「完成保証に加入しています」という説明だけで安心できる?
A. 安心できません。住宅会社が完成保証制度の登録事業者でも、自分の建物が個別に申し込まれ、保証証書が発行されていなければ、倒産時に保証を受けられない可能性があります。
住宅会社の営業担当者から、
「当社は完成保証に加入しています」
「万一倒産しても、保証会社が完成させます」
と説明されると、多くの人は自分の家にも保証が付いたと思います。
しかし、「完成保証に加入しています」という言葉には、複数の段階があります。
- 住宅会社が制度を知っている
- 住宅会社が保証機関へ事業者登録している
- 自分の建物について申し込む予定がある
- 自分の建物について申請を行った
- 保証機関が申請を受理した
- 自分の建物に保証証書が発行された
この中で確認すべきなのは、最後の状態です。
住宅会社の登録証ではなく、施主名と建物が特定された完成保証証書が必要です。
会社の登録と、建物の保証は別
住宅完成保証制度を利用するには、まず住宅会社が保証機関の登録事業者になる必要があります。
しかし、登録事業者になっただけで、その会社が建築する全棟へ自動的に完成保証が付くとは限りません。
住宅あんしん保証では、住宅会社の事業者登録とは別に、工事請負契約締結後、対象物件ごとに完成保証の申し込みが必要とされています。住宅あんしん保証「住宅完成保証制度」
つまり、
「当社は完成保証へ登録しています」
という説明と、
「深澤様の○○市の住宅に、保証番号○○の完成保証が付いています」
という状態は、まったく違います。
「加入しています」の4段階
| 住宅会社の説明・書類 | 安全性 |
|---|---|
| ホームページに保証機関のロゴがある | 保証の証明にはならない |
| 住宅会社の事業者登録証を見せられた | 自分の家の保証ではない |
| 個別申込書や受付書を見せられた | 保証開始前の可能性がある |
| 自分の建物の完成保証証書が発行された | 保証内容・開始日・限度額を確認 |
ホームページのロゴやパンフレットだけで契約してはいけません。
登録期間が切れている、個別申請をしていない、対象条件を満たしていないという可能性があります。
申請しただけでは保証開始にならない場合がある
保証制度によっては、申し込みを行った時点では保証が始まらず、保証証書が発行されてから保証が開始されます。
住宅あんしん保証のFAQでも、保証は「住宅完成保証証書」が施主へ届いてから開始され、申し込み時点では始まらないと説明されています。住宅あんしん保証「住宅完成保証制度FAQ」
そのため、
「現在申請中です」
「保証書は後日届きます」
「着工してから手続きします」
という説明のまま、着工金や中間金を支払うのは危険です。
保証証書が発行される前に住宅会社が倒産した場合、保証対象にならない可能性があります。
申し込み期限にも注意する
完成保証には、申し込み期限が定められている制度があります。
住宅あんしん保証では、対象住宅の工事請負契約締結後から着工前までに申し込む必要があります。
着工後になって、
「これから完成保証へ申し込みます」
と言われても、受け付けてもらえない可能性があります。
契約前に、
- いつ申し込むのか
- 誰が申し込むのか
- 保証証書はいつ届くのか
- 証書が届く前に着工しないか
- 証書が届く前にいくら支払うのか
を確認してください。
フランチャイズ本部の登録でも安心できない
フランチャイズ加盟店で家を建てる場合にも注意が必要です。
ホームページに全国ブランドの名前が掲載されていても、実際に工事請負契約を結ぶ相手は、地域の独立した加盟会社であることがあります。
完成保証機関へ登録しているのがフランチャイズ本部だけで、契約する加盟会社が登録されていなければ、自分の家に保証を付けられない可能性があります。
確認すべきなのはブランド名ではなく、
- 工事請負契約書に記載される法人名
- 完成保証へ登録している法人名
- 完成保証証書に記載される施工会社名
の3つです。
この法人名が一致しているか確認してください。
瑕疵保険を完成保証と説明していないか
営業担当者が制度の違いを理解しておらず、住宅瑕疵担保責任保険を「倒産時の完成保証」と説明している場合があります。
瑕疵保険は、原則として完成・引き渡し後に構造や防水部分などの瑕疵が見つかった場合の補修費用を守る制度です。
建築途中で住宅会社が倒産し、未完成の家を完成させるための制度ではありません。
次のように質問してください。
「その保証は、住宅瑕疵担保責任保険ですか。それとも建築途中の倒産を対象にした住宅完成保証ですか」
