Q. 共働き終了後の住宅ローンはどうなる?
A. 共働きをやめても住宅ローンの契約は変わりません。問題は、減った収入で返済と生活を両立できるかです。
夫婦の収入を合算して住宅ローンを組んでも、退職や時短勤務によって一方の収入が減ったからといって、毎月返済額が自動的に下がることはありません。
世帯年収700万円で決めた住宅ローンを、年収400万円の一馬力で返すことになれば、家計はまったく別物になります。
共働きを終了する前に必要なのは、「辞めても払えると思う」という感覚ではなく、減収後の手取り収入による再計算です。
共働き終了で変わるもの
共働きを終了すると、単純に給与が一人分減るだけではありません。
| 項目 | 共働き終了後の変化 |
|---|---|
| 世帯収入 | 配偶者の給与が減少またはゼロになる |
| 社会保険 | 扶養条件や保険料が変わる場合がある |
| 税金 | 配偶者控除などが変わる可能性がある |
| 保育料 | 所得減少後に下がる可能性がある |
| 通勤費・昼食代 | 減少する可能性がある |
| 教育費 | 子どもの成長とともに増える |
| 住宅ローン | 原則として返済額は変わらない |
| 住宅ローン控除 | 所得が減ると使い切れない場合がある |
仕事を辞めれば、通勤費や保育料が減ることはあります。
しかし、住宅ローン、固定資産税、火災保険、車、修繕費などの住宅関連費用は残ります。
年収700万円から400万円になった場合
次の家庭で考えてみます。
- 夫の年収:400万円
- 妻の年収:300万円
- 世帯年収:700万円
- 住宅ローン残高:4,500万円
- 金利:1.5%
- 残り期間:35年
- ボーナス返済なし
毎月返済額は約13万8,000円です。
年間返済額は約165万円になります。
| 状況 | 世帯年収 | 年収に対する返済割合 |
|---|---|---|
| 共働きを継続 | 700万円 | 約24% |
| 妻が退職 | 400万円 | 約41% |
| 妻が年収150万円のパート勤務 | 550万円 | 約30% |
年収400万円に対して年間165万円を返済すると、額面年収の約41%が住宅ローンに消えます。
ここから税金と社会保険料が引かれ、さらに生活費、教育費、車、固定資産税、修繕費を支払います。
住宅ローンを払えても、貯金ができず、車の買い替えや教育費をローンで補う状態になれば、安全な返済とはいえません。
一馬力になっても安全な判定基準
共働き終了後も住宅ローンを安全に返せるかは、次の順番で確認します。
1. 退職後の手取り収入を計算する
額面年収ではなく、実際に口座へ入る手取り収入で計算します。
児童手当や各種給付を恒久的な収入として過大評価しないことも重要です。
2. 住宅関連費をすべて入れる
住宅費は住宅ローンだけではありません。
- 毎月の住宅ローン
- 固定資産税
- 火災・地震保険
- 修繕積立
- 太陽光発電設備などの交換費
- 自治会費
- 駐車場代
戸建住宅でも、将来の修繕費を毎月積み立てる必要があります。
3. 教育費が増える時期を確認する
現在の家計だけで判断してはいけません。
子どもの高校進学、大学進学と、住宅ローン返済が重なる時期を確認します。
4. 車の買い替えを入れる
山梨県では、一馬力になっても車2台が必要な家庭があります。
10年ごとの車の買い替え、車検、保険、税金、タイヤ代まで計算します。
5. 90歳まで資産が残るか確認する
毎月返済できるだけでは不十分です。
退職時の住宅ローン残高、年金開始後の生活費、介護費用まで含めて確認します。
退職前に6か月試す
共働きを終了する前に、配偶者の給与を使わず、半年間生活する方法があります。
配偶者の給与は全額を別口座へ移し、一馬力の収入だけで次の費用を支払います。
- 住宅ローン
- 生活費
- 教育費
- 車両費
- 固定資産税の積立
- 修繕費の積立
- 老後資金の積立
半年間継続できれば、共働き終了後の家計を実際に確認できます。
さらに、使わなかった配偶者の給与は緊急予備資金として残せます。
これは、机上のシミュレーションより現実的な確認方法です。
退職ではなく働き方を変える方法もある
共働きを完全に終了する前に、次の選択肢も比較します。
- 時短勤務
- パート勤務
- 在宅勤務
- 勤務日数の削減
- 転職
- 育児休業
- 介護休業
一定の要件を満たす場合、育児休業給付や育児時短就業給付を受けられる可能性があります。
育児休業給付金は、原則として休業開始から180日目までは休業開始時賃金の67%、181日目以降は50%を基礎に計算されます。ただし、上限や支給要件があります。
給付金だけで判断せず、給付終了後の収入まで確認してください。
ペアローンは退職しても残る
ペアローンでは、夫婦がそれぞれ住宅ローンの債務者です。
妻が退職して収入がなくなっても、妻名義の住宅ローンが自動的に夫名義へ変わるわけではありません。
夫が妻の返済分を負担する場合には、夫婦間の資金負担と住宅の登記持分によって、税務上の問題が生じる可能性があります。
国税庁は、共働き夫婦の実際の資金負担割合と所有権の持分割合が異なる場合、贈与税の問題が生じることがあると説明しています。
ペアローンの一方が退職する場合は、金融機関だけでなく、税理士や司法書士への確認も必要です。
返済が苦しくなったときの対策
返済が難しくなりそうな場合は、延滞する前に金融機関へ相談してください。
考えられる方法には次のものがあります。
- 返済期間の延長
- 一定期間の返済額軽減
- ボーナス返済の見直し
- 借り換え
- 金利条件の変更相談
- 保険の見直し
- 車など固定費の見直し
- 住宅の売却
住宅金融支援機構では、離職や病気などによる収入減少に対して、返済期間の延長などの返済方法変更メニューを設けています。
ただし、審査があり、必ず変更できるわけではありません。
返済期間を延長すると毎月返済額は下がりますが、支払利息と総返済額は増えます。
「月々が下がったから解決」ではなく、完済年齢が何歳になるかまで確認してください。
やってはいけない対策
共働き終了後に家計が苦しくなっても、次の方法で住宅ローンを補ってはいけません。
- リボ払いで生活費を補う
- カードローンを借りる
- ボーナスを全額返済に使う
- 教育資金を取り崩し続ける
- 修繕を先送りする
- 返済を延滞してから相談する
住宅ローンより金利の高い借金で生活費を補えば、家計の悪化が加速します。
預金残高が減り始めた段階で対策してください。
俺流結論
共働き終了後も住宅ローンは待ってくれません。
だからこそ、共働きをやめてから対策するのではなく、住宅を購入する時点で一馬力になる可能性を計算しておく必要があります。
最も危険なのは、
共働きを続けなければ返せない金額を、35年先まで借りることです。
安全な住宅ローンとは、夫婦が働き続けられるローンではありません。
出産、育児、病気、介護などで働き方が変わっても、家を手放さずに済むローンです。
すでに住宅ローンを組んでいる場合は、退職を決める前に、一馬力の手取り収入で90歳までの資産推移を確認してください。
住宅ローン返済、教育費、車、修繕費、老後資金を同時に守れないなら、退職時期、働き方、固定費、住宅ローン条件の再設計が必要です。










