Q. 他社で修繕すると、長期保証は切れる?
A. 必ず家全体の保証が切れるとは限りません。ただし、他社が工事した部分や、その工事が原因で発生した不具合は保証対象外となり、長期保証を延長できなくなる可能性があります。
住宅会社から修繕見積りを提示され、他社へ相見積りを取ったところ、大きな価格差が出ることがあります。
そこで、
「他社のほうが安いので、そちらへ依頼したい」
と伝えると、
「他社で工事をすると保証が切れます」
と言われることがあります。
しかし、ここで確認すべきなのは、何の保証が、どの部分について、いつから切れるのかです。
他社で工事しただけで、すべての保証が切れるとは限らない
例えば、保証対象となっている屋根や構造部分とは関係のない場所で、他社が壁紙を張り替えたとします。
その工事を理由に、基礎や屋根を含めた建物全体の保証まで、すべて終了すると考えるのは不自然です。
一方、他社が屋根や外壁、防水部分を工事し、その施工が原因で雨漏りした場合、建築した住宅会社が責任を負えないという主張には合理性があります。
つまり、次の3つを分けて考える必要があります。
- 他社が工事した部分の保証
- 他社工事が影響を与えた部分の保証
- 他社工事と関係のない部分の保証
「他社へ依頼したら、保証がすべて切れる」という一言だけで判断してはいけません。
保証対象外になりやすい工事
特に注意が必要なのは、建物の構造や防水性能に影響する工事です。
例えば、
- 屋根の葺き替えや塗装
- 外壁塗装や張り替え
- シーリングの打ち替え
- バルコニー防水
- 太陽光発電設備の後付け
- 窓や玄関ドアの交換
- 柱や壁を撤去する間取り変更
- 増築工事
- 配管を変更する水回り工事
などです。
これらの工事では、既存の防水層や構造部分へ手を加える可能性があります。
住宅会社の設計基準や施工方法と異なる工事が行われれば、その工事部分や影響範囲が保証対象外となる場合があります。
通常の保証と保証延長は別に考える
他社で修繕した場合、現在残っている保証が直ちに全部終了するとは限りません。
しかし、次回の保証延長時に、
「当社指定の工事を実施していないため、保証を延長できません」
と判断される可能性があります。
ここで違いを整理すると、
- 現在の保証が途中で終了する
- 他社施工部分だけ保証対象外になる
- 初期保証終了後の延長を受けられない
の3つは、まったく違う話です。
住宅会社から「保証が切れる」と言われたら、どれに該当するのか、書面で確認してください。
住宅設備は事前連絡が必要な場合もある
給湯器、キッチン、トイレ、エアコンなどの住宅設備では、故障時に直接メーカーや他社へ修理を依頼すると、住宅会社の設備保証から外れる場合があります。
住宅会社独自の設備保証を利用する場合は、
- 最初に住宅会社へ連絡する
- 指定された受付窓口を利用する
- 勝手に分解や修理をしない
- 修理前の状態を写真で残す
ことが重要です。
緊急時であっても、可能な限り電話やメールで住宅会社へ連絡し、記録を残してください。
他社修繕を認めない合理的な理由
住宅会社側には、他社がどの材料を使い、どのような施工をしたのか分からない状態で、その後の責任を負うことは難しいという事情があります。
特に、防水や構造に関わる工事では、目に見えない部分の施工方法が不具合の原因になることがあります。
そのため、
- 使用する材料
- 施工方法
- 工事範囲
- 施工会社の保証
- 工事写真
- 完了検査の記録
などを確認できなければ、保証を続けられないという判断にも理由があります。
しかし、囲い込みにもなり得る
一方で、保証延長工事を自社または指定業者に限定すれば、所有者は自由に施工会社を選びにくくなります。
他社の見積りが200万円で、住宅会社の指定工事が300万円だったとしても、保証を守るために300万円を選ばざるを得ない場合があります。
この仕組みは、品質管理のために必要である一方、価格競争を起こりにくくし、将来のリフォーム工事を囲い込む機能も持っています。
だからこそ、契約前に条件を確認しておく必要があります。
他社へ依頼する前に確認すること
他社で修繕する前に、住宅会社へ次の質問をしてください。
- 他社で工事すると、どの保証が切れますか
- 保証対象外になる具体的な部分はどこですか
- 他社工事と無関係な部分の保証は継続しますか
- 現在の保証が終了するのですか
- 将来の保証延長ができなくなるのですか
- 同等の材料と施工方法なら認められますか
- 工事前に施工計画を提出すれば保証を継続できますか
- 保証条件が書かれた契約書の条項はどこですか
口頭ではなく、メールや書面で回答をもらうことが重要です。
他社へ依頼する場合に残す記録
他社工事を選ぶ場合は、次の資料を保管してください。
- 工事前後の写真
- 見積書
- 契約書
- 使用材料の商品名
- 施工方法が分かる資料
- 工事中の写真
- 完了報告書
- 施工会社の保証書
- 住宅会社との連絡記録
将来、不具合の原因や責任範囲を確認するときに必要になります。
「全部切れる」と言われたら根拠を確認する
住宅会社から「他社で修繕すると保証が全部切れます」と言われた場合は、その場で判断せず、次の3点を求めてください。
- 保証書の該当条項
- 保証対象外となる具体的な部分
- 他社工事と不具合との因果関係
保証は、営業担当者の言葉ではなく、契約書と保証書の条件で決まります。
他社修繕を選ぶことには、保証上のリスクがあります。
しかし、他社へ依頼したという理由だけで、関係のない部分まで当然にすべて保証対象外になると決めつけてはいけません。
「保証が切れるか」ではなく、「どの保証が、どの工事によって、どこまで外れるのか」を確認してください。
保証を守るために高い指定工事を選ぶのか。
保証を延長せず、価格と工事内容を比較して他社を選ぶのか。
その選択ができるよう、契約前に保証条件を公開する住宅会社を選ぶことが重要です。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁
※積水ハウスは、他社による増改築などで自社の設計基準に合致しない状態となった場合、保証の適用除外になることを公表しています。積水ハウス「長期保証制度」
※大和ハウスは、事前通知なしに設備メーカーなどへ直接修理を依頼した場合、住宅設備保証の対象外になる場合があると公表しています。大和ハウス「長期保証・アフターサポート」










