Q. 保証書は契約前に見せてもらえる?
A. 実際の保証書は建物完成後に発行されることがありますが、契約前でも「保証書の見本」「保証約款」「アフターサービス基準」は見せてもらうべきです。これらを確認できないまま契約すると、引渡し後に初めて、有償修繕、免責事項、保証延長条件を知ることになります。
「保証書は引渡し時に渡します」で契約してはいけない
住宅会社へ保証書を見せてほしいと依頼すると、
「保証書は完成後に発行します」
「契約者にしか見せられません」
「詳しい内容は引渡し時に説明します」
「当社を信用していただければ大丈夫です」
と言われることがあります。
建物の住所、引渡し日、所有者名、保証番号などが確定しなければ、正式な保証書を発行できないことはあります。
しかし、保証制度の内容まで完成後でなければ分からないという話ではありません。
住宅会社が実際に使用している、
- 保証書の見本
- 保証約款
- アフターサービス基準
- 定期点検表
- 保証延長条件
- 免責事項
- 想定メンテナンス計画
は、契約前でも確認できるはずです。
保証内容を知らずに住宅を契約するのは、保険約款を読まずに保険料だけ支払うのと同じです。
広告と保証書は別のもの
住宅会社のカタログやホームページには、
「初期保証30年」
「最長60年保証」
「永年保証」
「住宅設備10年保証」
など、大きな数字が表示されています。
しかし、広告は保証内容の全体を示すものではありません。
実際の保証書には、小さな文字で次のような条件が書かれていることがあります。
- 保証対象となる部位
- 初期保証期間
- 最大保証期間
- 無償修理の範囲
- 保証対象外となる原因
- 定期点検の実施条件
- 有償メンテナンスの条件
- 指定業者による施工条件
- 他社工事を行った場合の扱い
- 保証を受けるための通知方法
- 所有者変更時の扱い
- 住宅会社倒産時の扱い
広告の「60年」は入口です。
本当の保証内容は、保証書と保証約款に書かれています。
「初期30年」と「最長60年」は同じではない
保証書を見るときは、初期保証と最大保証を分けて確認してください。
例えば、
「最長60年保証」
と表示されていても、実際には、
- 初期保証は20年または30年
- 保証満了前に点検を受ける
- 住宅会社が必要と判断した有償工事を行う
- 条件を満たすと保証期間を延長する
という制度かもしれません。
つまり、契約時点で無条件に60年間保証されるのではありません。
「60年保証」と説明されたら、次のように質問してください。
「有償工事を一度も行わなかった場合、無条件で保証されるのは何年ですか」
この質問で、広告上の最大年数と実際の初期保証期間を分けられます。
契約前に確認する保証書類
住宅には、複数の保証が関係します。
一枚の「住宅保証書」だけで、すべてを確認できるとは限りません。
1.住宅会社の建物保証書
- 構造
- 防水
- 外壁
- 屋根
- 内装
- 建具
- 給排水管
- 電気設備
- 外構
など、部位ごとの保証期間を確認します。
2.アフターサービス基準
- 床鳴り
- クロスのひび割れ
- 建具の調整
- 外壁のひび割れ
- シーリング
- 設備の不具合
など、具体的な症状と対応期間が記載されているか確認します。
3.住宅瑕疵担保責任保険
法律上の10年責任に備える保険です。
保険法人名、対象部分、事故時の連絡方法、住宅会社が倒産した場合の手続きを確認します。
引渡し後に保険付保証明書が見当たらない場合は、住宅事業者へ交付を求めるよう、住まいるダイヤルも案内しています。住まいるダイヤル|保険付保証明書を入手できる?
