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保証書を紛失したら保証を受けられない?

Q. 保証書を紛失したら保証を受けられない?

A. 保証書を紛失しただけで、住宅会社が負う法律上の責任や契約上の保証が、必ず消えるわけではありません。ただし、保証期間・対象範囲・所有者・点検履歴を証明できなければ、手続きが遅れたり、無償対応を断られたりする可能性があります。紛失に気づいたら、住宅会社や保証会社へ再発行または保証内容証明書の発行を依頼してください。

保証書は「保証そのもの」ではなく「保証内容を証明する書類」

保証書には、一般的に次の内容が記載されています。

  • 保証する会社
  • 対象となる住宅や設備
  • 保証開始日
  • 保証期間
  • 無償修理の対象範囲
  • 保証を受けるための条件
  • 保証対象外となる事由
  • 所有者の氏名
  • 問い合わせ先

保証書を紛失すると、これらの条件を購入者側で確認できなくなります。

しかし、保証書という紙をなくしたことと、住宅会社が負う責任そのものが消えることは、同じ意味ではありません。

住宅会社側に、

  • 工事請負契約
  • 引渡し記録
  • 顧客情報
  • 保証登録
  • 定期点検履歴
  • 補修履歴

が残っていれば、保証内容を確認できる可能性があります。

法律上の10年責任は、紙をなくしただけでは消えない

新築住宅では、住宅会社や売主は、原則として引渡しから10年間、

  • 構造耐力上主要な部分
  • 雨水の浸入を防止する部分

の瑕疵について責任を負います。

保証書を紛失しただけで、この法律上の責任まで自動的に消滅するわけではありません。

契約書、引渡し日、建物登記、確認済証、検査済証など、ほかの資料から住宅と引渡し時期を確認できる場合があります。

住宅品質確保法では、新築住宅の構造部分と防水部分について10年間の責任が定められています。e-Gov法令検索「住宅の品質確保の促進等に関する法律」

ただし、保証書がなければ調査や確認に時間がかかる可能性があります。

不具合が発生している場合は、保証書探しを優先して連絡を遅らせず、まず住宅会社へ不具合を書面で通知してください。

住宅会社独自の長期保証は確認が難しくなる

法律上の10年責任を超える、

  • 20年保証
  • 30年保証
  • 60年保証
  • 永年保証
  • 防蟻保証
  • 地盤保証
  • 住宅設備延長保証

などは、住宅会社や保証会社が独自に定める保証です。

これらは、保証書や約款によって、

  • 定期点検を受けていること
  • 指定された修繕工事を実施していること
  • 所有者変更の手続きをしていること
  • 保証更新料を支払っていること
  • 他社による増改築をしていないこと

などが条件になっている場合があります。

保証書を紛失すると、単に保証期間が分からないだけでなく、保証継続の条件を確認できなくなることが問題です。

保証書の再発行ができるとは限らない

対応は、保証する会社によって異なります。

保証の種類 紛失時に考えられる対応
住宅会社の建物保証 再発行、写し、保証内容証明書
住宅瑕疵担保責任保険 住宅会社または保険法人へ確認
設備メーカー保証 再発行不可の場合あり
WEB登録した延長保証 マイページで確認できる場合あり
地盤・防蟻保証 保証番号や物件情報から照会
販売店独自の延長保証 販売店の登録記録を確認

LIXILの長期保証サービスでは、WEB保証書をオーナーズクラブのマイページから確認できる仕組みが案内されています。LIXIL「長期保証サービス」

一方、TOTOの製品保証書には、無償修理時に保証書の提示を求め、保証書を再発行しないと記載されている製品があります。TOTO「保証書の例」

つまり、

住宅の保証書、設備の保証書、延長保証の登録証は、すべて同じ扱いではありません。

「再発行できません」と「保証を受けられません」は別

住宅会社やメーカーから、

「保証書は再発行していません」

と言われることがあります。

しかし、再発行できないことと、保証記録を確認できないことは別です。

次のように質問してください。

  • 保証登録は会社に残っていますか
  • 契約日と引渡し日は確認できますか
  • 保証対象部分と期間を書面で回答できますか
  • 保証書の写しは発行できますか
  • 保証内容証明書を発行できますか
  • 点検・修繕履歴は残っていますか
  • 保証番号を照会できますか

正式な保証書を再発行できなくても、会社の記録から保証対象であることを確認できる場合があります。

紛失に気づいたら準備する情報

住宅会社や保証会社へ問い合わせる前に、次の情報を集めてください。

  1. 建物の所在地
  2. 契約者・所有者の氏名
  3. 契約した時期
  4. 引渡しを受けた時期
  5. 住宅会社名と担当営業所
  6. 建物の商品名や工法
  7. 建築確認番号
  8. 過去の点検日
  9. 補修・メンテナンス履歴
  10. 設備の品番・製造番号

