住宅完成保証と瑕疵保険は、何が違う?
A. 住宅完成保証は、引き渡し前に住宅会社が倒産して工事が止まったときの制度です。瑕疵保険は、完成・引き渡し後に構造や防水などの欠陥が見つかったときの制度です。守る時期も、事故も、費用もまったく違います。
住宅会社から、
「保険に入っていますから、万一倒産しても安心です」
と言われても、それだけでは安心できません。
住宅に関係する保証や保険には、
- 住宅完成保証
- 住宅瑕疵担保責任保険
- 地盤保証
- 住宅設備保証
- 建物の火災保険・地震保険
などがあり、それぞれ守る事故が違います。
特に混同されやすいのが、「住宅完成保証」と「住宅瑕疵担保責任保険」です。
違いを一言で説明すると
完成する前の倒産を守るのが住宅完成保証。
完成した後の重大な欠陥を守るのが瑕疵保険です。
| 比較項目 | 住宅完成保証 | 住宅瑕疵担保責任保険 |
|---|---|---|
| 主に守る時期 | 契約後から引き渡し前 | 原則として引き渡し後 |
| 主な事故 | 住宅会社の倒産・工事継続不能 | 構造・防水部分などの瑕疵 |
| 主な目的 | 家を完成させる | 欠陥を補修する |
| 主な対象費用 | 前払い金の損失・増嵩工事費用 | 対象となる瑕疵の補修費用 |
| 工事引き継ぎ | 支援・あっせんがある制度もある | 原則として対象外 |
| 加入 | 任意 | 保険または保証金供託による資力確保が原則必要 |
| 確認書類 | 完成保証書・保証約款 | 付保証明書・保険証券など |
| 保証期間 | 制度・約款による | 新築住宅では原則10年間の責任を対象 |
住宅完成保証が守るもの
住宅完成保証は、住宅会社が倒産などによって工事を続けられなくなった場合に、家の完成を支援する制度です。
主な内容は次の3つです。
- 工事を引き継ぐ住宅会社の紹介・あっせん
- 工事進捗より先に支払った前払い金の損失
- 他社への引き継ぎで増えた工事費用
住宅保証機構の住宅完成保証制度でも、住宅会社の倒産などで工事が中断した場合に、前払い金の損失や増嵩工事費用を一定範囲で保証し、希望により引き継ぎ事業者をあっせんするとしています。住宅保証機構「住宅完成保証制度」
例えば、基礎工事の途中で住宅会社が倒産した場合、必要なのは雨漏りの補修ではありません。
- 現場を調査する
- 工事の出来高を査定する
- 引き継ぐ住宅会社を探す
- 残工事の見積もりを作る
- 増加した工事費を負担する
- 建物を完成させる
という対応です。
ここで使われるのが住宅完成保証です。
瑕疵保険が守るもの
住宅瑕疵担保責任保険は、完成・引き渡し後の新築住宅に重大な瑕疵が見つかった場合に、補修費用などをカバーする制度です。
主な対象は、
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
です。
具体的には、
- 基礎
- 柱
- 梁
- 耐力壁
- 屋根
- 外壁
- 開口部周辺の防水
などに関係する瑕疵です。
国土交通省によると、新築住宅を引き渡す一定の建設業者・宅建業者には、瑕疵担保責任を果たすため、保険への加入または保証金の供託による資力確保措置が義務付けられています。国土交通省「住宅瑕疵担保履行法Q&A」
住宅会社が営業を続けていれば、補修を行った住宅会社へ保険金が支払われます。
住宅会社が倒産して補修できない場合は、住宅取得者が保険法人へ直接、対象となる補修費用を請求できる仕組みがあります。
瑕疵保険では、未完成の家を完成させられない
ここが最も重要です。
住宅会社が上棟後に倒産し、家が未完成のまま残されたとします。
その家について瑕疵保険の申し込みや現場検査が行われていても、瑕疵保険を使って残りの工事を完成させられるとは限りません。
瑕疵保険は、あくまでも完成・引き渡された住宅に、対象となる瑕疵が見つかった場合の補修を目的とする制度です。
国土交通大臣指定の住宅相談窓口である住まいるダイヤルも、瑕疵保険は瑕疵補修のための制度であり、住宅会社の破産後に工事を続行する費用には利用できないと説明しています。住まいるダイヤル「工事途中に施工業者が破産した」
「瑕疵保険へ入っているから、建築中に倒産しても完成する」は誤りです。
完成保証では、引き渡し後の欠陥を直せない
反対に、完成保証が付いていても、引き渡し後に発生した雨漏りや構造上の瑕疵まで、完成保証で補修できるとは限りません。
完成保証の役割は、工事途中の倒産による損失を抑え、家を完成させることです。
引き渡し後の瑕疵については、住宅瑕疵担保責任保険、住宅会社の保証、地盤保証、設備保証などで対応します。
完成保証があるから、瑕疵保険は不要ということでもありません。
具体的に、どちらが使われる?
