スイッチ・LAN・テレビ配線は何カ所まで標準?
A. 住宅業界共通の「標準数」はありません。スイッチ20カ所、LAN1カ所、テレビ2カ所までという会社もあれば、図面上必要な数をすべて含む会社もあります。契約前に数量表がなければ、配線打合せ後に10万~30万円増える可能性があります。
「電気配線工事一式」と見積書に書いてあっても、好きな場所へ無制限に設置できるわけではありません。
特にLANとテレビ配線は、住宅会社によって標準数の差が大きい項目です。
一般的な標準数は存在しない
30坪・3LDK程度の住宅でも、標準数は会社ごとに異なります。
| 項目 | 少ない会社の例 | 比較的多い会社の例 |
|---|---|---|
| 照明スイッチ | 18~22カ所 | 25~35カ所 |
| LAN配線 | 0~1カ所 | 3~5カ所 |
| テレビ端子 | 1~2カ所 | 3~5カ所 |
| 屋外コンセント | 1カ所 | 2~3カ所 |
| 3路スイッチ | 別料金 | 必要箇所を含む |
| 人感センサースイッチ | すべて別料金 | 玄関など一部標準 |
これは業界統一基準ではなく、あくまで会社ごとの設定例です。
重要なのは、標準数が多いか少ないかではなく、自分たちの生活に必要な数を入れた総額で契約しているかです。
「スイッチ1カ所」の数え方が違う
スイッチの数え方にも注意が必要です。
1枚のプレートにスイッチが3個あった場合、
- プレート1カ所として数える会社
- スイッチ3回路として数える会社
- 基本スイッチ1個+追加2個として数える会社
があります。
また、廊下や階段の照明を2カ所から操作する「3路スイッチ」は、通常の片切スイッチより配線が増えます。
スイッチ25カ所標準
と書かれていても、3路スイッチ、人感センサー、調光スイッチが含まれているとは限りません。
追加した場合の費用目安
| 追加項目 | 1カ所当たりの目安 |
|---|---|
| 通常スイッチ | 3,000~8,000円 |
| 3路・4路スイッチ | 5,000~15,000円 |
| 人感センサースイッチ | 8,000~25,000円 |
| 調光スイッチ | 8,000~20,000円 |
| LAN配線・端子 | 8,000~20,000円 |
| LAN用空配管 | 5,000~15,000円 |
| テレビ端子・同軸配線 | 8,000~18,000円 |
| 屋外コンセント | 8,000~20,000円 |
距離、配管、使用機器、施工方法によって金額は変わります。
配線工事は、完成後に増設すると壁や天井の工事が必要になるため、新築時より高くなります。
30坪の家で約12万円増える例
契約時の標準数と、実際に必要だった数を比較します。
| 項目 | 標準数 | 必要数 | 追加金額例 |
|---|---|---|---|
| スイッチ | 22カ所 | 28カ所 | 3万円 |
| LAN | 1カ所 | 4カ所 | 4万5,000円 |
| テレビ端子 | 2カ所 | 3カ所 | 1万2,000円 |
| LAN用空配管 | なし | 2カ所 | 2万円 |
| 人感センサー | なし | 1カ所 | 1万5,000円 |
| 合計 | 12万2,000円 |
さらに、コンセント、専用回路、照明器具まで変更すると、電気工事全体で20万~30万円増えることがあります。
Wi-FiがあってもLAN配線は必要?