契約者が親、現在の所有者が子という場合は、相続や所有者変更の書類が必要になる可能性があります。

代わりに証明資料となるもの

保証書がなくても、次の資料から保証内容や引渡し日を確認できる場合があります。

  • 工事請負契約書
  • 不動産売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 建物引渡証明書
  • 建築確認済証
  • 検査済証
  • 登記事項証明書
  • 住宅性能評価書
  • 長期優良住宅認定通知書
  • 住宅瑕疵保険の付保証明書
  • 点検報告書
  • 修繕工事の見積書・請求書
  • 住宅会社からのメール
  • 設備の納品書・取扱説明書
  • 保証登録完了メール

住宅紛争処理手続でも、契約書、契約約款、設計図、現場写真、評価書、保険付保証明書などが証拠書類として挙げられています。住まいるダイヤル「紛争処理手続の利用の仕方」

一つの書類がなくても、複数の資料を組み合わせて事実を確認できる可能性があります。

住宅瑕疵保険の書類を紛失した場合

新築時に住宅瑕疵担保責任保険へ加入している場合、引渡し時に保険付保証明書などが交付されます。

紛失した場合は、まず住宅を建てた住宅会社へ確認してください。

住宅会社が倒産している場合は、

  • 住宅会社名
  • 建物所在地
  • 契約者名
  • 引渡し日
  • 保険法人名
  • 保険証券番号

など、分かる情報を集めて保険法人や住まいるダイヤルへ相談します。

国土交通省の検討資料でも、付保証明書などの紛失は起こり得ることとして、住宅が保険付きか確認できる仕組みの必要性が指摘されています。国土交通省「住宅瑕疵保険制度のセーフティネットに関する検討会」

不具合が発生しているなら再発行を待たない

雨漏りや構造上の不具合が発生している場合、

「保証書を探してから連絡しよう」

と考えてはいけません。

時間が経つと、

  • 保証期間を過ぎる
  • 不具合が拡大する
  • 発生原因を確認しにくくなる
  • 連絡した日を証明できなくなる

可能性があります。

保証書が見つからなくても、その日のうちに住宅会社へメールで連絡してください。

保証書を現在確認中ですが、〇月〇日に〇〇部分で不具合を発見したため、保証期間内の通知としてご連絡します。写真と動画を添付しますので、現地調査と保証登録状況の確認をお願いします。

これで、不具合を発見して連絡した日を記録できます。

「保証書がないので有償です」と言われたら

住宅会社から保証書の提示だけを理由に無償対応を断られた場合は、次の内容を確認してください。

  • 保証書提示を必要とする約款の条項
  • 会社側に契約記録が残っているか
  • 引渡し日を確認できる資料はないか
  • 点検履歴から保証登録を確認できないか
  • 再発行や証明書発行はできないか
  • 法律上の10年責任との関係
  • 住宅瑕疵保険の加入状況

「紙がないから対象外」という説明だけで諦めず、保証対象外とする根拠を書面でもらってください。

中古住宅では「紛失」以外の問題にも注意

中古住宅を購入し、前所有者から保証書を受け取っていない場合は、

  • 保証書を紛失した
  • 保証が新所有者へ承継されていない
  • 所有者変更手続きをしていない
  • そもそも保証が譲渡できない

という複数の可能性があります。

保証書が見つかったとしても、所有者が変わると保証が終了する制度もあります。

住宅会社へ、保証書の有無だけでなく、保証承継の可否と必要な手続きを確認してください。

住宅書類は紙とデータの両方で保存する

引渡し時に受け取った書類は、次のように保存してください。

紙で保存するもの

  • 契約書
  • 保証書
  • 保険付保証明書
  • 確認済証・検査済証
  • 住宅性能評価書
  • 長期優良住宅関係書類
  • 地盤保証書
  • 防蟻保証書

データ化するもの

  • 保証書全ページ
  • 保証約款
  • 設計図
  • 仕様書
  • 点検報告書
  • 修繕履歴
  • 施工写真
  • 設備の品番と製造番号

スマートフォンで撮影するだけでなく、PDF化してクラウドや外部記憶媒体など、複数の場所へ保存してください。

住宅会社の会員サイトだけに保存すると、会社のサービス終了やパスワード紛失で確認できなくなる可能性があります。

契約前に確認すること

住宅会社へ、次の質問をしてください。

  • 保証書を紛失した場合、再発行できますか
  • 再発行できない場合、保証内容証明書を発行できますか
  • 保証情報は何年間保存されますか
  • WEBでも保証書を確認できますか
  • 点検・修繕履歴を所有者も確認できますか
  • 住宅会社が倒産した場合、どこへ問い合わせますか
  • 中古売却時に保証書を承継できますか
  • 設備保証は建物保証と別管理ですか

保証書をなくしても、すぐ諦めてはいけない

保証書は非常に重要な書類です。

しかし、保証書を紛失したことだけを理由に、すべての保証が当然になくなるとは限りません。

契約記録、引渡し日、保証登録、点検履歴などから確認できる可能性があります。

一方で、会社が倒産し、保証書も契約書もなく、保証番号も分からない状態では、保証を受けるための確認が極めて難しくなります。

保証書は、なくしてから重要性に気づく書類です。

引渡しを受けたら、保証書をファイルへ入れるだけで終わらせず、全ページをデータ化してください。

保証年数より先に確認すべきなのは、

「保証を証明する書類を、30年後まで残せるか」です。

デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁

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