上棟後に倒産したら、雨ざらしの家は誰が守る?
Q. 上棟が終わった直後に住宅会社が倒産しました。屋根や外壁が完成しておらず、雨が降れば柱や床が濡れてしまいます。誰が建物を養生してくれるのでしょうか?
A. 住宅会社が倒産した後、未完成の家を自動的に守ってくれる人はいません。破産管財人、完成保証会社、設計者、引き継ぎ候補の住宅会社へ連絡し、施主側から緊急養生を動かす必要があります。
連絡先が決まるまで放置すると、雨水による木材や構造用合板の劣化だけでなく、工事再開時の調査・補修費用まで増える可能性があります。
上棟後の家は、まだ雨から守られていない
上棟とは、柱や梁を組み、建物の骨組みができた段階です。
しかし、上棟が終わったからといって、雨が建物内部へ入らない状態になったとは限りません。
倒産した時点によっては、
- 屋根の防水下地が完成していない
- 外壁の防水シートが張られていない
- 窓や玄関ドアが取り付けられていない
- 床や階段部分に雨水がたまる
- 断熱材が露出している
- ブルーシートが風で外れる
といった状態で、工事が止まります。
通常であれば、現場監督が天気を確認し、大工や協力業者へ養生を指示します。しかし住宅会社が倒産すると、その指示を出す人も、費用を払う会社もいなくなる可能性があります。
一度雨に濡れたら、全部交換になる?
柱や梁が一度雨に濡れただけで、直ちにすべて交換しなければならないとは限りません。
重要なのは、濡れた期間、乾燥状態、使用材料、変形やカビの有無です。
確認すべき主な部分は次のとおりです。
- 柱や梁の含水状態
- 床合板の膨れ・反り・剝がれ
- 構造用面材の変形や強度低下
- 接合金物や釘の錆
- 断熱材の水濡れ
- 壁内や床下に残った水
- カビや変色の発生
- 雨水の浸入経路
表面が乾いて見えても、木材内部や合板の重なり部分に水分が残っていることがあります。
濡れた状態のまま断熱材や石こうボードで隠してしまうと、完成後にカビ、腐朽、臭いなどの原因になる可能性があります。
住宅紛争処理支援センターの技術資料でも、施工中の雨水浸入や建材の水濡れは、湿気・結露に関係する確認項目とされています。住宅紛争処理技術関連資料集
工事再開前に、建築士や第三者検査機関へ調査を依頼し、必要に応じて含水状態の確認や部材交換を行うべきです。
施主が自分で屋根へ上がってはいけない
「これ以上濡らしたくない」と思っても、施主自身が足場や屋根へ上がってブルーシートを掛けるのは危険です。
上棟直後の現場には、床の開口部、固定されていない材料、濡れて滑りやすい足場などがあります。
また、現場に置かれた資材の所有関係や工事請負契約が整理されていない状態で、材料を移動・廃棄すると、後から問題になる可能性があります。
緊急養生は、高所作業に対応できる専門業者へ依頼してください。
最初に連絡する相手
住宅会社の倒産を知ったら、次の順番で動きます。
- 住宅完成保証の保証会社
- 住宅会社の代理人弁護士または破産管財人
- 設計者・工事監理者
- 住宅瑕疵保険法人
- 住宅ローンを扱う金融機関
- 建築に詳しい弁護士
- 引き継ぎを検討できる住宅会社
完成保証へ加入している場合は、保証会社の承認を得ずに施主が独自に工事を発注すると、費用が保証対象にならない可能性があります。
まずは「雨が入る状態なので、緊急養生が必要」と伝え、誰の承認で、誰へ依頼し、費用を誰が負担するのかを書面やメールで確認します。
現場の状況を写真と動画で残す
養生する前に、安全な範囲から現場の状態を記録します。
- 撮影日
- 建物全体
- 屋根の施工状況
- 外壁防水シートの有無
- 窓や開口部
- 床にたまった水
- 濡れた木材や合板
- 現場に置かれた資材
- 工事看板や施工会社名
可能であれば、倒産を知った日の天候と、その後の降雨日も記録しておきます。
写真や動画は、引き継ぎ工事の見積もり、損害額の確認、完成保証の手続、破産債権の届出などで重要な資料になります。
養生費用は誰が払う?
本来の施工会社が通常営業していれば、工事中の養生は施工会社が行います。
しかし倒産後は、緊急養生費を誰が負担するのか、すぐに決まらないことがあります。施主が一時的に負担しなければ建物を守れない場合もありますが、自己判断で発注する前に、完成保証会社や破産管財人へ確認することが重要です。
住宅完成保証へ加入している場合は、工事中断によって発生する追加費用や、引き継ぎ工事を一定の範囲で保証する制度があります。ただし、保証限度額や対象費用は約款によって異なります。
住宅完成保証がなければ、残工事や養生費用が施主負担になる可能性があります。住まいるダイヤルの倒産相談事例
デザインハウス甲府からのアドバイス
上棟後の倒産で恐ろしいのは、工事が止まることだけではありません。
誰も判断しないまま時間が過ぎ、雨に濡れた建物の補修範囲と追加費用が拡大することです。
デザインハウス甲府では、万一の工事中倒産に備えて全棟に住宅完成保証を付け、工事中の重要な施工状況も記録しています。
住宅会社と契約する前に、次の質問をしてください。
「上棟後に御社が倒産した場合、雨養生は誰が手配しますか?」
「緊急養生費や引き継ぎ工事費は、完成保証でどこまで対象になりますか?」
完成保証は、単に家を完成させるためだけのものではありません。
工事が止まったその日から、未完成の家を放置しないための備えでもあります。










