シニアの建て替えに伴う「不動産取得税」の計算方法と軽減措置は?
結論
シニアが自分の土地で住宅を建て替えた場合、不動産取得税の対象になるのは、原則として新しく取得した「建物」です。
すでに所有している土地には、建て替えただけで改めて不動産取得税がかかるわけではありません。
新築住宅の税額は、原則として次の式で計算します。
(新築建物の評価額-1,200万円)×3%
認定長期優良住宅の場合は、一定の要件を満たせば控除額が1,300万円になります。
重要なのは、建築会社へ支払った請負金額ではなく、県が固定資産評価基準に基づいて決める「建物の評価額」で計算することです。
※以下は2026年8月29日時点の山梨県の制度に基づく一般的な説明です。実際の課税額や必要書類は、山梨県総合県税事務所へ確認してください。
不動産取得税とは?
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに、都道府県へ一度だけ納める税金です。
不動産を売買した場合だけでなく、新築、増築、贈与などによって取得した場合も対象になります。登記をしていなくても課税対象になることがあります。
毎年課税される固定資産税とは別の税金です。
山梨県は、不動産取得税の対象について、売買、交換、贈与、新築、増改築などによって土地や家屋を取得した人と説明しています。山梨県「不動産取得税」
建築費に3%を掛けるわけではない
よくある間違いが、2,000万円で家を建てた場合に、
2,000万円×3%=60万円
の不動産取得税がかかると思うことです。
不動産取得税は、建築請負金額や住宅会社の販売価格ではなく、県が固定資産評価基準に基づいて算出する建物の評価額を使います。
建築費には、住宅会社の利益、現場管理費、設計費、申請費などが含まれます。一方、税務上の評価は、屋根、外壁、基礎、内装、住宅設備などを基準に計算します。
そのため、契約金額だけでは正確な不動産取得税を計算できません。
一般的な新築住宅の計算方法
一定の要件を満たす一般的な新築住宅では、建物の評価額から1,200万円が控除されます。
計算式は次のとおりです。
(建物評価額-1,200万円)×3%
評価額が1,100万円の場合
1,100万円-1,200万円=マイナスになるため、課税標準額は0円です。
したがって、建物の不動産取得税も原則0円になります。
評価額が1,400万円の場合
(1,400万円-1,200万円)×3%
=200万円×3%
=6万円
不動産取得税は6万円です。
建築総額が2,000万円を超えていても、評価額と控除額によっては、不動産取得税が0円または数万円程度になることがあります。
認定長期優良住宅の計算方法
認定長期優良住宅は、適用要件を満たせば、一般住宅の1,200万円ではなく1,300万円が控除されます。
計算式は次のとおりです。
(建物評価額-1,300万円)×3%
建物評価額が1,400万円の場合は、
(1,400万円-1,300万円)×3%
=100万円×3%
=3万円
となります。
一般住宅なら6万円、認定長期優良住宅なら3万円です。この例での差額は3万円です。
長期優良住宅の節税効果は最大でも原則3万円
一般住宅と長期優良住宅の控除額の差は100万円です。
税率3%で計算すると、
100万円×3%=3万円
となります。
つまり、不動産取得税だけを見れば、認定長期優良住宅にすることによる節税効果は最大でも原則3万円です。
認定取得費や申請費がこれを上回る可能性があります。長期優良住宅には税制や融資など別のメリットもありますが、不動産取得税を安くする目的だけで認定を取る経済的メリットは大きくありません。
さらに認定後は、維持保全計画に沿った点検、修繕、記録保存が前提です。本当に将来再販するのか、長期間メンテナンス計画を実行できるのかまで考えて判断する必要があります。
軽減を受けられる住宅の主な条件
新築住宅の特例控除を受けるには、住宅の床面積などの要件を満たす必要があります。
一般的なシニア向け平屋であれば対象になることが多いものの、次のような建物は注意が必要です。
- 極端に小さい住宅
- 店舗や事務所を併設した住宅
- 大きな車庫や物置がある住宅
- 二世帯住宅
