住宅紹介サービスから紹介された会社が倒産したら、誰が責任を負う?
A. 原則として、家を完成させる責任を負うのは工事請負契約を結んだ住宅会社です。紹介サービスが住宅会社を紹介しただけなら、その会社が倒産しても、紹介サービスに工事完成や損失補償の義務が自動的に発生するわけではありません。
「無料住宅相談」「中立な住宅会社選び」「厳しい審査を通過した優良会社だけを紹介」と説明されると、紹介された会社の安全性まで紹介サービスが保証しているように感じます。
しかし、紹介サービスの多くは、住宅会社を紹介する立場です。
施主が工事請負契約を結ぶ相手は紹介サービスではなく、紹介された住宅会社です。
住宅会社が倒産したとき、
紹介した会社なのだから、紹介サービスが責任を取ってくれるだろう
と思っても、契約書にその責任が書かれていなければ、家を完成させてもらえるとは限りません。
3つの契約を分けて考える
住宅紹介サービスを利用した場合、関係する契約は主に3つあります。
| 契約・制度 | 相手 | 主な責任 |
|---|---|---|
| 住宅相談・紹介サービス | 紹介会社 | 相談、情報提供、住宅会社の紹介 |
| 工事請負契約 | 住宅会社 | 設計、施工、工事完成、引き渡し |
| 住宅完成保証 | 保証会社 | 約款の範囲内で前払金損害や増嵩工事費用を保証 |
紹介サービスが住宅会社を選定しても、通常、工事を請け負うのは住宅会社です。
紹介会社が「厳選した会社です」と説明したことと、その会社が倒産した場合の損害を補償することは別問題です。
倒産時に責任を負う可能性がある相手
1.工事請負契約を結んだ住宅会社
家を完成させる責任、契約内容どおりに施工する責任、支払い過ぎた工事代金を返還する責任を負うのは、原則として工事請負契約書に記載された住宅会社です。
ただし、住宅会社が破産すると、支払ったお金を全額回収できるとは限りません。
破産管財人が選任された場合、施主は契約関係や過払い金などを整理し、必要に応じて債権届出を行います。
住まいるダイヤルも、施工会社が破産した場合、契約の解除や工事の引き継ぎを法律家の助言を受けながら慎重に進めるよう案内しています。住まいるダイヤル「建築途中に施工業者が破産した事例」
2.住宅完成保証会社
第三者の住宅完成保証が付いていれば、保証会社が約款に基づいて対応します。
保証の内容には、一般的に次のようなものがあります。
- 支払済み金額と工事出来高との差額
- 工事引き継ぎによる増嵩工事費用
- 引き継ぎ会社の紹介・あっせん
- 既施工部分の確認
ただし、保証限度額や免責条件があります。
紹介サービスから「完成保証のある会社です」と説明された場合でも、次の書類を確認してください。
- 保証会社名
- 施主名
- 建築地
- 請負金額
- 保証限度額
- 保証期間
- 保証対象
- 保証証書番号
住宅会社が完成保証制度へ登録しているだけでは、その人の家に保証が付いている証明にはなりません。
3.住宅紹介サービス
紹介サービスが責任を負うのは、基本的に紹介契約や利用規約で約束した範囲です。
例えば、
- 希望条件に合う住宅会社を紹介する
- 面談日程を調整する
- 住宅会社への断りを代行する
- 資金計画を支援する
- 商談中の相談を受ける
などです。
紹介サービスが工事請負契約の当事者でも保証人でもなければ、通常は家を完成させる義務まで負いません。
ただし、次のような事情があれば、紹介サービス側の責任が問題になる可能性があります。
- 本部が工事完成を明確に保証していた
- 倒産時の損害を補償すると書面で約束していた
- 重大な経営不安を知りながら安全だと説明した
- 実際には審査していないのに、厳格な財務審査済みと表示した
- 虚偽の情報を提供して契約を勧めた
- 紹介会社自身が契約金や工事代金を受領した
- 住宅会社と共同して契約締結に深く関与した
紹介サービスに損害賠償責任が発生するかは、広告表示、利用規約、説明内容、住宅会社との関係、紹介時点の経営状態などによって個別に判断されます。
「厳選」「優良」「安心」などの表示が、実際より著しく優れていると消費者へ誤認させる場合は、景品表示法上の問題になる可能性もあります。消費者庁「優良誤認とは」
ただし、表示上の問題があることと、施主が被った倒産損害の全額を紹介サービスが支払うことは同じではありません。
4.住宅瑕疵保険法人
住宅会社が倒産した後、すでに引き渡された家で構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に瑕疵が見つかった場合、保険付き住宅なら保険法人へ補修費用を直接請求できる可能性があります。
一方、住宅瑕疵保険は、未完成の家を完成させる制度ではありません。
住まいるダイヤルも、施工会社が倒産した場合、アフターサービスを引き継ぐ会社がなければ通常の補修請求先がなくなり、保険の対象になる重大な瑕疵については保険法人へ直接請求できると案内しています。住まいるダイヤル「新築工事の事業者が倒産した場合」
紹介料を受け取っていても、倒産責任を負うとは限らない
無料住宅相談サービスの中には、施主から相談料を取らず、契約した住宅会社から紹介料や広告料を受け取る仕組みがあります。
仮に、2,200万円の工事請負契約に対して、紹介会社が住宅会社から3%の紹介料を受け取る契約なら、紹介料は66万円です。
