Q. 住宅会社独自の保証は、誰が責任を負う?
A. 原則として責任を負うのは、住宅ブランドや営業担当者ではなく、工事請負契約書や保証書に「保証者」として記載された法人です。フランチャイズ本部、設備メーカー、保証会社などが、当然にすべての責任を負うわけではありません。
住宅会社の広告には、
「60年保証」
「永年サポート」
「グループ全体で安心」
など、心強い言葉が並んでいます。
しかし、不具合が起きたときに重要なのは、広告に書かれたブランド名ではありません。
どの法人が、契約上の保証責任を負っているのか。
ここを確認しなければ、本当の保証内容は分かりません。
ブランド名と契約する法人は同じとは限らない
住宅展示場の看板やホームページには、有名な住宅ブランド名が大きく表示されています。
ところが、工事請負契約書を見ると、ブランド名とは別の法人名が記載されていることがあります。
例えば、
- ブランド名:○○ホーム
- 契約法人:株式会社△△建設
- 施工会社:株式会社△△建設
- フランチャイズ本部:株式会社○○本部
という形です。
この場合、原則として住宅の建築と保証に責任を負うのは、工事請負契約や保証書に記載された株式会社△△建設です。
全国ブランドの看板が付いていても、契約相手が地域の独立法人であれば、本部が当然に保証責任を負うとは限りません。
フランチャイズ本部と加盟店は別会社
フランチャイズ住宅では、消費者から見ると本部と加盟店が同じ会社のように見えることがあります。
しかし、中小企業庁は、フランチャイズ契約について、本部事業者と加盟店はそれぞれ独立した事業者であり、それぞれの責任で契約するものと説明しています。
つまり、加盟店が建築した住宅に不具合が起きた場合、ブランド本部へ連絡すれば必ず無償修理してもらえるとは限りません。
本部が責任を負うためには、次のような明確な根拠が必要です。
- 本部が保証書の保証者になっている
- 本部と加盟店が連名で保証している
- 加盟店倒産時の保証制度が用意されている
- 本部が修理費用を負担する契約になっている
- 第三者保証や保険で引き継ぐ仕組みがある
本部がブランド、設計ノウハウ、部材、営業支援を提供しているだけなら、個別住宅の保証責任まで負うとは限りません。
保証の種類によって責任者が違う
新築住宅には複数の保証があり、それぞれ責任を負う主体が異なります。
| 保証・保険の種類 | 主な責任主体・窓口 |
|---|---|
| 法律上の新築住宅10年責任 | 住宅を建築した請負人または売主 |
| 住宅会社独自の長期保証 | 保証書に記載された住宅会社 |
| 住宅瑕疵担保責任保険 | 原則は住宅会社が補修し、保険法人が資金面を支える |
| 完成保証 | 保証書に記載された保証機関 |
| 地盤保証 | 地盤会社・保証会社など |
| 住宅設備メーカー保証 | キッチン、給湯器などの設備メーカー |
| 住宅設備延長保証 | 保証サービスの運営会社・保険会社など |
| 防蟻保証 | 防蟻施工会社・薬剤メーカーなど |
| 太陽光発電保証 | 機器メーカー・施工会社など |
「この家は保証が充実しています」と説明されても、すべてを住宅会社一社が保証しているとは限りません。
不具合の内容によって、連絡先も判断基準も変わります。
法律上の10年責任は誰が負うのか
新築住宅では、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間、請負人または売主が責任を負います。
注文住宅であれば、基本的には工事請負契約を結んだ住宅会社です。
建売住宅であれば、売買契約を結んだ売主です。
瑕疵保険へ加入していても、通常、最初から保険法人が住宅所有者に代わって修理するわけではありません。
まず住宅会社が補修責任を負い、その費用を瑕疵保険が一定の条件で支えます。
住宅会社が倒産して補修できない場合などには、保険付き住宅の所有者が保険法人へ直接請求できる場合があります。
10年を超える独自保証は会社との契約
住宅会社が設定する20年、30年、60年などの保証は、法律で全国一律に決められた内容ではありません。
住宅会社が独自に設定した契約上の保証です。
そのため、次の内容は会社ごとに異なります。
- 保証対象となる部分
- 初期保証期間
- 保証延長の条件
- 必要な定期点検
- 有償メンテナンスの内容
- 修理費用の負担
- 免責事項
- 所有者変更時の扱い
- リフォームした場合の扱い
- 住宅会社が倒産した場合の扱い
保証書に住宅会社一社だけが保証者として記載されている場合、その会社がなくなれば、独自保証を履行できなくなる可能性があります。
保証期間が60年あっても、保証主体が60年間存続する保証ではありません。
営業担当者は個人で保証しているわけではない
営業担当者から、
「何かあれば、私が責任を持ちます」
「会社が変わっても、ずっと対応します」
と言われることがあります。
しかし、営業担当者が個人として住宅の補修費用を負担するわけではありません。
担当者は退職、転勤、異動する可能性があります。
担当者が退職した後に残るのは、契約書、保証書、仕様書、議事録などの書面です。
保証の説明を受けたときは、
「その内容は保証書のどこに書いてありますか」
と確認してください。
口頭説明と保証書が違う場合、後からトラブルになる可能性があります。
「保証会社が付いている」の意味も確認する
住宅会社から、
「第三者の保証会社が付いています」
と説明されても、それだけでは十分ではありません。
