確認できます。
節税だけを理由に学資保険へ加入するべきではありません。
教育資金500万円を準備する例
子どもが0歳で、大学入学までに500万円を準備する場合、運用益を考慮しない単純計算では月約2万3,200円が必要です。
すべてを一つの商品へ入れず、例えば次のように分けられます。
| 準備方法 | 毎月の金額 | 役割 |
|---|---|---|
| 学資保険 | 1万円 | 確実な積立・保障 |
| 預貯金 | 8,000円 | 入学前後の現金 |
| NISA | 5,000円 | 長期運用 |
| 合計 | 2万3,000円 | 教育資金 |
これは一例であり、NISAには元本割れの可能性があります。
大学入学が近づいたら、必要な資金を少しずつ現金へ移し、入学直前の相場下落に備えます。
住宅を優先して学資保険を解約するのは危険
住宅の頭金やオプション費用を増やすために、長年続けた学資保険を解約する家庭があります。
中途解約で元本割れし、さらに教育資金まで失う可能性があります。
住宅予算が足りないから教育資金を取り崩すのではなく、先に住宅の広さ、設備、土地、借入額を見直すべきです。
家を少し豪華にするために、子どもの大学資金を失ってはいけません。
俺流結論
学資保険は必須ではありません。
しかし、確実に貯める仕組みが必要で、満期まで無理なく払い続けられる家庭には有効です。
反対に、住宅購入後の現金が少ない家庭や、毎月の家計に余裕がない家庭が無理に加入すると、中途解約による元本割れを招きます。
教育資金は、学資保険、預貯金、NISAのどれが優れているかではなく、それぞれの役割を分けることが重要です。
住宅会社が提示する限界の借入額から家を建て、学資保険を解約する。
その順番は完全に逆です。
教育費を先に守り、生活防衛資金を残し、その残りから住宅予算を決める。
学資保険が必要かどうかも、この順番で判断すべきです。










