Q. 保証を60年間維持する総額はいくら?
A. 一律の金額はありません。住宅会社、建物の大きさ、外壁・屋根の仕様、点検結果によって変わります。重要なのは「60年保証」という年数ではなく、保証を維持するための有償工事を含めた総額です。
多くの住宅会社は、保証期間を大きく表示しています。
しかし、
「60年間保証を維持するために、総額でいくら必要なのか」
まで明確に表示している会社は多くありません。
60年保証の比較では、次の3つの費用を分けて考える必要があります。
1.保証延長に必要な工事費
初期保証が終了した後も保証を継続するために、住宅会社から指定された工事を行う場合があります。
代表的な工事は次のとおりです。
- 外壁塗装
- 外壁目地の打ち替え
- 屋根の補修や塗装
- バルコニーや屋上の防水工事
- 防蟻工事
- 雨樋や外部部材の補修
例えば、初期保証30年の後、30年目と45年目に有償メンテナンス工事を行い、15年ずつ保証を延長する制度があります。
この場合、60年保証を維持するには、少なくとも30年目と45年目に、住宅会社が必要と判断した工事費を支払う必要があります。
工事を断れば、保証を延長できない可能性があります。
2.保証対象外の通常メンテナンス費
保証を継続していても、経年劣化や消耗品の交換は有償になる場合があります。
例えば、
- クロスや床材の補修
- 建具の調整や交換
- 水栓や排水部品の交換
- 換気設備の清掃や部品交換
- 雨樋や外部金物の交換
- エアコンや照明器具の交換
などです。
これらは建物の60年保証とは別に、所有者が負担する可能性があります。
したがって、保証延長工事の総額だけを確認しても、住宅全体の維持費は分かりません。
3.住宅設備の交換費
60年間、同じ給湯器、キッチン、トイレ、換気設備を使い続けることは現実的ではありません。
住宅設備には、建物の保証とは異なる耐用年数や部品供給期間があります。
60年間では、次のような設備を複数回交換する可能性があります。
- 給湯器
- IHクッキングヒーター
- 食器洗い乾燥機
- レンジフード
- トイレ
- 換気設備
- エアコン
- 太陽光発電のパワーコンディショナー
- 蓄電池
住宅設備の交換費は、構造・防水の長期保証に含まれないことがあります。
「60年保証の維持費」と「60年間住み続けるための総維持費」は、別の金額です。
60年間の積立額を計算すると?
将来の工事金額を正確に確定することはできません。
そこで、資金計画では毎月の積立額から、60年間に準備できる金額を逆算します。
- 月1万円×12か月×60年=720万円
- 月1万5,000円×12か月×60年=1,080万円
- 月2万円×12か月×60年=1,440万円
これは、特定の住宅会社の保証維持費を示した金額ではありません。
外壁・屋根・防水などの建物修繕に加え、給湯器や換気設備などの交換まで含めた、長期的な住宅維持資金の考え方です。
月1万円を積み立てても、60年間で720万円です。
反対に言えば、60年間の修繕費をまったく考えずに住宅ローンを組むことは危険です。
30年後の工事価格は現在と同じではない
現在200万円でできる工事が、30年後も200万円でできるとは限りません。
人件費、材料費、足場代、廃棄費用などが上昇すれば、修繕費も高くなる可能性があります。
また、保証延長時の点検結果によって、必要な工事内容も変わります。
そのため、
「将来のことなので、今は金額を出せません」
という住宅会社の説明にも一定の理由があります。
しかし、正確な金額が出せなくても、
- 現在の価格による概算
- 過去に実施した工事の実例
- 標準的なメンテナンス計画
- 工事費が上昇した場合の試算
は提示できるはずです。
山梨では立地条件でも修繕費が変わる
同じ建物でも、建築地によって劣化の進み方は変わります。
山梨県内でも、
- 甲府盆地の強い日射と夏の高温
- 北杜市など寒冷地の凍結
- 富士北麓地域の低温や積雪
- 周囲に建物が少ない場所の強風
- 日当たりの悪い場所の湿気
など、立地条件によって外壁、防水、給排水設備への負担が異なります。
全国共通のメンテナンス金額だけでなく、建築予定地に合わせた計画が必要です。
契約前に60年分の資料を求める
住宅会社へ、次の資料を求めてください。
- 60年間の点検スケジュール
- 保証延長に必要な工事一覧
- 現在価格による修繕費の概算
- 30年目と45年目の工事実例
- 住宅設備の交換時期と概算費用
- 他社施工を選んだ場合の保証条件
- 修繕費が上昇した場合の試算
「60年後なので分かりません」で終わらせず、現在の価格で構わないので、想定総額を出してもらうことが重要です。
保証を維持しない選択も比較する
高額な指定工事を行って保証を延長するより、必要な部分だけを他社で修繕し、保証を延長しないほうが総額を抑えられる場合もあります。
反対に、多少費用が高くても、建築した住宅会社へ点検と修繕を継続して依頼する安心感を優先する人もいます。
どちらが正しいという話ではありません。
重要なのは、保証を継続する場合と継続しない場合の総額を比較し、自分で選べることです。
60年保証の本当の価格は、契約時の保証料ではありません。
60年間に必要となる点検費、指定修繕費、通常メンテナンス費、住宅設備交換費の合計です。
住宅価格は引き渡し時の総額で比較する。
保証も、60年間の維持総額で比較してください。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁
※大和ハウスは、初期保証30年後、30年目・45年目の有料メンテナンス工事による保証延長を公表しています。大和ハウス「人生に寄り添うサポート」
※積水ハウスは、35年目以降の点検・補修が有料・有償となることを公表しています。積水ハウス「長期保証制度」