第三者機関が行っているのが、
- 現場検査だけなのか
- 瑕疵保険なのか
- 延長保証保険なのか
- 設備延長保証なのか
- 完成保証なのか
- 地盤保証なのか
によって、守られる範囲がまったく違います。
第三者機関が検査をしただけで、その機関が60年間の修理責任を負うとは限りません。
保証会社の名前だけでなく、保証書に書かれた保証対象、期間、限度額、免責事項を確認してください。
住宅会社が社名変更・合併・事業譲渡したらどうなるのか
住宅会社が社名を変更しただけで、法人格が同じであれば、通常は同じ法人が責任を引き継ぎます。
しかし、次のようなケースは注意が必要です。
- 住宅事業を別会社へ譲渡した
- ブランドだけが別会社へ移った
- 加盟店がフランチャイズを脱退した
- 新会社へ営業を移した
- 旧会社が清算された
- 会社分割や合併が行われた
新しい会社が同じブランド名を使用していても、以前に建てた住宅の保証を引き継いでいるとは限りません。
ブランドが残っていることと、契約上の責任が引き継がれていることは別問題です。
「会社名が変わっただけです」と説明された場合は、保証責任を引き継ぐ旨を書面で確認してください。
60年保証を広告だけで判断してはいけない
例えば、創業5年の会社が60年保証を掲げること自体が直ちに問題というわけではありません。
しかし、残り55年間の責任を誰が支えるのかは確認する必要があります。
- 自社の資金力だけで保証するのか
- 第三者保険が付いているのか
- 保証基金や共済制度があるのか
- 会社倒産時も保証が継続するのか
- 別会社が保証を引き継ぐ契約なのか
「60年」という年数より、その約束を実行する仕組みを見るべきです。
契約前に保証書を見せてもらう
独自保証の責任者を確認する最も確実な方法は、契約前に保証書の見本を確認することです。
次の項目を確認してください。
- 保証者の正式な法人名
- 法人の所在地と連絡先
- 保証対象となる住宅
- 保証対象となる部分
- 保証開始日と終了日
- 無償修理となる条件
- 保証延長に必要な工事
- 保証限度額と免責金額
- 倒産・合併・事業譲渡時の扱い
- 所有者変更時の保証継承
- フランチャイズ本部の責任範囲
- 第三者保証機関の責任範囲
保証書に「当社」と書かれている場合は、その「当社」がどの法人を指すのかまで確認してください。
契約する法人の実体も確認する
正式な法人名が分かったら、次の情報も確認します。
- 法人番号
- 本店所在地
- 設立年
- 代表者
- 建設業許可番号
- 宅地建物取引業免許
- 決算公告や信用情報
- 過去の施工実績
- 保証・点検を行う担当部署
- 廃業や倒産時の第三者保証
展示場が立派でも、契約法人の資本金、設立年、従業員数、財務状態がブランド本部と同じとは限りません。
契約書の会社名を検索せず、ブランド名だけで住宅会社を判断するのは危険です。
保証の責任者を一枚にまとめてもらう
住宅には保証が多すぎるため、不具合が起きたときに消費者が連絡先を判断するのは困難です。
契約前に、住宅会社へ次のような保証一覧表を作ってもらうことをお勧めします。
| 不具合 | 最初の連絡先 | 保証責任者 | 保証期間 |
|---|---|---|---|
| 基礎・構造 | 住宅会社 | 契約法人 | 保証書記載期間 |
| 雨漏り | 住宅会社 | 契約法人 | 保証書記載期間 |
| 地盤沈下 | 住宅会社 | 地盤保証の保証者 | 地盤保証書記載期間 |
| 給湯器故障 | 住宅会社またはメーカー | 設備保証の保証者 | 設備保証期間 |
| シロアリ | 住宅会社または防蟻会社 | 防蟻保証の保証者 | 防蟻保証期間 |
| 太陽光発電 | 住宅会社またはメーカー | 機器・施工保証者 | 各保証期間 |
保証窓口を住宅会社が一本化するのか、所有者が各保証会社へ直接連絡するのかも確認してください。
契約前に聞くべき質問
住宅会社へ、次の質問をしてください。
- この60年保証の保証者は、正式にはどの法人ですか
- 工事請負契約を結ぶ会社と保証会社は同じですか
- フランチャイズ本部も保証責任を負いますか
- 本部が責任を負うことは、どの書面に記載されていますか
- 10年目以降は自社保証ですか、第三者保険ですか
- 住宅会社が倒産した場合も保証は継続しますか
- 加盟店が脱退した場合、誰が点検と補修を行いますか
- 保証窓口と実際に費用を負担する会社はどこですか
- 契約前に保証書の全文を確認できますか
答えが曖昧な場合は、保証年数だけを信用してはいけません。
保証は「年数」ではなく「誰の約束か」で見る
60年保証と大きく表示されていても、その約束を実行する法人が分からなければ、保証の価値を判断できません。
有名ブランドでも、契約相手が地域の加盟店なら、その加盟店が責任主体となる場合があります。
第三者機関の名前が書かれていても、検査だけを担当し、長期保証の責任までは負わない場合があります。
本当に確認すべきなのは、
- 誰と契約するのか
- 誰が保証書を発行するのか
- 誰が修理費用を負担するのか
- その会社がなくなったら誰が引き継ぐのか
という4点です。
保証年数は数字です。保証を履行するのは法人です。
大きく書かれたブランド名より、契約書と保証書に書かれた小さな法人名を確認してください。
参考:
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