しかし、紹介料を受け取ったことだけで、住宅会社が倒産した際の損失を紹介会社が保証することにはなりません。
例えば、倒産によって次の損失が発生したとします。
- 支払済み金額と出来高との差額:300万円
- 引き継ぎによる追加工事費:250万円
- 仮住まい・つなぎ融資利息:60万円
施主の負担は合計610万円です。
紹介会社が66万円の紹介料を受け取っていても、契約上の保証がなければ、この610万円を負担するとは限りません。
紹介料を受け取ることと、紹介先の倒産リスクを引き受けることは別です。
「厳しい審査を通過した会社」の審査内容を確認する
紹介サービスのホームページには、次のような表現が使われることがあります。
- 独自基準を通過した優良会社
- 厳選された住宅会社だけを紹介
- 安心できる住宅会社を紹介
- 登録会社を定期的に審査
- 信頼できる住宅会社のみ掲載
しかし、「審査」という言葉だけでは中身が分かりません。
審査項目が、
- 建設業許可の確認
- 施工事例の確認
- 営業エリアの確認
- 担当者との面談
だけなら、会社の資金繰りや倒産リスクまで審査したとは限りません。
契約前には、次の点を質問してください。
- 決算書を確認しているか
- 何年分の決算書を確認しているか
- 債務超過や赤字を確認しているか
- 審査を更新する頻度
- 下請業者への支払い状況を確認しているか
- 完成保証へ加入できる会社か確認しているか
- 審査後に経営状態が悪化した場合の対応
- 登録を解除する具体的な基準
紹介サービスが回答できない場合、その審査は「紹介先として登録した」という意味にとどまる可能性があります。
「中立」という言葉も責任を保証しない
紹介サービスが複数の住宅会社から紹介料を受け取っている場合、登録されていない住宅会社は紹介候補に入りません。
そのため、「中立」と表示されていても、全国すべての住宅会社を比較しているわけではない可能性があります。
確認すべき質問は次の3つです。
紹介できるのは、提携している住宅会社だけですか。
住宅会社から紹介料や成約報酬を受け取っていますか。
紹介料の高い会社が、優先的に紹介されることはありませんか。
紹介料の存在自体が悪いわけではありません。
問題は、誰から報酬を受け取り、どの基準で会社を選び、紹介後にどこまで責任を負うのかが見えないことです。
倒産しても紹介会社が対応しない可能性がある利用規約
住宅紹介サービスの利用規約には、次のような内容が書かれていることがあります。
- 住宅会社との契約は利用者の自己責任
- 紹介先の品質や信用力を保証しない
- 住宅会社とのトラブルには責任を負わない
- 契約内容には関与しない
- 損害賠償責任を一定範囲に制限する
- 紹介後の工事完成を保証しない
ホームページの「安心」「厳選」という言葉だけで判断せず、利用規約の免責条項まで確認してください。
契約前に、紹介サービスへ次のように質問します。
紹介された住宅会社が建築途中で倒産した場合、御社は家の完成、前払金の返還、追加工事費のうち、どこまで責任を負いますか。責任範囲が記載された書面をください。
「そのような事例はありません」という回答は、責任範囲の説明ではありません。
紹介サービス利用前に確認すべき10項目
- 紹介サービスの運営会社名は?
- 紹介できる住宅会社は提携会社だけ?
- 住宅会社から紹介料を受け取る?
- 紹介先の審査項目は?
- 財務内容を何年分確認している?
- 審査は毎年更新される?
- 紹介先が倒産した場合、紹介会社は何をする?
- 家の完成や損失補償を書面で保証する?
- 第三者の完成保証は全棟に付く?
- 紹介後のトラブル対応はどこまで行う?
この10項目への回答は、メールなど記録が残る方法でもらってください。
紹介された住宅会社がすでに倒産した場合
すぐに次の対応を行います。
- 住宅会社への追加支払いを止める
- 工事請負契約書と入金記録を確保する
- 現場の進捗状況を撮影する
- 紹介サービスへ書面で連絡する
- 紹介時の広告・説明・メールを保存する
- 完成保証会社へ連絡する
- 破産管財人または代理人を確認する
- 図面・申請書類・検査記録を回収する
- 弁護士や建築士へ相談する
- 紹介会社が約束した支援内容を確認する
紹介サービスが「別の会社を紹介します」と申し出ても、すぐに新しい工事請負契約を結ばないでください。
既存契約の解除、工事出来高、過払い額、現場の安全性を整理してから、引き継ぎ条件を比較します。
デザインハウス甲府の考え方
住宅会社選びで重要なのは、誰から紹介されたかではありません。
- 誰と工事請負契約を結ぶのか
- 総額はいくらなのか
- 工事代金をいつ支払うのか
- 性能が数値で確認できるか
- 全棟に完成保証が付くのか
- 倒産時に誰が何を保証するのか
この6点です。
紹介サービスから勧められた会社でも、知人から紹介された会社でも、自分で見つけた会社でも、契約上のリスクは確認しなければなりません。
紹介サービスの名前や「無料・中立・厳選」という言葉は、家を完成させる保証ではありません。
紹介した責任と、家を完成させる責任は別です。
契約前に見るべきなのは、紹介会社の広告ではなく、住宅会社との工事請負契約書と、第三者が発行する完成保証証書です。










