住宅完成保証は、住宅会社が倒産したとき何を守ってくれる?
A. 住宅完成保証は、住宅会社の倒産などで工事が止まったときに、別の住宅会社による工事の引き継ぎや、前払い金の損失・追加工事費用の一部を保証する制度です。ただし、支払ったお金が全額戻る制度ではなく、保証内容や限度額は保証機関ごとに異なります。
住宅会社が建築途中で倒産すると、家は自動的に別の会社へ引き継がれるわけではありません。
工事はいったん止まり、支払済み金額、現場の進捗、未納入資材、図面、建築確認、施工品質などを確認したうえで、引き継ぐ住宅会社を探すことになります。
このとき、施主の損失を一定範囲で抑え、住宅完成までを支援するのが「住宅完成保証」です。
住宅完成保証が守る主な3項目
保証内容は制度によって異なりますが、主に次の3つがあります。
| 保証・支援内容 | 守られるもの |
|---|---|
| 工事引き継ぎ支援 | 別の登録事業者による工事再開・完成 |
| 前払い金の保証 | 工事進捗より先に支払い、戻らなくなったお金の一部 |
| 増嵩工事費用の保証 | 他社へ引き継いだことで増えた工事費の一部 |
住宅保証機構の住宅完成保証制度では、前払い金の損失や増嵩工事費用の一定割合を保証し、希望により引き継ぎ事業者をあっせんするとしています。住宅保証機構「住宅完成保証制度」
住宅あんしん保証も、登録事業者が倒産して工事継続ができなくなった場合に、前払い金や増嵩工事費用などを保証する制度を提供しています。住宅あんしん保証「住宅完成保証制度」
1. 別の住宅会社による工事完成を支援する
倒産した住宅会社に代わり、別の住宅会社が工事を引き継ぎます。
ただし、保証機関がすぐに工事会社を派遣し、翌日から工事を再開してくれるわけではありません。
一般的には、
- 住宅会社の倒産・工事継続不能を確認する
- 現場の工事進捗を調査する
- 支払済み金額を確認する
- 図面・仕様・検査状況を確認する
- 引き継ぎ事業者を探す
- 残工事の見積もりを作成する
- 保証金額と施主負担額を決定する
- 新たな契約を結んで工事を再開する
という手続きが必要になります。
JIO完成サポートも、登録事業者の倒産などで工事継続が困難になった場合に、引き継ぎ事業者による住宅完成を支援する仕組みです。JIO「完成サポート」
2. 工事進捗より先に払ったお金を一定範囲で守る
住宅会社が倒産したとき、支払済み金額より実際の工事進捗が少なければ、その差額が前払い金の損失になります。
例えば、
- 建築請負金額:2,500万円
- 支払済み金額:1,500万円
- 実際に完成している工事:1,100万円相当
なら、
1,500万円-1,100万円=400万円
この400万円が、工事の進捗より先に支払った金額です。
完成保証では、この前払い金の損失が保証対象になる場合があります。
ただし、400万円全額が必ず戻るわけではありません。
- 保証限度額
- 保証割合
- 免責金額
- 支払い条件
- 工事進捗の査定
- 保証対象外となる費用
によって、実際に受け取れる金額は変わります。
3. 他社への引き継ぎで増えた費用を守る
途中で止まった工事を別の住宅会社が引き継ぐと、当初の契約金額より高くなることがあります。
これを「増嵩工事費用」といいます。
引き継ぎ工事が高くなる理由には、次のようなものがあります。
- 現場調査や図面確認が必要
- 施工責任の範囲を再確認する必要がある
- 既存工事の補修や手直しが必要
- 仕入価格や施工単価が変わる
- 前の会社と同じ仕入条件を使えない
- 新たな現場管理費や仮設費がかかる
- 工事を保証するためのリスク費用が必要
例えば、倒産時点で残っている工事の価値が1,400万円でも、引き継ぐ会社の見積もりが1,550万円なら、
1,550万円-1,400万円=150万円
この150万円が増嵩工事費用です。
完成保証では、この増えた費用の一部が保証対象になる場合があります。
実際の損失はどう計算される?
