シニアの住宅ローンで団体信用生命保険への加入は必須?
結論|すべてのローンで必須ではありませんが、団信なしで借りるなら死亡後の返済方法が必要です
民間金融機関の住宅ローンでは、団体信用生命保険への加入を融資条件としているケースが一般的です。
一方、フラット35は団信へ加入しなくても利用できる可能性があります。リ・バース60も、団信の取扱いは金融機関や商品によって異なります。
持病があるから、すぐに住宅ローンを諦める必要はありません。
ただし、団信へ入れないまま借りる場合は、契約者が亡くなった後、配偶者が返済するのか、預貯金で完済するのか、家を売却するのかを契約前に決める必要があります。
団体信用生命保険とは?
団体信用生命保険は、住宅ローン契約者が死亡または所定の状態になった場合、保険金で住宅ローン残高を返済する保険です。
一般的な死亡保障型では、次のような場合が保障対象となります。
- 契約者が死亡した
- 保険約款で定める所定の障害状態になった
保険金は家族へ現金で支払われるのではなく、住宅ローンの返済へ充てられます。
例えば、残債700万円の時点で団信の対象となる死亡が発生すれば、保険金によってその700万円が完済される仕組みです。
高血圧や持病があっても加入できる?
高血圧で薬を飲んでいるから、必ず加入できないわけではありません。
審査では、病名だけでなく次の内容などが確認されます。
- 現在の治療内容
- 服用している薬
- 血圧の状態
- 入院・手術歴
- 合併症の有無
- 通院期間
- 最近受けた検査
加入できるかを決めるのは、原則として住宅会社や銀行担当者ではなく、団信を引き受ける生命保険会社です。
「この程度なら書かなくてもよい」と自己判断せず、告知書の質問へ正確に回答してください。
告知漏れは最も危険
持病を申告すると審査に落ちるのではないかと考え、薬や通院歴を書かないのは危険です。
告知義務違反と判断されると、契約者が亡くなっても保険金が支払われず、配偶者へ住宅ローンが残る可能性があります。
分からない項目がある場合は、次の資料を準備します。
- お薬手帳
- 健康診断結果
- 診療明細
- 入院・手術の時期
- かかりつけ医と病院名
銀行担当者の口頭判断だけで省略せず、必要に応じて保険会社へ確認します。
一般団信へ入れない場合のワイド団信
一般団信の審査が難しい場合、引受基準を緩和した「ワイド団信」を利用できる金融機関があります。
高血圧、糖尿病などで治療中の人が加入できる可能性がありますが、誰でも加入できるわけではありません。
また、一般団信より金利が上乗せされることがあります。
例えば借入額1,000万円、返済期間15年で金利が年0.3%上がると、毎月返済額と総支払利息が増えます。保障内容だけでなく、上乗せ金利を含む総返済額で比較します。
年齢上限と保障終了年齢に注意
シニア世代では、「加入できる年齢」と「保障が終わる年齢」の両方を確認する必要があります。
フラット35の新機構団信は、原則として加入申込時に満70歳未満であることが条件で、保障は満80歳の誕生日が属する月の末日までです。フラット35「新機構団信の加入要件・保障内容」
例えば67歳で15年ローンを組むと、完済年齢は82歳です。
しかし、団信保障が80歳で終了する商品なら、80~82歳の残債は保障されません。
「団信に加入したから完済まで安心」と思い込まず、次の3点を確認します。
- 何歳まで加入できるか
- 何歳で保障が終了するか
- 保障終了時にローンはいくら残るか
3大疾病保障は年齢制限がさらに厳しい
がん、急性心筋梗塞、脳卒中などを保障する3大疾病付き団信は、一般団信より加入年齢が低く設定されることがあります。
フラット35の新3大疾病付機構団信は、加入時年齢などに条件があり、3大疾病・介護保障部分は満75歳まで、その後は新機構団信の保障内容になります。フラット35「新3大疾病付機構団信」
「がん団信付き」という名称だけでなく、診断だけで支払われるのか、所定の状態が必要なのか、何歳で保障内容が変わるのかを確認します。
フラット35は団信なしでも検討できる
フラット35では、健康上の理由などで団信へ加入しない場合でも、融資を利用できる可能性があります。
ただし、団信なしで借りられることと、安全に借りられることは別です。
契約者が亡くなっても住宅ローンは消えません。相続人は、次のいずれかを選ぶことになります。
- 預貯金や生命保険で完済する
- 配偶者や相続人が返済を続ける
- 家を売却して返済する
- 相続放棄を検討する
配偶者の年金だけで返済できないなら、借入額を減らす必要があります。
夫婦で借りる場合は「誰の残債が消えるか」を確認
ペアローンでは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組み、それぞれ団信へ加入する形が一般的です。
夫が亡くなった場合、夫のローンは団信で完済されても、妻自身のローンは残ります。
連帯債務型でも、どちらが団信加入者なのかによって結果が変わります。夫婦のどちらかに万一があったとき、全額が完済される連生型の商品もありますが、利用条件や費用が異なります。
契約前に、次の2つの残高を数字で提示してもらいます。
- 夫が先に亡くなった場合の残債
- 妻が先に亡くなった場合の残債
リ・バース60は死亡後に元金返済が必要
リ・バース60は、毎月の支払いを利息だけに抑え、契約者が亡くなった後に元金を返済する仕組みです。
一般的な団信付き住宅ローンのように、「亡くなれば自動的に残債がなくなる」とは限りません。
相続人が元金を一括返済するか、担保となった土地・建物を売却して返済します。
団信の有無、配偶者が住み続けられる条件、ノンリコース型かリコース型かを金融機関へ確認してください。住宅金融支援機構「リ・バース60」
団信へ入れない場合の選択肢
一般団信へ加入できない場合は、次の順序で比較します。
- 別の引受保険会社を使う金融機関
- ワイド団信
- 団信任意のフラット35
- 既存の生命保険で残債を補えるか
- 自己資金を増やして借入額を減らす
- 建物を小さくして総額を下げる
ただし、退職金や預貯金を使い切って借入額を減らす方法も危険です。医療、介護、車、修繕に必要な現金を残したうえで判断します。
デザインハウス甲府の考え方
シニアの住宅ローンでは、金利の低さより先に団信を確認します。
住宅会社との設計を進め、契約直前に団信へ入れないことが分かると、資金計画全体が崩れるからです。
私たちは、建替え予算を決める前に次の内容を確認します。
- 一般団信へ加入できるか
- ワイド団信の上乗せ金利
- 団信の保障終了年齢
- 夫婦それぞれが亡くなった場合の残債
- 団信なしでも配偶者が生活できるか
- 90歳・95歳時点で手元資金が残るか
団信へ入れないことが問題なのではありません。
団信へ入れないのに、契約者の死亡後も返済できない金額を借りることが問題です。最悪の場合でも配偶者が家と生活資金を守れる借入額へ抑えるべきです。