| 起きたこと | 主に確認する制度 |
|---|---|
| 基礎工事中に住宅会社が倒産した | 住宅完成保証 |
| 上棟後に工事が止まった | 住宅完成保証 |
| 工事進捗以上に代金を支払っていた | 住宅完成保証 |
| 他社への引き継ぎで工事費が増えた | 住宅完成保証 |
| 引き渡し後に構造上の重大な瑕疵が見つかった | 瑕疵保険 |
| 引き渡し後に屋根から雨漏りした | 瑕疵保険の対象を確認 |
| 給湯器や食洗機が故障した | メーカー・設備保証 |
| 地盤沈下で家が傾いた | 瑕疵保険・地盤保証の対象を確認 |
| 地震で建物が損傷した | 地震保険などを確認 |
実際に保険・保証の対象になるかは、原因、対象部分、保証期間、免責事項によって異なります。
2,500万円の家で考えると
例えば、2,500万円の注文住宅を建築中に住宅会社が倒産したとします。
- 支払済み金額:1,500万円
- 実際の工事進捗:1,100万円相当
- 前払い金の損失:400万円
- 引き継ぎで増えた工事費:150万円
この場合に確認するのは住宅完成保証です。
400万円+150万円=550万円
この550万円のうち、約款で定められた金額が保証される可能性があります。
一方、完成後に構造部分の瑕疵が見つかり、補修費用が300万円かかる場合に確認するのは瑕疵保険です。
住宅会社が倒産して補修できない場合は、住宅所有者が保険法人へ直接請求できる可能性があります。
同じ「住宅会社の倒産」でも、
- 建築途中なら完成保証
- 引き渡し後の対象瑕疵なら瑕疵保険
と、利用する制度が変わります。
瑕疵保険は「全ての不具合」を保証しない
瑕疵保険へ入っていても、住宅の全ての不具合が10年間無料で直るわけではありません。
一般的な住宅設備の故障、内装の傷、経年劣化、使用上の不注意などは、瑕疵保険の対象外になる可能性があります。
例えば、
- クロスの隙間
- 床の傷
- 建具の調整
- エアコンの故障
- 給湯器の故障
- キッチン機器の故障
- 清掃やメンテナンス不足による不具合
などは、住宅会社の保証や設備メーカー保証などで対応することになります。
「瑕疵保険10年」と説明されたら、
「何でも10年間保証されるのですか」
ではなく、
「構造・防水以外の不具合は、どの保証で何年間守られますか」
と確認してください。
法律で必要なのは「瑕疵保険または供託」
新築住宅では、必ず全棟が瑕疵保険へ加入しているとは限りません。
一定の住宅事業者には資力確保が義務付けられていますが、その方法は、
- 住宅瑕疵担保責任保険へ加入する
- 保証金を供託する
のいずれかです。
したがって、住宅会社へ次のように確認する必要があります。
「私の家は瑕疵保険へ加入しますか。それとも保証金供託で対応しますか」
保険加入の場合は、自分の建物について付保されたことを証明する書類を受け取ります。
供託の場合は、供託による資力確保であることを書面で確認します。
完成保証は任意加入
瑕疵保険または供託による資力確保と違い、住宅完成保証は任意の制度です。
住宅会社が建設業許可を持っていても、瑕疵保険へ加入していても、完成保証が自動的に付くわけではありません。
さらに、
- 住宅会社が保証機関へ登録している
- 自分の工事が個別に申し込まれている
- 保証料が支払われている
- 保証書が発行されている
という確認が必要です。
「完成保証へ加入できる住宅会社」と、「自分の家に完成保証が付いている状態」は違います。
契約前に確認する8項目
住宅会社へ、次の内容を確認してください。
- 住宅完成保証は付くか
- 完成保証機関の正式名称
- 自分の建物に完成保証書が発行されるか
- 前払い金・増嵩工事費用の保証限度額
- 瑕疵保険か供託のどちらで対応するか
- 瑕疵保険法人の名称
- 構造・防水以外の保証内容
- それぞれの保証書をいつ受け取れるか
書面では、
- 住宅完成保証書
- 完成保証約款
- 瑕疵保険の付保証明書
- 住宅会社独自の保証書
- 地盤保証書
- 設備保証書
を分けて保管してください。
デザインハウス甲府の考え方
住宅の保証は、「10年保証」という一言だけでは判断できません。
何が起きたときに、誰が、いくらまで、何年間守るのかを分けて考える必要があります。
デザインハウス甲府では、必要な瑕疵保険の手続きを行うだけでなく、建築途中の万一に備えて全棟に完成保証を付けています。
つまり、
- 建築途中の倒産リスクは完成保証
- 引き渡し後の対象瑕疵は瑕疵保険
- 地盤の問題は地盤保証
- 設備の故障は設備保証
というように、リスクごとに備えます。
住宅会社を比較するときは、
「保証がありますか」ではなく、「完成前と完成後を、それぞれ何が守りますか」と聞いてください。
完成保証と瑕疵保険は、どちらか一方を選ぶ制度ではありません。
家が完成するまでを守る保証と、完成した後を守る保険。その両方があって、初めて家づくりの安全がつながります。