- 賃貸部分を含む住宅
床面積の判定では、住宅本体以外の附属建物が影響する場合があります。住宅部分と非住宅部分がある場合も、税額計算が複雑になります。
認定長期優良住宅の1,300万円控除を利用する場合は、認定通知書の写しなどの提出が必要です。山梨県「不動産取得税Q&A」で最新の要件を確認してください。
既存の土地には原則かからない
以前から本人が所有している土地に家を建て替える場合、土地を新たに取得していないため、建て替えを理由とする土地の不動産取得税は原則として発生しません。
ただし、建て替えに合わせて次のような手続きを行う場合は注意が必要です。
- 親名義の土地を子へ贈与する
- 兄弟共有の土地の持分を取得する
- 隣接地を購入する
- 配偶者から土地の持分を譲り受ける
- 土地の名義を整理するため持分を移転する
この場合は、移転した土地や持分に不動産取得税がかかる可能性があります。さらに、贈与税や登録免許税も関係します。
なお、相続によって土地や建物を取得した場合、不動産取得税は原則非課税です。ただし、相続後に他の相続人から持分を買い取る場合などは扱いが異なる可能性があります。
建物の名義と建築資金にも注意
不動産取得税だけでなく、建築資金を誰が負担し、完成した建物を誰の名義にするかも重要です。
例えば、父親が建築費を全額支払い、建物を子ども名義にすると、父親から子どもへの贈与と判断される可能性があります。
夫婦で資金を出す場合も、実際の負担割合と建物の持分割合が大きく違えば、贈与税の問題が生じます。
建て替え前に確認する項目は次の4点です。
- 土地の現在の名義
- 建築費を負担する人
- 新築建物の名義と持分
- 将来相続する人
名義は登記直前に決めるのではなく、建築契約前に司法書士や税理士へ相談した方が安全です。
申告はいつまでに行う?
山梨県では、土地や家屋を取得した人は、原則として取得日から60日以内に申告することとされています。
ただし、取得日から60日以内に登記を申請した場合は、原則として取得申告が不要とされています。
一方、認定長期優良住宅の控除や特殊な軽減措置では、追加書類の提出が必要になる場合があります。
「登記をしたから、すべての軽減が自動的に適用される」とは限りません。建物完成後に、山梨県総合県税事務所へ次の点を確認しましょう。
- 不動産取得申告書の提出が必要か
- 住宅の特例控除が適用されているか
- 長期優良住宅の認定書類が必要か
- 納税通知書がいつ届く予定か
山梨県の申告期限と窓口は、山梨県「不動産取得税」に掲載されています。
不動産取得税と固定資産税を混同しない
不動産取得税は、取得時に原則1回だけ課税されます。
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して毎年課税されます。新築住宅には固定資産税の軽減措置がありますが、不動産取得税の1,200万円控除とは別制度です。
建て替え後の税負担を考える際は、次の税金や費用を分けて確認します。
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 登録免許税
- 建物表題登記・所有権保存登記費用
- 住宅ローンを利用する場合の抵当権設定費用
不動産取得税が0円でも、登記費用や翌年度以降の固定資産税は発生します。
デザインハウス甲府の考え方
建築会社の見積書に不動産取得税が記載されていないからといって、必ず0円になるわけではありません。
建築時点では建物評価額が確定していないため、正確な税額を見積りへ入れられないことがあります。その場合でも、資金計画には税金と登記費用の予備費を確保しておく必要があります。
デザインハウス甲府では、建物本体だけでなく、解体、仮住まい、2回の引越し、登記、保険、税金まで含めて建て替え総額を確認することが重要だと考えています。
不動産取得税は、建築金額に3%を掛ける税金ではありません。評価額から住宅控除を差し引いて計算する税金です。
また、不動産取得税が3万円安くなるという理由だけで長期優良住宅を取得する必要はありません。認定費用、税制全体、将来の再販性、維持保全計画を実行できるかまで含めて判断することが大切です。










