税務署から届く「お買い上げ(資産の取得価額)のお尋ね」への正しい回答方法
Q
70歳です。平屋へ建て替えたところ、数か月後に税務署から「資産の取得価額や購入資金についてのお尋ね」が届きました。これは税務調査なのでしょうか。どのように回答すればよいですか?
A. 税務調査の開始通知とは限りませんが、無視したり、預金残高に合わせて適当に回答したりしてはいけません。建築費と資金の出どころ、建物の持分が一致しているかを確認し、契約書や通帳に基づいて正確に回答します。
税務署は何を確認しているのか?
住宅を新築すると、登記情報などから建物を取得した事実が税務署に伝わります。その後、次のような内容を確認するために「お尋ね」が届くことがあります。
- 土地・建物の取得価額
- 自己資金の金額
- 住宅ローンの借入額
- 親や子、配偶者から受け取った資金
- 売却した不動産や有価証券
- 建物の名義と持分割合
最大の確認点は、**「建築費を誰が、どの資金で支払ったのか」**です。
まず集める書類
回答前に、次の資料をそろえます。
- 建築工事請負契約書
- 追加変更工事の契約書・請求書
- 解体・外構工事などの請求書
- 住宅ローンの契約書
- 建築代金を振り込んだ通帳
- 定期預金などの解約記録
- 土地や株式を売却した場合の資料
- 贈与税の申告書
- 親子間で借りた場合の金銭消費貸借契約書
- 建物の登記事項証明書
取得価額は、固定資産税評価額ではなく、原則として実際に支払った金額を資料に基づいて記入します。ただし、解体費、外構費、家具・家電などをどこまで含めるかは、届いた書類の記入要領に従ってください。
最も危険なのは「名義と出資額の不一致」
例えば、総額2,500万円の建物を建てたとします。
- 夫の自己資金:1,500万円
- 妻の自己資金:500万円
- 子からの援助:500万円
この場合、単純に夫婦2分の1ずつで登記すると、実際の負担額と持分が一致しません。夫から妻へ、または子から親へ財産を移したと判断され、贈与税の問題が生じる可能性があります。
「夫婦だから半分ずつ」「親子だから援助しても問題ない」という考え方は危険です。
建物の持分は、原則として実際の出資割合に合わせます。登記後に間違いへ気付いた場合は、自分で説明を作らず、税理士や司法書士へ早めに相談してください。
家族から借りた場合も証拠が必要
親子間の資金移動を「貸しただけ」と説明しても、次のような実態がなければ贈与と判断される可能性があります。
- 金銭消費貸借契約書がある
- 返済期間と金利が決まっている
- 毎月、口座振込で返済している
- 借りた人に返済能力がある
契約書だけ作って返済していない状態では、家族間融資として説得力がありません。
住宅取得資金の非課税制度にも申告が必要
父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで非課税となる制度があります。国税庁「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
ただし、非課税枠内だから何もしなくてよいわけではありません。特例を受けるには、原則として期限内の贈与税申告と必要書類の提出が必要です。
また、住宅取得資金の贈与特例を利用した金額は、住宅ローン控除を計算する際の住宅取得価額から差し引かれる場合があります。国税庁「住宅ローン控除に関するQ&A」
分からない項目は推測で書かない
書類が見つからない、現金で支払った、家族のお金が混在しているという場合は、推測で数字を埋めないことが重要です。提出期限前に税務署へ確認するか、金額が大きい場合は税理士へ相談しましょう。
一度提出した回答と、登記・贈与税申告・住宅ローン控除の内容が食い違うと、後から説明が難しくなります。
デザインハウス甲府からのアドバイス
税務署からのお尋ねで困らないためには、家を建てた後ではなく、契約前に「誰がいくら出し、誰の名義にするか」を決めることが重要です。
特にシニアの建て替えでは、退職金、夫婦の預金、子どもからの援助が混在しやすくなります。建築総額だけでなく、資金の流れ、登記持分、贈与税申告まで一枚の表にして確認しておけば、完成後の思わぬ課税を防げます。










