リバースモーゲージで死亡後に家が売却される場合、同居家族はどうなりますか?
質問
72歳です。リバースモーゲージを利用して平屋へ建て替えようと考えています。私が亡くなった後も妻や子どもが住んでいる場合、自宅はすぐに売却されるのでしょうか。同居家族は退去しなければなりませんか?
回答
結論から言えば、契約者が亡くなった瞬間に家が自動的に売却されるわけではありません。しかし、残債を返済できなければ、最終的には家を売却し、同居家族も退去することになります。
相続人には、一般的に次の選択肢があります。
- 自己資金で残債を一括返済する
- 相続人が新しい住宅ローンを組んで返済する
- 担保となっている土地・建物を売却する
- 契約条件を満たせば配偶者が債務を引き継ぐ
ただし、具体的な期限や手続き、配偶者が住み続けられる条件は金融機関によって異なります。
契約者が亡くなった後の一般的な流れ
一般的には、次の順番で手続きが進みます。
- 契約者が亡くなる
- 相続人が金融機関へ連絡する
- 金融機関から残債と返済期限の説明を受ける
- 相続人が一括返済・借り換え・売却を選ぶ
- 売却する場合は家財を整理して退去する
- 売却代金から残債と諸費用を返済する
- 余剰金があれば相続人へ残る
金融機関が翌日に家を処分するわけではありませんが、何年でも無条件に住み続けられるわけでもありません。
相続人が対応しなければ、最終的に担保権が実行される可能性があります。金融機関が定める返済期限と売却猶予期間を、契約前に書面で確認してください。
配偶者が自動的に住み続けられるとは限らない
同居する妻がいるからといって、住宅ローン契約が自動的に配偶者へ引き継がれるわけではありません。
金融機関や商品によっては、配偶者を連帯債務者にする、または契約者死亡後に一定の条件で債務加入することで、住み続けられる場合があります。
一方、配偶者が契約に入っていなければ、契約者死亡後に元金の一括返済を求められる可能性があります。
契約前に、金融機関へ次の質問をしてください。
- 私が先に亡くなった場合、妻はそのまま住めますか
- 妻が債務を引き継ぐ条件は何ですか
- 妻の年齢や収入、健康状態による審査はありますか
- 妻も亡くなった後は、誰が返済手続きをしますか
- 一括返済までの期限は何か月ですか
「夫婦で住めるローンです」という説明だけでは不十分です。主債務者と連帯債務者、死亡後の取扱いを契約書で確認します。
同居する子どもにも自動的な居住権はない
子どもが同居していても、家が担保になっている以上、残債を返済できなければ売却対象になります。
子どもが住み続けるには、原則として次のいずれかが必要です。
- 自己資金で残債を一括返済する
- 子ども名義の住宅ローンへ借り換える
- 他の資産を売却して返済する
借り換えには、子どもの年齢、収入、勤務状況、既存借入などの審査があります。
「その時になったら子どもがローンを組めばよい」という計画は危険です。子ども自身が別の住宅ローンを返済していたり、定年を迎えていたりすれば、借り換えできない可能性があります。
ノンリコース型とリコース型の違い
死亡後に家を売却しても、売却額が残債を下回ることがあります。その不足分を相続人が負担するかどうかは、契約の種類によって異なります。
| 契約方式 | 売却額が残債を下回った場合 |
|---|---|
| ノンリコース型 | 原則として相続人へ不足分を請求しない |
| リコース型 | 相続人へ不足分を請求する可能性がある |
住宅金融支援機構の「リ・バース60」でも、この違いが示されています。ただし、どちらを取り扱うかは金融機関によって異なります。住宅金融支援機構「リ・バース60の仕組み」
ノンリコース型でも、家を手放さずに済むわけではありません。売却額が不足しても相続人へ残債を請求しない仕組みであり、担保住宅は返済のために売却されます。
売却額が残債を上回れば差額は残る
