Q. 保証会社が倒産した場合、保証はどうなる?
A. 保証会社の種類と契約内容によって異なります。国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人の場合は、保険契約を別の指定法人へ引き継ぐ仕組みがあり、過去にも契約が承継された事例があります。一方、民間の長期保証会社や保証サービス会社が倒産した場合、別会社への承継や保険による裏付けがなければ、保証が実質的に終了する可能性があります。
これまで、
「住宅会社が倒産したら、長期保証はどうなるのか」
を説明してきました。
しかし、もう一つ確認しなければならない問題があります。
住宅会社ではなく、保証を引き受けた第三者機関そのものが倒産したらどうなるのか。
住宅会社から、
「第三者保証なので、当社が倒産しても安心です」
と説明されても、その第三者が60年間存続する保証はありません。
「保証会社」はすべて同じではない
住宅業界で保証会社と呼ばれる事業者には、さまざまな種類があります。
- 国土交通大臣指定の住宅瑕疵担保責任保険法人
- 民間の長期保証サービス会社
- 住宅設備延長保証会社
- 地盤保証会社
- 防蟻保証会社
- 太陽光発電の保証会社
- 完成保証を提供する会社
- 保証判定や定期点検だけを行う会社
どの会社が倒産したかによって、保証の扱いは変わります。
「第三者保証会社」という名称だけで、国の制度によって守られていると判断してはいけません。
国指定の瑕疵保険法人には契約承継の仕組みがある
住宅瑕疵担保責任保険を取り扱えるのは、住宅瑕疵担保履行法に基づき、国土交通大臣から指定を受けた保険法人です。
これらの法人は、住宅会社が加入する新築住宅の瑕疵保険を引き受けます。
国土交通大臣による指定、監督、報告、検査などの対象になっており、一般的な民間保証サービス会社とは位置付けが異なります。
指定保険法人が保険業務を廃止する場合などには、引受済みの保険契約を別の指定保険法人へ承継する仕組みがあります。
過去には保険契約が別法人へ引き継がれた
2011年には、当時の住宅瑕疵担保責任保険法人「たてもの株式会社」が保険業務を廃止し、引受済みの保険契約を「株式会社住宅あんしん保証」が引き継いだ事例があります。
国土交通省は、このとき次の取扱いを公表しました。
- 保険証券発行済みの契約は従来どおり保証
- 保険料納付済みの契約は追加保険料不要
- 引継ぎによる契約条件の変更なし
- 保険証券未発行でも、一定の条件で承継
この事例では、保険法人が業務を廃止しても、住宅取得者の保険契約が失われないように別法人へ引き継がれました。
国指定の瑕疵保険法人には、このような契約者保護の仕組みと実際の承継事例があります。
「国指定」でも国が無制限に保証するわけではない
注意してほしいのは、
「国土交通大臣指定だから、国が修理費を全額保証する」
という意味ではないことです。
国は保険法人を指定・監督しますが、住宅の補修費を国が無条件で直接支払う制度ではありません。
保険金が支払われるには、次の条件が必要です。
- 対象住宅に有効な保険契約がある
- 保険期間内である
- 構造・防水部分などの保険対象部分に瑕疵がある
- 免責事項に該当しない
- 必要な調査と申請を行う
- 保険金額の範囲内である
保険法人が別会社へ変わっても、保証対象が家全体へ拡大するわけではありません。
民間の長期保証会社は別の話
住宅会社が採用する「最長60年保証」の運営会社は、必ずしも国土交通大臣指定の瑕疵保険法人とは限りません。
民間企業が独自に提供する、
- 長期保証プログラム
- 定期点検サービス
- 住宅履歴管理
- 設備延長保証
- メンテナンス保証
- アフターサービス代行
などの場合があります。
民間保証会社が倒産したときに、別会社が保証を引き継ぐ法律上の統一制度が必ず用意されているとは限りません。
保証会社自身の約束だけで運営していた場合は、保証履行が困難になる可能性があります。
保証会社と保険会社が別の場合もある
民間の保証サービスには、保証会社の背後に損害保険会社などが付いている場合があります。
例えば、
- 保証サービス会社が受付と修理手配を行う
- 損害保険会社が補修費用の保険を引き受ける
- 別の点検会社が定期点検を行う
という仕組みです。
この場合、保証サービス会社が倒産しても、保険契約や保証債務が別会社へ承継されれば、保証が継続する可能性があります。
一方、保証会社が自社資金だけで保証していた場合、会社の倒産によって補修費用の支払原資が失われる可能性があります。
確認すべきなのは、保証会社の名前だけではありません。
保証の裏側に、誰の資金があるのか。
ここが重要です。
「保証料を一括で払った」だけでは安心できない
住宅の契約時に、60年保証の保証料を一括で支払っている場合があります。
しかし、一括払いをしたからといって、60年分の保証資金が別口座に完全に確保されているとは限りません。
保証料が保証会社の運転資金として使われていれば、保証会社の倒産時に資金が残っていない可能性があります。
確認すべきなのは次の点です。
- 保証料は一括管理されているか
- 信託や供託などで分別管理されているか
- 保険契約が保証期間全体を一括でカバーしているか
- 一定期間ごとに保険を更新する方式か
- 保証会社倒産時の承継先が決まっているか
60年保証でも保険は5年・10年更新の場合がある