4.住宅設備の保証書
- キッチン
- ユニットバス
- トイレ
- 給湯器
- 食洗機
- IH
- 換気設備
- エアコン
は、建物保証とは別にメーカー保証や住宅設備延長保証が設定されることがあります。
5.地盤保証書
- 不同沈下
- 保証期間
- 保証限度額
- 擁壁
- 液状化
- 仮住まい費用
- 住宅会社倒産時の対応
を確認します。
6.防蟻保証書
- 保証期間
- 再施工の時期
- 駆除費用
- 建物補修費
- 補償限度額
- 保証延長条件
を確認します。
7.完成保証の約款
住宅会社が工事途中で倒産した場合の保証です。
完成保証という名称だけでは、保証内容は分かりません。
住まいるダイヤルも、着工前から保証対象になるか、引継ぎ工事の増加費用をどこまで負担するかなどは、保証会社と契約約款によって異なるため、約款を確認するよう案内しています。住まいるダイヤル|住宅会社が破産した場合の完成保証
保証書で必ず見る10項目
保証書を受け取ったら、次の10項目を確認してください。
- 保証の責任者
住宅会社、設備メーカー、保証会社、保険法人の誰が責任を負うのか。 - 保証開始日
契約日、工事完了日、引渡し日のどこから数えるのか。 - 初期保証期間
有償工事なしで保証される期間は何年か。 - 保証対象部位
構造、防水、設備、内装、外構のどこまで含まれるか。 - 無償修理の範囲
部品代、出張費、工事費、足場費、復旧費まで含まれるか。 - 免責事項
経年劣化、自然災害、結露、シロアリ、他社工事など、何が対象外か。 - 保証延長条件
点検、有償修繕、指定工事が必要か。 - 保証判定者
保証対象かどうかを誰が判断するのか。 - 所有者変更時の扱い
相続や売却後も保証を引き継げるか。 - 倒産時の扱い
住宅会社がなくなっても保証が継続されるか。
保証年数だけでなく、これらを一つずつ確認して初めて、保証の価値が分かります。
保証書の「対象外」というページが最も重要
多くの人は、保証書の保証期間一覧だけを見ます。
しかし、本当に見るべきなのは免責事項です。
例えば、
- 通常の使用による摩耗や経年変化
- 取扱説明書に従わない使用
- 定期点検や清掃の未実施
- 台風・地震・水害・落雷
- シロアリや小動物
- 結露やカビ
- 他社による増改築・修繕
- 不具合発見後の連絡遅延
- 指定業者を通さない修理
- 消耗部品の交換
などが、保証対象外として定められている場合があります。
「何を保証するか」より、**「何を理由に保証しないのか」**を確認してください。
保証書を見せない会社へ送る依頼文
営業担当者へ、次のように依頼してください。
契約前に保証条件を確認したいため、現在使用している建物保証書の見本、保証約款、アフターサービス基準、保証延長条件、免責事項、想定メンテナンス計画をご提示ください。正式な保証書が引渡し後に発行されることは理解していますので、現行書式の見本で構いません。
これでも、
「引渡し時まで見せられません」
「信用の問題です」
「他のお客様は確認していません」
という会社なら、なぜ契約前に開示できないのかを考える必要があります。
「ホームページに書いてあります」では不十分
ホームページは、住宅会社が後から内容を変更できます。
契約時点で確認した保証条件を残すには、
- PDFでもらう
- 紙で受け取る
- 書類の発行日・改訂日を確認する
- 契約書の添付資料にする
- メールで受領記録を残す
ことが重要です。
契約後に保証条件が変更された場合、どの版が自分の住宅へ適用されるのか確認できるようにします。
保証書の見本に、
「契約締結日時点の〇年〇月版を適用する」
と契約書へ明記してもらう方法もあります。
口頭説明と保証書が違う場合
営業担当者から、
「設備も10年間すべて無料です」
「他社で修繕しても保証は切れません」
「60年間追加費用はかかりません」
と説明されても、保証書に書かれていなければ、後から証明することが難しくなります。
重要な説明は、次の形で書面に残してください。
- 契約書へ追記する
- 特約として添付する
- 質疑回答書を作成する
- 営業担当者のメールで回答をもらう
- 住宅会社の代表者や責任者に確認する
住宅紛争の手続きでも、契約書、契約約款、設計図、現場写真、保険付保証明書などが証拠書類として扱われます。住まいるダイヤル|紛争処理手続の利用方法
言った、言わないではなく、何が書面に残っているかが重要です。
引渡し時にも保証書一式を確認する
契約前に見本を確認していても、引渡し時には正式な書類を受け取ってください。
- 建物保証書
- アフターサービス基準
- 住宅瑕疵保険付保証明書
- 地盤保証書
- 防蟻保証書
- 設備保証書
- 設備の取扱説明書
- 構造計算書
- 検査済証
- 点検・メンテナンス計画
書類名を一覧にして、受領確認を行うと漏れを防げます。
引渡しから数年後に不具合が発生して初めて、保証書がないことに気づいても、住宅会社の担当者が退職していたり、会社自体がなくなっていたりする可能性があります。
保証を契約後に知る会社と、契約前に公開する会社
保証条件を契約前に公開する住宅会社は、
- 保証対象
- 保証対象外
- 有償修繕
- 将来の維持費
- 住宅会社が負えない責任
まで説明できます。
一方、保証年数だけを大きく宣伝し、保証書は引渡し時まで見せない会社では、住宅購入者が比較できるのは数字だけです。
保証書を見せてもらうことは、住宅会社を疑う行為ではありません。数千万円の契約条件を確認する当然の行為です。
契約前に保証書の見本と約款を出せない会社が、引渡し後の不具合に誠実に対応するかどうか。
大きな「60年」ではなく、契約前に小さな免責事項まで公開する姿勢を見て、住宅会社を選んでください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










