Q. 住宅ローンを繰上返済しない方が良い人とは?
A. 手元資金が少ない人、近いうちに大きな支出がある人、住宅ローンより金利の高い借金がある人は、繰上返済を急ぐべきではありません。
繰上返済には、利息を減らし、完済を早める効果があります。しかし、一度返済したお金は、必要になっても簡単には取り戻せません。
大切なのは、住宅ローン残高の少なさではなく、急な出費にも耐えられる家計を維持することです。
繰上返済を待つべき人
次のうち一つでも該当する場合は、繰上返済より現金確保を優先します。
1.生活費の6か月~1年分を確保できていない
病気、休職、転職、会社の業績悪化によって収入が減る可能性はあります。
毎月の生活費が30万円なら、最低でも180万~360万円程度は生活防衛資金として残したいところです。
預金200万円の人が100万円を繰上返済すれば、住宅ローンは減っても、家計を守る現金は半分になります。
2.子どもの進学時期が近い
大学進学、専門学校、下宿などが重なると、短期間にまとまったお金が必要です。
教育費として貯めた300万円を住宅ローンへ回し、後から教育ローンを借りれば、本末転倒になる可能性があります。
使う時期が決まっているお金は、繰上返済に使わないことです。
3.車の買い替えが近い
山梨では、通勤や生活に自動車が欠かせない家庭が多く、夫婦で2台所有するケースも珍しくありません。
住宅ローンを繰上返済した後に車が故障し、高金利の自動車ローンを組むのでは、家計全体の利息が増える場合があります。
4.住宅修繕費を準備していない
住宅ローン返済中でも、設備は交換時期を迎えます。
- エコキュートや給湯器
- エアコン
- IHクッキングヒーター
- 太陽光発電のパワーコンディショナー
- 外壁や屋根
- 水回り設備
住宅ローン残高を減らす前に、設備交換と修繕の積立を確保してください。
5.収入が不安定または減少予定
自営業、歩合給、転職予定、育児休業、定年が近い人は、現金の価値が高くなります。
収入が安定している時に全額近くを繰上返済し、その後に売上や給与が下がっても、金融機関は簡単にお金を貸してくれません。
6.住宅ローンより高金利の借金がある
自動車ローン、カードローン、リボ払いなどがある場合は、金利を比較してください。
住宅ローンより高い金利の借金を残して、低金利の住宅ローンを先に返すのは非効率です。
原則として、金利の高い借金から整理するべきです。
7.住宅ローン控除を受けている
繰上返済によって年末残高が減れば、住宅ローン控除額も減少する可能性があります。
さらに、繰上返済によって当初の返済開始から変更後の最終返済月までが10年未満になると、その年以後は原則として控除を受けられません。国税庁
繰上返済で減る利息と、減少する控除額を比較してから判断します。
団信加入者は現金を減らしすぎない
団信に加入していれば、契約者が死亡するなど所定の条件を満たした場合、住宅ローン残高が弁済されます。
例えば、預金500万円から300万円を繰上返済した直後に契約者が亡くなれば、残った住宅ローンは団信で弁済されても、家族に残る預金は200万円です。
繰上返済をしなければ、住宅ローンは団信で弁済され、預金500万円を生活費や教育費として残せた可能性があります。
このため、子育て世帯は「借金を減らす安心」だけでなく、家族に現金を残す安心も考える必要があります。
繰上返済は「専用口座」で一度止める
余裕資金ができても、すぐに返済せず、繰上返済専用口座へ積み立てる方法があります。
例えば、毎月2万円を積み立てると、
2万円×12か月=年間24万円
2年間で48万円
50万円程度貯まった時点で、教育費、車、修繕、収入状況を再確認します。問題がなければ繰上返済し、支出予定があれば現金のまま残します。
住宅金融支援機構の一部繰上返済には、完済を早める「期間短縮型」と、毎月返済額を下げる「返済額軽減型」があります。住宅金融支援機構
俺流結論
次の状態なら、今は繰上返済をしない方が良いでしょう。
- 返済後の預金が生活費1年分を下回る
- 5年以内に進学、車購入、修繕がある
- 収入減少や定年が近い
- 高金利の借金が残っている
- 老後資金が不足している
- 住宅ローン控除への影響を計算していない
特に危険なのが、退職金で住宅ローンを一括返済し、預金をほとんど残さないことです。
住宅ローンがゼロでも、医療費、介護費、固定資産税、修繕費、生活費は続きます。
繰上返済は、余ったお金で行うものです。将来必要になるお金まで返してはいけません。










