Q. 奨学金は借りるべき?
A. 進学に必要なら、借りてもよい。ただし「不足額だけ」が原則です。
奨学金は、進学の可能性を広げる有効な制度です。
ただし、貸与型奨学金は名前がやさしいだけで、実態は学生本人が背負う借金です。
「借りられる金額」ではなく、
- 卒業時の借金総額
- 毎月の返済額
- 完済までの年数
- 就職後の収入見込み
まで確認してから決める必要があります。
奨学金には3種類ある
| 種類 | 返済 | 利息 |
|---|---|---|
| 給付型奨学金 | 不要 | なし |
| 第一種奨学金 | 必要 | 無利息 |
| 第二種奨学金 | 必要 | 有利息 |
最初から有利子の第二種を選ぶのではなく、次の順番で検討します。
- 給付型奨学金・授業料減免
- 家庭の貯蓄と毎月の収入
- 第一種奨学金
- 第二種奨学金
- 保護者が借りる教育ローン
給付型奨学金の対象になるかは、JASSOの進学資金シミュレーターで確認できます。
月額ではなく4年間の総額で考える
毎月の借入額を見ると小さく感じますが、4年間では大きな金額になります。
| 毎月の借入額 | 4年間の借入総額 |
|---|---|
| 3万円 | 144万円 |
| 5万円 | 240万円 |
| 8万円 | 384万円 |
| 10万円 | 480万円 |
月10万円を借りた場合、22歳で社会人になった時点から、480万円の借金を背負うことになります。
「月10万円だから大丈夫」ではなく、「卒業時に480万円」と考えるべきです。
第二種奨学金は利息も含めて確認する
JASSOの返還例では、第二種奨学金を月10万円、4年間借りた場合、元金は480万円です。
20年間で返還する場合の一例は次のとおりです。
| 利率 | 毎月の返済額 | 返済総額 |
|---|---|---|
| 1% | 約2万2,200円 | 約532万円 |
| 2% | 約2万4,500円 | 約587万円 |
| 3% | 約2万6,900円 | 約646万円 |
利率3%では、利息だけで約166万円になります。
第二種奨学金の利率は上限3%で、在学中と返還期限猶予中は無利息です。詳しい返還例はJASSOの第二種奨学金の利率と返還例で確認できます。
第一種でも返済期間は長い
第一種奨学金は無利息ですが、返済がなくなるわけではありません。
例えば、私立大学へ自宅外から通い、月6万4,000円を4年間借りると、借入総額は307万2,000円です。
JASSOの例では、毎月約1万4,200円を18年間返済します。
22歳から返済を始めれば、完済は40歳前後です。
結婚、出産、車の購入、住宅購入と重なる可能性があります。
第一種の具体的な返還額はJASSOの返還例で確認できます。
奨学金は住宅ローンにも関係する
奨学金があるだけで、住宅ローン審査に落ちるとは限りません。
しかし、毎月の奨学金返済額は家計の固定費になります。金融機関によっては、返済負担率の計算に含められる場合もあります。
奨学金2万5,000円、カーローン3万円を返済していれば、住宅ローンを組む前から毎月5万5,000円の返済があります。
さらに、返済の延滞履歴があれば、住宅ローンやクレジットの審査に影響する可能性があります。
大切なのは、奨学金を隠すことではなく、残高と返済状況を正確に把握することです。
親の住宅予算を優先しすぎない
私が最も避けたいのは、親が住宅にお金をかけすぎて、子どもの教育費不足を奨学金で埋めることです。
例えば、住宅予算を300万円増やした結果、教育資金が不足し、子どもが月5万円の奨学金を4年間借りれば、子どもの借金は240万円です。
これは実質的に、親の住宅費を子どもへ先送りしている状態です。
住宅会社が提示する「借りられる住宅ローン額」だけで判断せず、大学進学費用まで残したうえで住宅予算を決める必要があります。
奨学金を借りてもよいケース
- 給付型や授業料減免を確認している
- 家庭の不足額が明確になっている
- 進学目的と卒業後の進路がある
- 卒業時の借入総額を理解している
- 想定収入に対して返済額が無理のない範囲
- 必要最低限の金額だけ借りる
進学を諦めることで将来の可能性が狭くなるなら、奨学金を利用する価値はあります。
問題は、奨学金を借りること自体ではなく、何も計算せずに借りることです。
慎重にすべきケース
- 「念のため」と上限まで借りる
- 借入総額や返済期間を本人が知らない
- 進学目的が曖昧
- 奨学金を生活水準の引き上げに使う
- 親の住宅費や車代が原因で教育費が不足している
- 借りた奨学金を投資へ回そうとしている
特に「低金利だから多めに借りて運用する」という考え方はおすすめしません。
投資には元本割れがありますが、奨学金の返済義務は残ります。
親子で確認すべき5項目
奨学金を申し込む前に、親子で次の数字を共有してください。
- 4年間の借入総額
- 利息を含めた返済総額
- 毎月の返済額
- 完済予定年齢
- 誰が実際に返済するのか
「親が返してあげる予定」だけでは不十分です。
親の住宅ローン、老後資金、介護費用まで考え、本当に返済を続けられるか確認する必要があります。
JASSOの奨学金貸与・返還シミュレーションを使えば、返済額を事前に試算できます。
俺流結論
奨学金は、進学のために必要なら借りてもよい。
ただし、給付型、授業料減免、第一種を先に確認し、第二種は不足額だけに抑えるべきです。
そして親は、住宅に予算を使いすぎた結果、子どもへ借金を背負わせる計画にしてはいけません。
家を少し豪華にする300万円と、子どもが社会人になった瞬間に背負う300万円。
同じ300万円でも、人生に与える重さは違います。
奨学金を借りるかどうかは、「借りられるか」ではなく「卒業後も無理なく返せるか」で判断しましょう。