次のケースで考えてみます。
- 当初の請負金額:2,500万円
- 支払済み金額:1,500万円
- 倒産時の出来高:1,100万円
- 残工事の本来の価値:1,400万円
- 引き継ぎ会社の見積もり:1,550万円
前払い金の損失は、
1,500万円-1,100万円=400万円
増嵩工事費用は、
1,550万円-1,400万円=150万円
合計すると、
400万円+150万円=550万円
当初の請負金額を超えて必要になる負担は、単純計算で550万円です。
仮に保証される金額が400万円なら、残り150万円に加え、仮住まい延長費用、つなぎ融資の利息、荷物保管料などが施主負担になる可能性があります。
これは仕組みを理解するための計算例です。実際の保証額は、保証約款と保証機関の査定で決まります。
完成保証が守ってくれない可能性があるもの
完成保証があっても、次の費用まで全額保証されるとは限りません。
- 保証限度額を超えた損失
- 工事進捗を大幅に超えて支払った代金
- 施主が希望した設計変更や設備のグレードアップ
- 仮住まい期間の延長費用
- 引っ越しの延期・再手配費用
- つなぎ融資や土地ローンの利息
- 工事中断による精神的損害
- 保証開始前に発生した問題
- 保証対象外となる契約や工事
- 施主が保証条件に反したことで発生した損害
国土交通大臣指定の相談窓口である住まいるダイヤルも、完成保証の内容は保証会社や約款によって異なり、前払いにならないよう工事進捗に応じて代金を支払うことが必要だと説明しています。住まいるダイヤル「住宅会社が破産。完成保証制度を利用していた」
完成保証があるから、いくら先払いしても安全ということではありません。
「瑕疵保険」と「完成保証」は別の制度
住宅会社から、
「保険に入っているので、倒産しても大丈夫です」
と言われたら、その保険の名称を確認してください。
住宅完成保証と住宅瑕疵担保責任保険は、守る時期と目的が違います。
| 制度 | 主に守るもの |
|---|---|
| 住宅完成保証 | 建築途中の倒産による工事中断、前払い金、増嵩工事費用 |
| 住宅瑕疵担保責任保険 | 引き渡し後に発見された構造・防水部分などの欠陥 |
| 地盤保証 | 地盤の不同沈下などによる損害 |
| 設備保証 | 給湯器・キッチン・エアコンなど対象設備の故障 |
住宅瑕疵担保責任保険は、住宅会社が倒産した場合でも、引き渡し後に発見された対象部分の瑕疵について、住宅所有者が保険法人へ直接請求できる制度です。国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」
しかし、瑕疵保険だけでは、建築途中で止まった家を完成させるための費用は原則として守られません。
瑕疵保険に入っていることと、完成保証が付いていることは別です。
「登録事業者です」だけでは保証されない
住宅会社が完成保証機関の登録事業者でも、自分の家が自動的に保証されるとは限りません。
契約する建物ごとに申し込みや審査、保証料の支払い、保証書の発行が必要な制度があります。
契約前に、次の3段階を確認してください。
- 住宅会社が保証機関の登録事業者である
- 自分の建築工事について保証申請が行われる
- 自分の名前と建物が記載された保証書が発行される
口頭で、
「うちは完成保証へ入れます」
と言われただけでは不十分です。
保証書が発行されなければ、倒産時に保証を受けられない可能性があります。
契約前に確認する10項目
住宅完成保証については、次の内容を書面で確認してください。
- 保証機関の正式名称
- 住宅会社が登録事業者か
- 自分の建物が個別に保証登録されるか
- 保証開始日と終了日
- 倒産以外に対象となる事由
- 前払い金の保証限度額
- 増嵩工事費用の保証限度額
- 施主の自己負担額
- 引き継ぎ事業者を誰が探すのか
- 倒産時に施主が直接連絡する窓口
最も重要な質問は、これです。
「住宅会社が倒産した場合、私の家に対して最大いくら保証され、最大いくら自己負担になる可能性がありますか」
「完成まで保証します」という言葉だけではなく、金額で確認してください。
保証書を受け取るタイミングも重要
完成保証が付く場合は、少なくとも多額の契約金・着手金を支払う前に、
- 保証申込書
- 保証約款
- 保証限度額
- 保証料の負担者
- 保証書の発行時期
を確認してください。
保証書を受け取ったら、住宅会社の事務所ではなく自宅で保管し、データでも保存します。
保証機関の電話番号や契約番号も、すぐ確認できるようにしておきます。
デザインハウス甲府の考え方
完成保証は、住宅会社のためではなく、施主の家とお金を守るための制度です。
しかし、保証には限度があります。
だからこそ、デザインハウス甲府では、万一に備えて全棟に完成保証を付けると同時に、工事の進捗を確認しながら支払いを進めます。
契約前には、付帯工事、建築確認申請、消費税を含めた総額を提示し、後から大きな追加費用が発生しにくい計画をつくります。
確認すべきなのは、
完成保証へ加入できる会社かではなく、自分の家に保証書が発行され、いくらまで守られるのか。
完成保証は、倒産を防ぐ制度ではありません。
倒産によって止まった家を、できる限り少ない追加負担で完成させるための最後の安全装置です。