例えば、死亡時の残債が1,000万円で、土地・建物が1,300万円で売却できた場合、売却に必要な仲介手数料、登記費用、家財処分費などを差し引き、残った金額が相続財産になります。
反対に、売却価格が800万円なら、200万円と諸費用が不足します。
ノンリコース型であれば不足残債の返済を求められないのが原則ですが、売却準備に必要な家財処分や引っ越しなど、すべての費用が不要になるとは限りません。
山梨県では「死亡後に売れば返せる」と決めつけない
山梨県では、住宅の立地によって再販性に大きな差があります。
次のような土地は、担保評価が低くなったり、売却まで時間がかかったりする可能性があります。
- 市街地から離れている
- 接道条件が悪い
- 市街化調整区域にある
- 土砂災害・浸水リスクがある
- 古い擁壁や高低差がある
- 建物が大き過ぎる
- 周辺で中古住宅の需要が少ない
- 解体費が高くなりやすい
そのため、山梨県では、土地や建物の再販性を理由にリバースモーゲージを断られたり、希望額より融資額が低くなったりするケースがあります。
建築費が2,000万円だから2,000万円借りられるわけではありません。融資額は、将来の売却可能性を踏まえた担保評価によって決まります。
売却できない間も費用は発生する
相続後、買い手がすぐに見つかるとは限りません。売却まで時間がかかれば、次の負担が続きます。
- 固定資産税
- 火災保険
- 庭や建物の管理費
- 電気・水道の基本料金
- 家財処分費
- 建物の補修費
- 相続登記や売却手続きの費用
空き家のまま放置すれば、雑草、害虫、凍結、漏水、防犯などの問題も発生します。
「死亡後は金融機関が全部処理してくれる」と考えず、誰が家財を整理し、誰が売却手続きを行うのかまで家族で決めておく必要があります。
金利上昇にも注意する
リバースモーゲージ型住宅ローンは、毎月の支払いを利息だけにできる商品が一般的ですが、元金は減りません。
また、変動金利型の場合は、金利が上がれば毎月の利息負担も増えます。
例えば、借入額1,500万円なら、単純計算で金利が年1%上がると、年間利息は約15万円、月額では約1万2,500円増えます。
年金生活に入ってから金利が上昇しても支払えるか、キャッシュフロー表で確認してください。
契約前に確認したい8項目
- ノンリコース型かリコース型か
- 契約者死亡後の一括返済期限
- 配偶者が住み続けるための条件
- 子どもが家を取得する場合の返済方法
- 売却価格が残債を下回った場合の扱い
- 売却に必要な費用を誰が負担するか
- 相続人が売却へ協力しない場合の扱い
- 金利上昇時の毎月返済額
説明は本人だけで聞かず、配偶者と相続予定の子どもも同席してください。
家を残したい家庭には向かない
リバースモーゲージは、毎月の返済を抑えながら自宅を建て替えたい人にとって有効な場合があります。
一方、次のような家庭には向いていません。
- 配偶者を確実に住み続けさせたい
- 子どもへ土地と建物を残したい
- 相続人が家を売ることに反対している
- 地域的に再販が難しい
- 変動金利の上昇へ耐えられない
- 家を売却しても残債を返せる見込みが低い
その場合は、建築規模を小さくする、自己資金と通常ローンを組み合わせる、リフォームへ変更するなど、別の方法も比較すべきです。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、毎月の返済額が低いという理由だけでリバースモーゲージを勧めません。
本人死亡後の残債、配偶者の居住、相続人の返済能力、売却費用、土地の再販性まで確認します。特に山梨県では、将来の売却を前提にした資金計画が成立しない土地もあるため、金融機関の担保評価を確認する前に建築契約を進めるべきではありません。
リバースモーゲージは「家を残すローン」ではなく、「最後に家を返済へ充てるローン」です。その事実を家族全員が受け入れられる場合にだけ選ぶべきです。










