保証会社が付いていれば、未完成の家も守られる?
A. 「保証会社が付いている」だけでは、未完成の家が守られるとは限りません。建築途中の倒産に対応できるのは、原則として物件ごとの住宅完成保証が正式に成立している場合です。
住宅会社から、
当社は第三者保証会社へ加入しています
保証会社の検査が入るので安心です
万一の倒産にも保証があります
と説明されると、どのような事態でも家とお金が守られるように感じます。
しかし、住宅に関係する保証には複数の種類があります。
- 住宅完成保証
- 住宅瑕疵担保責任保険
- 地盤保証
- 住宅設備保証
- 工事保険
- 住宅ローン保証
- フランチャイズ本部の保証
- 住宅会社独自の長期保証
それぞれ、守る対象が違います。
保証会社の名前ではなく、保証商品の正式名称と保証証書を確認しなければ、未完成の家が対象かどうかは判断できません。
未完成の家を守れるのは「住宅完成保証」
住宅完成保証は、住宅会社が倒産するなどして工事を継続できなくなった場合に、施主の負担を抑えて家の完成を支援する制度です。
一般的には、次の損害が対象になります。
- 支払済み金額が工事出来高を上回った前払金損害
- 別会社への引き継ぎで増えた工事費
- 既施工部分の検査費用
- 手戻り工事費用
- 引き継ぎ会社の紹介・あっせん
住宅保証機構も、事業者の倒産などで工事が継続できなくなった場合に、前払金損害や増嵩工事費用を一定範囲で保証し、希望に応じて引き継ぎ事業者をあっせんする制度と説明しています。住宅保証機構「住宅完成保証制度」
JIOの完成サポートも、登録事業者が倒産などで工事を継続できなくなった場合に、他の事業者へ工事を引き継ぎ、住宅の完成を支援する制度です。JIO「完成サポート」
ただし、「完成保証」という名称でも、すべての損害が全額支払われるとは限りません。
住宅瑕疵保険では、未完成の家は完成しない
住宅会社が「保証会社の検査が入ります」と説明している場合、住宅瑕疵担保責任保険の検査を指していることがあります。
住宅瑕疵保険は、主に完成・引き渡し後の住宅で、
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
に瑕疵が見つかった場合の補修費用などに備える制度です。
住宅会社が倒産して補修できない場合、保険付き住宅の取得者は、保険法人へ保険金を直接請求できる場合があります。国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」
しかし、これは完成後の瑕疵に対する保険です。
建築途中で住宅会社が倒産したときに、
- 残りの工事を完成させる
- 支払い過ぎた契約金を返す
- 引き継ぎ工事の追加費用を払う
ための住宅完成保証とは違います。
瑕疵保険に加入していますから、倒産しても大丈夫です
という説明を受けたら、
それは未完成の家を完成させる住宅完成保証ですか。それとも引き渡し後の瑕疵保険ですか。
と確認してください。
「保証会社」という言葉に隠れる6つの違い
| 保証・保険の種類 | 主に守るもの | 建築途中の倒産 |
|---|---|---|
| 住宅完成保証 | 前払金損害・増嵩工事費用 | 対象になる可能性がある |
| 住宅瑕疵保険 | 完成後の構造・防水の瑕疵 | 未完成工事の完成には使えない |
| 地盤保証 | 地盤に起因する不同沈下など | 原則として完成費用は対象外 |
| 設備保証 | 給湯器・エアコン等の故障 | 原則として完成費用は対象外 |
| 工事保険 | 工事中の火災・盗難・事故など | 倒産そのものは通常別問題 |
| 住宅ローン保証 | 銀行の貸付金回収 | 家の完成は保証しない |
「第三者保証付き」という表示だけでは、どの保証か分かりません。
未完成リスクを確認するときは、必ず「住宅完成保証」という正式名称があるかを確認してください。
住宅ローン保証会社は、施主の家を守る会社ではない
住宅ローンを借りると、保証会社へ保証料を支払う場合があります。
この保証会社は、住宅会社の倒産から施主を守る会社ではありません。
借りた人が住宅ローンを返済できなくなった場合、保証会社が銀行へ代位弁済する仕組みです。
代位弁済後も、借りた人の債務が消えるとは限らず、保証会社へ返済する義務が残ります。全国銀行協会も、保証会社が金融機関へ借入残金を返済した場合、利用者には保証会社へ返済する義務が残ると説明しています。全国銀行協会「登録情報開示報告書の見方」
つまり住宅ローン保証会社は、
- 住宅会社の倒産
- 工事の中断
- 支払済み工事代金
- 引き継ぎ工事費
を保証する会社ではありません。
「保証会社付き住宅ローンだから、建築会社が倒産しても安心」という意味ではないのです。
地盤保証があっても家は完成しない
地盤保証は、地盤調査や地盤改良を行った土地で、保証対象となる不同沈下などが発生した場合に備える制度です。
住宅会社が基礎工事の途中で倒産しても、地盤保証会社が残りの建物を完成させるわけではありません。
同様に、
- シロアリ保証
- 防水保証
- 住宅設備延長保証
- 太陽光発電保証
- 外壁材メーカー保証
があっても、建物全体の完成を保証する制度ではありません。
保証期間が20年、30年と表示されていても、住宅会社が倒産したときの未完成工事が対象とは限りません。
住宅会社が保証制度へ登録しているだけでは足りない