長期保証制度には、60年間を一括して保証するのではなく、5年または10年ごとに保証を更新する仕組みがあります。
例えば、
- 新築から20年目まで保証
- 20年目に検査と補修
- 20年目から30年目まで再保証
- 以降も更新して最長60年
という制度です。
この場合、保証会社が25年目に倒産したら、現在有効な30年目までの保証は残っても、30年目以降の更新ができなくなる可能性があります。
「最長60年」は、60年分の保証契約が最初から成立しているという意味ではない場合があります。
保証会社が倒産した場合の違い
| 保証会社の種類 | 倒産・業務廃止後の可能性 |
|---|---|
| 国指定の瑕疵保険法人 | 別の指定法人へ契約承継される仕組みがある |
| 民間の長期保証会社 | 契約承継や保険の裏付けがなければ終了する可能性 |
| 設備延長保証会社 | 引受保険会社や承継契約の有無による |
| 地盤保証会社 | 共同保証者や賠償責任保険があれば継続する可能性 |
| 防蟻保証会社 | 薬剤メーカー・施工会社との保証関係による |
| 完成保証会社 | 保証契約、限度額、承継制度による |
| 点検・保証業務代行会社 | 別会社が業務を引き継がなければ点検停止の可能性 |
地盤保証も保証者が一社とは限らない
地盤保証では、地盤調査会社だけでなく、保証機関、住宅会社、保険会社などが関係している場合があります。
例えば、登録地盤会社と保証機関が連名で保証者となり、さらに保証期間を一括でカバーする賠償責任保険が付いている制度もあります。
このような制度であれば、登録地盤会社が倒産しても、別の保証主体や保険によって保証が継続する可能性があります。
一方、地盤会社一社だけが保証者なら、その会社の倒産によって保証履行が難しくなる可能性があります。
設備延長保証の運営会社も確認する
キッチン、トイレ、給湯器、食洗機、換気設備などの「住宅設備10年保証」も、住宅会社が直接保証しているとは限りません。
次のような会社が関係することがあります。
- 設備メーカー
- 住宅設備保証会社
- 保証サービス運営会社
- 損害保険会社
- 修理受付会社
設備保証会社が倒産した場合でも、メーカー保証期間内ならメーカー保証を利用できる可能性があります。
しかし、メーカー保証終了後の延長期間については、延長保証会社や引受保険会社の契約次第です。
「設備10年保証」という名称ではなく、保証書の発行者と費用負担者を確認してください。
保証会社が倒産しても住宅会社の責任が消えるとは限らない
第三者保証会社が倒産したからといって、住宅会社が負う法律上・契約上の責任まで当然に消えるわけではありません。
例えば、住宅会社が存続しており、法律上の10年責任や自社の保証責任を負っている場合です。
この場合、住宅会社が、
「保証会社が倒産したので修理できません」
と言うだけで責任を免れるとは限りません。
第三者保証は、住宅会社の責任を資金面・業務面で支える仕組みであり、住宅会社自身の責任とは分けて考える必要があります。
ただし、保証書の内容や契約関係によって判断が変わるため、個別に確認が必要です。
保証会社倒産時に必要な書類
保証会社の倒産や業務停止を知ったら、次の書類を確保してください。
- 保証書
- 保険証券
- 保険付保証明書
- 保証契約約款
- 保証料の領収書
- 証券番号・登録番号
- 保証開始日と終了日
- 保証限度額
- 住宅会社との工事請負契約書
- 点検・メンテナンス記録
- 保証会社から届いた通知
- 不具合の写真・動画・修理見積書
保証会社のホームページが閉鎖される前に、保証約款、連絡先、会社概要などを保存しておくことも重要です。
国指定の瑕疵保険法人であれば、国土交通省の発表や契約承継先を確認します。
契約前に確認する12項目
住宅会社と保証会社へ、次の質問をしてください。
- 保証会社の正式な法人名は何ですか
- 国土交通大臣指定の保険法人ですか
- 民間の保証サービス会社ですか
- 修理費用を実際に負担するのは誰ですか
- 保険を引き受ける会社は別にありますか
- 保証会社が倒産した場合、誰が契約を引き継ぎますか
- 契約承継は保証書のどこに書かれていますか
- 保証料は分別管理されていますか
- 保証期間全体を一括でカバーしていますか
- 5年・10年ごとの更新方式ですか
- 倒産時も住宅所有者が直接請求できますか
- 保証会社倒産時の連絡先はどこですか
「第三者保証なので安心です」という説明で終わらせてはいけません。
保証の強さは会社の数では決まらない
住宅会社、保証会社、保険会社、点検会社。
関係する会社が多ければ安心に見えます。
しかし、どの会社も補修費用の最終責任を負っていなければ、会社の数が増えても保証は強くなりません。
本当に確認すべきなのは、
- 最終的に誰が支払うのか
- その会社が倒産したら誰が引き継ぐのか
- 契約承継が書面で約束されているか
- 保証期間全体の資金的裏付けがあるか
という点です。
住宅会社の倒産に備えて保証会社を付けても、その保証会社の倒産に備える仕組みがなければ、安心は完成していません。
「第三者保証」という言葉より、保証者、引受保険会社、契約承継先、直接請求権まで確認してください。
参考:
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