「無線LANがあるから、有線LANはいらない」と考える人もいます。
しかし、次の機器は有線LANの方が安定しやすくなります。
- テレワーク用パソコン
- テレビの動画配信
- ゲーム機
- 録画機器
- 防犯カメラ
- Wi-Fiアクセスポイント
- 太陽光・蓄電池・HEMS
- ネットワーク対応家電
壁、扉、床、断熱材などの影響で、Wi-Fiが家全体へ均一に届くとは限りません。
パナソニックも、宅内LANパネルから各部屋へスター配線する住宅用システムを用意し、最大7カ所のLAN配線例を紹介しています。Panasonic「まとめてねット ギガ」
LANは「ケーブルの種類」まで確認する
「LAN配線あり」だけでは不十分です。
次の内容を確認してください。
- LANケーブルの規格
- LAN端子の規格
- ルーター・ONUの設置場所
- 配線を集める情報ボックス
- 情報ボックス内の電源と換気
- Wi-Fiアクセスポイント用の配線
- 将来交換できる空配管の有無
ケーブルだけカテゴリー6Aでも、端子や施工が対応していなければ、配線全体としてカテゴリー6Aの性能を発揮できない可能性があります。
一般住宅なら、少なくともカテゴリー6を検討し、長期的な通信速度や使用機器を考える場合はカテゴリー6Aも比較します。
おすすめのLAN配置
30坪・3LDKなら、次の場所を検討します。
| 場所 | 使用目的 |
|---|---|
| リビングテレビ周辺 | テレビ・レコーダー・ゲーム機 |
| 書斎・仕事スペース | テレワーク・パソコン |
| 主寝室 | テレビ・パソコン |
| 子ども部屋 | 学習・ゲーム |
| 各階の天井付近 | Wi-Fiアクセスポイント |
| 外部カメラ位置 | PoE防犯カメラ |
すべてにLAN端子を付けなくても、将来配線できるように空配管だけ入れておく方法があります。
完成後に壁を開けるより、新築時に空配管を入れる方が圧倒的に安く済みます。
テレビ端子があってもテレビを見られるとは限らない
テレビ端子とテレビ受信設備は別です。
次の項目が見積書に含まれているか確認してください。
- テレビ端子
- 同軸ケーブル
- 分配器
- ブースター
- 地上波アンテナ
- BS・CSアンテナ
- アンテナ取付工事
- ケーブルテレビ引込み
- 光テレビ用配管
「テレビ配線3カ所標準」でも、アンテナ本体や取付工事が別料金の場合があります。
パナソニックの住宅用LAN設備でも、表示価格にONU、ルーター、テレビ、アンテナ、工事費などは含まれないと明記されています。Panasonic「マルチメディアポートS ギガ」
テレビ端子の数だけでなく、テレビを視聴できる状態まで何が含まれているかを確認してください。
スイッチで後悔しやすい場所
次の場所は、生活動線を想像して決めます。
- 玄関に入った直後
- シューズクロークの入口
- 廊下の両端
- 階段の上下
- 寝室の入口とベッド付近
- 洗面脱衣室の入口
- トイレの内側・外側
- 勝手口
- ウッドデッキや庭
- 駐車場照明
- 外構照明
特に寝室は、入口で照明を消すと暗い中をベッドまで歩くことになります。入口と枕元の両方から操作できるようにすると便利です。
契約前にもらうべき電気数量表
見積書に「電気工事一式」としか書かれていない場合は、次の数量を出してもらいます。
- スイッチの標準数
- 3路・4路スイッチの扱い
- 人感センサーの標準数
- コンセントの標準数
- LAN配線の標準数と規格
- テレビ端子の標準数
- アンテナ・ブースターの有無
- 屋外コンセントの標準数
- 専用回路の標準数
- 追加1カ所当たりの単価
質問は、こうです。
「30坪で電気工事一式ではなく、標準数量と追加単価を一覧でください」
電気配線打合せを契約後だけにする会社は要注意
契約前は最低限のスイッチ、LAN、テレビ端子しか入れず、契約後の電気打合せで追加する会社があります。
施主はすでに契約しているため、他社との比較もできません。
最も安全なのは、
- 契約前に家具・テレビ・ベッド・机の位置を決める
- スイッチ・LAN・テレビ・コンセントを図面へ記入する
- 標準数との差を計算する
- 追加料金を総額へ反映する
- その金額で契約する
という順番です。
「電気配線工事込み」と「生活に必要な配線がすべて込み」は同じではありません。
正直な総額表示とは、「一式」と書くことではなく、何カ所まで含み、1カ所増やすといくらなのかを契約前に見せることです。










