契約金・着手金・中間金は、倒産時の扱いが違う?
Q. 契約金・着手金・中間金は、住宅会社が倒産したとき、それぞれ扱いが違うのでしょうか?
A. 名称だけで扱いが決まるわけではありません。倒産時に重要なのは、「何という名前で払ったか」ではなく、支払総額に見合う工事が完了しているかです。
契約金、着手金、中間金と分けて請求されると、それぞれ別の性質を持つお金のように見えます。
しかし、多くの工事請負契約では、いずれも最終的な工事代金の一部です。住宅会社が倒産した場合は、原則として支払ったお金の合計と、その時点までに完成している工事の価値を比較します。
契約金は、工事が始まる前なので特に注意
契約金は、工事請負契約を結んだときに支払うお金です。
この段階では、設計や建築確認申請が進んでいても、現場ではまだ工事が始まっていないことがあります。そのため、契約金の割合が大きいほど、倒産時の前払いリスクも大きくなります。
確認するべきなのは、次の点です。
- 契約金は工事代金の何%か
- 設計料や申請費用を含んでいるのか
- 契約解除時の精算方法が書かれているか
- 完成保証の対象になる支払いか
「契約金だから返金される」「契約金だから返金されない」と一律に決まるものではありません。契約書の内容、実際に行われた業務、倒産時の工事出来高によって判断が変わります。
着手金は、「何をもって着手とするか」が重要
着手金は、一般的には工事開始時に支払います。
ただし、住宅会社によって「着手」の意味が違います。
- 建築確認が下りた時点
- 地盤改良を始めた時点
- 仮設工事を始めた時点
- 基礎工事を始めた時点
- 資材を発注した時点
契約書に具体的な支払条件がなく、「着工予定だから先に払ってください」という状態では、実際の工事より支払いが先行する可能性があります。
着手金を支払う前に、現場で何が完了しているのか、支払額に見合う材料や工事が確保されているのかを確認する必要があります。
中間金も、名前だけでは安全とはいえない
中間金は、基礎完成時や上棟時など、工事途中の節目で支払うのが一般的です。
工事の進捗に合わせた支払いであれば、契約時に大金をまとめて払う方法よりもリスクを抑えられます。
しかし、問題は「中間金という名前を付ければ安全になるわけではない」ということです。
例えば、上棟していないのに「資材を確保するため」と中間金を前倒しで求められれば、実質的には前払いです。
住まいるダイヤルも、工事代金は進捗に応じて段階的に支払う方法を事業者と話し合うよう案内しています。また、工事内容に問題がある場合には、その問題が解決してから中間金を支払うという考え方も示しています。
住宅リフォーム・紛争処理支援センター「工事代金の支払い方」
住宅リフォーム・紛争処理支援センター「中間金の支払いに関する相談事例」
倒産時は、3種類を合計して計算する
例えば、住宅会社が倒産した時点で、次の状態だったとします。
- 契約金:200万円
- 着手金:300万円
- 中間金:400万円
- 支払総額:900万円
- 完成している工事の価値:500万円
この場合、名称にかかわらず、支払総額900万円と工事出来高500万円との差額である400万円が、実質的な前払い部分として問題になります。
住宅あんしん保証の完成保証制度でも、前払金を「支払済み金額から既施工部分の出来高を差し引いた金額」と定義しています。つまり、契約金・着手金・中間金という名称より、支払いと出来高の差が重視されます。
住宅あんしん保証「住宅完成保証制度」
完成保証があっても、前倒し払いは危険
完成保証に加入していれば、どのような支払い方でも全額守られるわけではありません。
完成保証制度には、工事の進捗に応じた支払割合や保証限度額などの条件があります。
JIO完成サポートでは、定められた支払割合を超えて住宅会社に支払った工事費用は、サポート対象にならないと明記されています。住宅会社から前倒し払いを求められた場合は、完成保証の対象内かどうかを、支払う前に確認しなければなりません。
JIO「完成サポート 一般タイプ」
特に注意したいのが、次のような提案です。
「今月中に中間金まで払ってくれれば値引きします」
値引き額よりも、保証対象外になる前払い額のほうが大きければ、施主にとって安全な提案とはいえません。
契約前に確認する7項目
契約金・着手金・中間金については、最低でも次の内容を書面で確認してください。
- それぞれの支払額と工事代金に占める割合
- 支払いが発生する具体的な工程
- その工程を誰が確認するのか
- 支払時点での予定工事出来高
- 工事が遅れた場合も支払う必要があるのか
- 完成保証の支払条件に収まっているか
- 倒産・解除時の精算方法
住宅会社には、こう聞いてください。
「名称ではなく、各支払時点の工事出来高はいくらですか?」
「この支払額は、完成保証で定められた支払条件の範囲内ですか?」
「予定より先に支払った場合、その金額も保証されますか?」
この質問に対して、契約書や保証制度の書面を示さず、口頭だけで「大丈夫です」と答える会社には注意が必要です。
デザインハウス甲府からのアドバイス
デザインハウス甲府では、工事の進捗から大きく先行しない支払計画を組み、全棟に完成保証を付けています。
ただし、完成保証があるという言葉だけで安心していただくのではなく、保証限度額や支払条件についても契約前に確認していただくことが大切だと考えています。
危険なのは、「契約金」という名称でも「中間金」という名称でもありません。
家の価値がまだできていないのに、お金だけが先に住宅会社へ渡っていく支払条件です。
住宅会社を選ぶときは、支払いの名前ではなく、工事の進捗と支払額が釣り合っているかを確認してください。