保険・保証機関の正式名称と商品名まで確認する必要があります。
保証証書で確認する8項目
完成保証証書を受け取ったら、次の内容を確認します。
- 施主の氏名
- 建築地の住所
- 工事請負契約を結んだ法人名
- 完成保証機関の正式名称
- 保証番号
- 保証開始日と終了条件
- 保証限度額
- 倒産時の連絡先
保証証書だけでなく、保証約款も受け取ってください。
約款では、次の内容を確認します。
- 何をもって倒産・工事継続不能と判断するか
- 前払い金の損失をどう計算するか
- 増嵩工事費用をどう計算するか
- 施主の自己負担額
- 保証されない費用
- 引き継ぎ会社を誰が選ぶか
- 保証金が支払われない条件
「全額保証」という意味ではない
完成保証証書が発行されても、損失の全額が保証されるとは限りません。
例えば、
- 建築請負金額:2,500万円
- 工事進捗より先に支払った金額:500万円
- 保証対象となる限度額:300万円
なら、
500万円-300万円=200万円
少なくとも200万円は保証されない可能性があります。
さらに、引き継ぎ工事で150万円増加し、仮住まい延長費用が30万円発生すれば、施主の負担はさらに増えます。
完成保証があるかだけでなく、
最大いくら保証され、最大いくら自己負担になる可能性があるのか
を数字で確認してください。
前払いしすぎると保証があっても危険
完成保証へ入っていても、工事の進捗を大幅に超えて代金を支払うべきではありません。
国土交通大臣指定の住宅相談窓口である住まいるダイヤルも、完成保証があっても、工事進捗に応じて代金を支払い、先払いにならないよう注意する必要があると説明しています。住まいるダイヤル「住宅会社が破産。完成保証制度を利用していた」
例えば、基礎工事しか終わっていないのに建築代金の60%を支払えば、倒産時の前払い損失が大きくなります。
保証は安全装置であり、過剰な先払いを安全にする制度ではありません。
契約書へ記載したい内容
可能であれば、工事請負契約書や特約へ次の内容を記載します。
本工事について、請負者は○○保証機関の住宅完成保証制度へ、工事着工前までに個別申請を行う。請負者は保証証書が発行された後、遅滞なく発注者へ交付する。
さらに、
完成保証証書が○月○日までに発行されない場合の着工、支払い、契約解除、支払済み金額の返還方法
まで決めておくと安全性が高まります。
契約解除に関する条項は重要なため、内容に疑問がある場合は弁護士などへ確認してください。
契約前に使える質問
住宅会社へ、次のように質問してください。
「御社が登録事業者かどうかではなく、私の建物に完成保証証書がいつ発行されるのかを教えてください。保証機関名、保証番号、保証開始日、保証限度額、前払い金と増嵩工事費用の計算方法も書面で提示してください」
この質問に対して、
- 保証機関名を答えない
- 保証限度額を知らない
- 証書の発行時期を答えない
- 「大丈夫です」だけで済ませる
- 瑕疵保険の書類を見せる
という会社は注意が必要です。
すでに契約したのに保証証書がない場合
契約後や着工後に、完成保証証書がないことに気づいた場合は、次の順番で確認します。
- 住宅会社へ個別申請の有無を書面で確認する
- 申込書・受付書・保証証書の提出を求める
- 保証機関の公式窓口へ直接確認する
- 現在の工事進捗と支払済み金額を比較する
- 次回支払い前に保証の有効性を確認する
- 金融機関へ次回融資実行を相談する
- 回答が曖昧なら住まいるダイヤルや弁護士へ相談する
住宅会社から渡された電話番号だけでなく、保証機関の公式ホームページに掲載された連絡先へ確認してください。
契約上の支払期日が来ている場合は、自己判断だけで支払いを止めず、保証機関、金融機関、専門家へ相談してください。
デザインハウス甲府の考え方
完成保証は、営業担当者の口約束で付くものではありません。
住宅会社が制度へ登録しているだけでも不十分です。
デザインハウス甲府では、建築途中の万一に備えて全棟に完成保証を付けます。重要なのは「加入できます」という説明ではなく、対象となる建物について手続きを行い、保証内容を書面で確認できる状態にすることです。
住宅会社を比較するときは、
「完成保証へ加入していますか」ではなく、「私の家の完成保証証書は、いつ発行されますか」と聞いてください。
会社の登録証は、施主を守る保証書ではありません。
施主名、建築地、施工会社、保証番号が記載された証書を自分の手で受け取って、初めて完成保証を確認したことになります。