ここが最も重要です。
住宅会社が住宅完成保証制度の登録事業者でも、その人の家に完成保証が付いているとは限りません。
一般的には物件ごとに、
- 工事請負契約を締結する
- 住宅会社が完成保証を申し込む
- 保証会社が物件内容を審査する
- 保証会社が申込みを承認する
- 保証料が支払われる
- 施主名義の保証証書が発行される
という手続きが必要です。
住宅会社のホームページに保証会社のロゴが載っていても、それだけでは証明になりません。
契約前に次のように質問してください。
私たちの氏名、建築地、請負金額、保証限度額が記載された住宅完成保証証書は、いつ発行されますか。
正式な保証証書が発行される前に住宅会社が倒産した場合、保証が使えない可能性があります。
完成保証があっても全額守られるとは限らない
住宅完成保証には、次のような条件があります。
- 保証限度額
- 前払金損害の保証割合
- 増嵩工事費用の保証割合
- 免責金額
- 保証開始日
- 保証終了日
- 保証事故の認定条件
- 工事代金の支払い条件
- 契約変更時の届出
- 保証対象外となる費用
特に注意したいのが、次の費用です。
- 仮住まいの延長家賃
- 引越しのやり直し費用
- つなぎ融資の利息
- 荷物の保管料
- 施主が追加した仕様変更
- 保証限度額を超えた工事費
- 地震や洪水など別の原因による損害
- 契約書と異なる時期に支払った代金
「完成保証」という名称でも、これらすべてが支払われるわけではありません。
2,200万円の家で確認する
次のケースを考えてみます。
- 工事請負金額:2,200万円
- 住宅会社への支払済み金額:1,100万円
- 実際の工事出来高:800万円
- 前払金損害:300万円
- 引き継ぎによる増嵩工事費:250万円
- 仮住まい・融資利息など:60万円
施主の損失・追加負担は合計610万円です。
完成保証が前払金損害と増嵩工事費用の両方を対象にし、保証会社が全額を認定すれば、300万円と250万円が保証対象になる可能性があります。
しかし、
- 増嵩工事費用だけを保証するタイプ
- 合計400万円までという限度額
- 仮住まい費用は対象外
- 契約書より早く支払った300万円は対象外
という条件なら、施主負担が残ります。
重要なのは、
保証があるか
ではなく、
この倒産時点で、610万円のうち何万円が保証されるか
です。
未完成の建物そのものも守ってくれる?
住宅完成保証は、工事を再開し、家を完成させるための経済的・手続的な支援です。
倒産直後の現場で、
- 雨養生をする
- 台風対策をする
- 資材の盗難を防ぐ
- 仮設足場を管理する
- 現場を巡回する
- 電気や水道を維持する
ことまで、保証会社が直ちに行うとは限りません。
上棟後の建物が雨ざらしになっている場合は、保証会社の手続きと並行して、現場の緊急保全が必要です。
ただし、勝手に別会社へ工事を依頼すると保証手続きへ影響する可能性があるため、まず保証会社へ連絡し、緊急養生の方法と費用負担を確認してください。
保証会社へ直接確認する10項目
住宅会社の説明だけで判断せず、保証会社へ直接確認してください。
- 保証商品の正式名称は?
- 未完成の家を対象とする住宅完成保証か?
- 施主名義の保証証書は発行される?
- 保証はいつから有効になる?
- 前払金損害は保証される?
- 増嵩工事費用は保証される?
- 保証限度額は金額でいくら?
- 仮住まい・融資利息は対象?
- 引き継ぎ会社は誰が選ぶ?
- 倒産時に最初に何をすればよい?
住宅会社に質問するだけでなく、保証会社の連絡先へ確認し、回答を記録として残してください。
住宅会社が倒産した直後の対応
保証会社が付いている場合は、次の順番で動きます。
- 保証証書と約款を確認する
- 保証会社へ直接連絡する
- 住宅会社への追加支払いを止める
- 工事請負契約書と入金記録を確保する
- 現場の進捗状況を撮影する
- 図面・申請書類・施工写真を回収する
- 緊急養生の必要性を保証会社へ伝える
- 保証会社の承諾なく契約解除しない
- 勝手に他社へ工事を依頼しない
- 破産管財人や弁護士へ契約関係を確認する
「保証会社がいるから待っていればよい」と放置すると、雨水、盗難、資材劣化によって損害が広がる可能性があります。
保証会社への連絡と現場保全を同時に進める必要があります。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、単に「第三者保証があります」と説明するだけでは不十分だと考えています。
住宅会社が示すべきなのは、
- 保証会社の正式名称
- 保証商品の正式名称
- 施主名義の保証証書
- 保証限度額
- 前払金損害の扱い
- 増嵩工事費用の扱い
- 保証開始日
- 倒産時の連絡先
です。
そのため、デザインハウス甲府では全棟完成保証を基本とし、工事進捗に合わせた支払い条件を重視しています。
完成保証があっても、工事の進捗より先に多額の代金を支払えば、保証限度額を超える可能性があります。
保証と安全な支払い方は、必ずセットで考えなければなりません。
保証会社の名前ではなく、保証証書を見る。
保証期間ではなく、保証対象を見る。
「安心」という説明ではなく、倒産時の支払額を見る。
未完成の家を守るのは、保証会社のロゴではありません。物件ごとに発行された住宅完成保証証書と、その約款です。










