ショールームの見積金額と、実際の追加金額が違うのはなぜ?
A. ショールームの見積書は、基本的にメーカー希望価格で作られた「商品仕様書」だからです。実際の追加金額は、住宅会社の仕入価格・標準品の控除額・取付工事費・諸経費によって決まります。
例えば、ショールームでキッチンを変更し、
標準プラン100万円
変更後プラン130万円
差額30万円
と表示されても、住宅会社から請求される追加料金が30万円になるとは限りません。
20万円になる場合もあれば、40万円、50万円になる場合もあります。
ショールーム見積は請求書ではない
ショールームの主な役割は、設備の仕様を決めることです。
- 商品シリーズ
- 扉カラー
- 水栓
- 食器洗い乾燥機
- レンジフード
- 浴槽
- 壁パネル
- トイレ
- 洗面化粧台
選んだ商品の品番とメーカー希望価格をまとめたものが、ショールームの見積書です。
クリナップも、ショールームで作成するキッチンプランにはキッチン本体の定価が記載され、現場搬入費や取付・設置費は含まれていないと説明しています。クリナップ「リフォームQ&A」
つまり、ショールーム見積は、
「この商品を、この組合せで選びました」
という仕様確認書に近く、施主が実際に支払う最終金額ではありません。
実際の追加金額を決める4つの数字
実際の追加料金は、次の計算で決まります。
変更後商品の販売価格-標準商品の控除額+追加工事費+諸経費・消費税
重要なのは、ショールームに表示された定価差ではなく、住宅会社が設定している販売価格と控除額です。
1.住宅会社の仕入価格
住宅会社は通常、メーカー希望価格のまま設備を仕入れているわけではありません。
メーカー、商社、年間取引量、採用シリーズによって仕入条件が異なります。
同じ定価100万円の商品でも、住宅会社によって仕入価格は変わります。そのため、同じ設備を選んでも追加料金が同じになるとは限りません。
2.標準品の控除額
標準キッチンを取りやめても、メーカー希望価格の100万円がそのまま差し引かれるわけではありません。
住宅会社が標準品を特別価格で仕入れている場合、控除されるのは実際に予算計上していた金額です。
例えば、
- 標準キッチンのメーカー定価:100万円
- 住宅会社が標準予算として計上:45万円
- 変更後キッチンの販売価格:80万円
なら、追加料金は定価差ではなく、
80万円-45万円=35万円
です。
「100万円の商品を外したのだから、100万円引かれる」とは限りません。
3.商品の割引率が同じではない
標準設備は、住宅会社が大量採用することを前提に、特別な仕入条件が設定されている場合があります。
しかし、選択したオプションには同じ割引率が適用されないことがあります。
- 標準食洗機は割引率が高い
- 海外製食洗機は割引率が低い
- 標準水栓は特別価格
- タッチレス水栓は通常価格
- 標準扉カラーはセット価格
- 上位カラーは追加部材扱い
この違いによって、メーカー定価では10万円の差でも、実際の追加料金が15万円になることがあります。
4.取付・配管・電気工事が増える
商品代以外にも、変更によって次の工事が発生します。
- 給排水管の変更
- 電気専用回路の追加
- コンセントの移動
- 換気ダクトの変更
- 下地補強
- キャビネットの組立費
- 搬入費
- クレーンや人員の追加
- 壁・床・天井の変更
TOTOも、見積金額の比較では、設備のグレードだけでなく「どこまでの工事が含まれているか」を確認することが重要だと案内しています。TOTO「リフォーム工事の見積書の見方」
定価差30万円が、追加41万円になる例
| 項目 | 標準仕様 | 変更後 |
|---|---|---|
| メーカー定価 | 100万円 | 130万円 |
| 住宅会社の販売価格 | 45万円 | 80万円 |
| 商品の実質差額 | 35万円 | |
| 配管・電気・取付工事 | 4万円 | |
| 小計 | 39万円 | |
| 消費税の調整 | 2万円 | |
| 実際の追加金額 | 41万円 |
ショールームでは定価差30万円でも、実際の追加請求は41万円です。
反対に、変更後の商品にも大きな仕入値引きが適用されれば、定価差30万円に対して実際の追加が20万円程度になる場合もあります。
だから、ショールームの金額だけを見て予算判断してはいけません。
「定価から60%引き」にも注意
一見すると、割引率が大きい住宅会社ほど得に見えます。
しかし重要なのは、割引率ではなく最終的に支払う金額です。
| 住宅会社 | メーカー定価 | 値引率 | 商品価格 | 取付工事費 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| A社 | 100万円 | 60%引き | 40万円 | 20万円 | 60万円 |
| B社 | 100万円 | 50%引き | 50万円 | 5万円 | 55万円 |
A社の方が値引率は大きいのに、支払総額はB社より5万円高くなります。
「定価から何%引きか」ではなく、「標準から最終的にいくら増えるのか」で判断してください。
ショールームで金額を決めてはいけない
ショールームの担当者は、商品説明とプラン作成の専門家です。しかし、住宅会社との工事請負契約や仕入条件までは決められません。
ショールームで、
「この変更なら差額は20万円くらいですね」
と言われても、それが住宅会社からの正式な追加見積もりとは限りません。
最終的には必ず住宅会社から、
- 商品差額
- 標準品の控除額
- 取付費
- 配管・電気工事費
- 搬入費
- 諸経費
- 消費税
を含めた追加見積書を受け取ってください。
「標準品を外した金額」が不明な会社は危険
追加見積書に、
キッチングレードアップ 一式 450,000円
としか書かれていなければ、金額の根拠が分かりません。
最低でも次のように確認します。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 標準品 | メーカー・商品名・品番 |
| 標準計上額 | いくら控除されるのか |
| 変更後商品 | メーカー・商品名・品番 |
| 商品差額 | 標準からいくら増えるか |
| 工事差額 | 配管・電気・下地など |
| 諸経費 | 商品差額に何%かかるか |
| 税表示 | 税込か税別か |
| 発注期限 | いつからキャンセル料が出るか |
有効な質問は、これです。
「ショールームの定価差ではなく、工事費と税込みで、私が実際に払う追加金額を出してください」
見積書の品番とプラン番号を確認する
ショールーム見積には、作成日やプラン番号が記載されます。
打合せを重ねると、
- 1回目:標準プラン
- 2回目:食洗機変更
- 3回目:扉カラー変更
- 4回目:カップボード追加
というように、複数の見積書が存在します。
古いプランを住宅会社が発注すると、選んだ仕様と違う商品が届く可能性があります。
契約前には、
「この追加見積書は、ショールーム見積の何月何日・何番のプランに対応していますか?」
と確認してください。
契約前に設備を決めるのが最も安全
契約後にショールームへ行くと、展示された上位設備に気持ちが動きます。
キッチンで40万円、浴室で20万円、洗面台で10万円と増え、最終的に100万円を超えることもあります。
最も安全な順番は次のとおりです。
- 契約前にショールームへ行く
- 実際に採用する設備を決める
- 住宅会社から正式な差額を出してもらう
- 工事費・税込みの総額を確認する
- その金額で工事請負契約を結ぶ
ショールームの見積金額が違うこと自体は、不正ではありません。
問題なのは、その違いを説明せず、契約後に「追加になります」と伝えることです。
ショールーム見積は商品の値札。住宅会社の見積書は、家に取り付けて使える状態までの金額です。
正直な住宅会社は、この2つの違いと最終的な追加金額を、発注前に書面で説明します。










