電柱移設・電線の引込み直しは誰の負担?
A. 電柱の所有者・移設理由・設置場所によって変わります。駐車場や建物配置など、施主都合による移設は施主負担になる可能性が高く、電力会社や通信会社の設備更新、公共工事による移設なら、所有者側が負担する場合があります。
電柱が自分の敷地内にあっても、自分で移動・撤去はできません。
東京電力パワーグリッド、NTT東日本、ケーブルテレビ会社など、電柱と電線の所有者へ申請し、現地調査と設計を受ける必要があります。
最初に電柱の所有者を確認する
電柱には、所有者を示す番号札やプレートが付いています。
- 東京電力パワーグリッド
- NTT東日本
- 自治体
- ケーブルテレビ会社
- 複数事業者による共架
「東電の電柱」に見えても、NTTが所有し、東京電力が電線を共架している場合があります。
所有者がNTTならNTTへ、東京電力設備の移設も必要なら東京電力へ、別々に申請する可能性があります。
東京電力パワーグリッドも、電柱移設の申込み前に所有者を確認するよう案内しています。東京電力パワーグリッド「電柱移設などのお申込み」
施主負担になりやすいケース
次の理由で移設する場合は、申請者側の都合と判断される可能性があります。
- 駐車場の入口に電柱がある
- 建物配置に干渉する
- 玄関正面で外観を損なう
- カーポートを設置できない
- 大型車を出入りさせたい
- 土地を分筆・造成する
- 電線を地中化したい
- 引込位置を施主希望で変更する
「家を建てるのに邪魔だから」という理由でも、電柱所有者の責任ではないため、施主負担になる場合があります。
電力会社・通信会社側の負担になる可能性
次の場合は、設備所有者や事業主体が負担する可能性があります。
- 電柱が老朽化している
- 設備更新として建て替える
- 道路拡幅など公共工事で移設する
- 電力会社側の供給設備変更
- 所有者側から移設を依頼された
- 安全上の問題が設備側にある
ただし、最終的な費用負担は現地調査後に決まります。
敷地内から敷地内への移設だから必ず無料、公道上なら必ず有料、という単純なルールではありません。
売主負担になるケース
土地売買契約で、
「引き渡しまでに売主負担で電柱を移設する」
と定めていれば、売主負担になります。
ただし、「移設予定」「移設可能」と口頭で説明されただけでは不十分です。
売買契約書へ、次の内容を記載します。
- 対象となる電柱番号
- 移設前と移設後の位置
- 費用負担者
- 申請者
- 完了期限
- 移設できなかった場合の扱い
- 売買契約を解除できる条件
土地購入後に申請した結果、
「希望位置へは移設できません」
となる可能性もあります。
移設できない場合もある
希望すれば、必ず移動できるわけではありません。
- 移設先に十分なスペースがない
- 隣地所有者の同意が得られない
- 電線の高さや角度を確保できない
- 変圧器や支線の設置場所がない
- 道路管理者の許可が下りない
- 他の電柱との間隔が合わない
- 通信線やケーブルが多数共架されている
- 移設により近隣への電力供給へ影響する
電柱本体を数m動かすだけでも、周辺の電柱・電線・支線・変圧器まで変更する場合があります。
費用はいくらかかる?
電柱移設費は、現地調査と設計を行わなければ確定しません。
費用に含まれる可能性があるのは、
- 既存電柱の撤去
- 新しい電柱の設置
- 電線の張替え
- 支線・変圧器の移設
- NTT通信線の移設
- ケーブルテレビ線の移設
- 道路使用・占用
- 掘削・舗装復旧
- 交通誘導員
- 宅地内の電気配線工事
などです。
電柱1本だけの単純な移設なら数十万円で済む場合もありますが、複数の事業者や変圧器、道路工事が関係すれば、100万円を超える可能性があります。
例えば、次のような費用構成です。
| 移設関係費 | 金額例 |
|---|---|
| 電力柱・電力線関係 | 30万円 |
| NTT・通信線関係 | 20万円 |
| 宅地内の電気工事 | 15万円 |
| 道路・舗装・交通対策 | 25万円 |
| 合計 | 90万円 |
あくまで一例であり、電力会社や通信会社の正式見積もりが必要です。
電柱移設と引込線変更は別工事
電柱を動かさなくても、新築建物への電線の引込み位置を変更する場合があります。
費用は大きく分けて次の2つです。
電力会社側の設備
- 電柱
- 電線
- 変圧器
- 電柱から建物付近までの引込線
施主側の設備
- 引込金具
- 電力量計周辺
- 分電盤までの配線
- 宅地内の引込柱
- 地中配管
- 建物側の電気工事
通常の供給方法から外れる場合や、施主希望で引込柱・地中配線を設ける場合は、施主負担が増える可能性があります。
建て替えでは撤去と再引込みが必要
建て替えでは、既存住宅の解体前に電気・電話・通信線を撤去し、新築時に改めて引き込みます。
必要になる手続きは、
- 既存電気の停止
- 引込線・メーターの撤去
- 電話・通信線の撤去
- 解体
- 新築建物への電気申請
- 新しい引込線の設置
- 電話・インターネットの再引込み
です。
東京電力パワーグリッドは、一般住宅の引込線撤去について、希望日の少なくとも1週間前までの申込みを求め、場合によっては準備に6カ月以上かかる事例もあると案内しています。東京電力パワーグリッド「建物解体に伴う引込線等撤去」
工期直前では間に合わない可能性があります。
電線の防護管も有料になる
新築工事でクレーン・足場・ポンプ車が電線へ近づく場合、安全対策として電線へ防護管を取り付けることがあります。
東京電力パワーグリッドでは、建設工事に伴う防護管の設置費用を、施工上の安全義務を負う事業者が負担する扱いとしています。東京電力パワーグリッド「防護管取付のお手続き」
この費用が、
- 住宅会社の仮設工事費に含まれる
- 電気工事費に含まれる
- 別途請求される
- 実費精算になる
のか確認してください。
土地購入前に行うこと
電柱が駐車場や建築計画へ影響する場合は、土地購入前に次の確認を行います。
- 電柱番号と所有者を確認
- 希望する移設位置を図面化
- 電力・通信会社へ事前相談
- 移設可能か回答を得る
- 概算費用を確認
- 必要な隣地同意を確認
- 工期を確認
- 売主との費用負担を契約書へ記載
「住宅会社から動かせると言われた」だけでは確定ではありません。
設備所有者の現地調査と回答が必要です。
住宅会社への確認方法
次のように依頼してください。
「電柱番号と所有者を調査し、電柱移設・電力線・NTT線・引込線・防護管・宅地内電気工事を分けて、費用と工期を確認してください」
見積書には、次のように分けてもらいます。
| 項目 | 費用負担・状況 |
|---|---|
| 電柱本体の移設 | 所有者の正式回答 |
| 電力線・変圧器 | 移設内容と負担者 |
| NTT・通信線 | 別申請・別見積もり |
| 建物への引込線 | 標準・追加工事 |
| 引込柱・地中配線 | 施主側工事 |
| 防護管 | 仮設費に含むか |
| 道路・交通対策 | 含む・別途 |
| 移設完了時期 | 着工への影響 |
電柱は、土地を買ってから「少し横へ動かせばよい」設備ではありません。
所有者・移設可否・費用・工期を確認し、正式回答が出る前に建物と駐車場の配置を確定しないことが重要です。










