Q. なぜ紹介手数料は定額ではなく、建築金額に連動する?
A. 建築金額に一定割合を掛ければ、高額な契約ほど相談会社の収益が増え、住宅価格の上昇にも自動的に対応できるからです。住宅会社側にも、契約できなければ大きな費用が発生しないメリットがあります。しかし、相談業務の量ではなく契約金額で報酬が決まるため、相談者の予算を下げることと相談会社の利益が一致しない可能性があります。
住宅会社を一社紹介するという業務は、住宅価格によって大きく変わるのでしょうか。
2,500万円の住宅会社を紹介するときも、5,000万円の住宅会社を紹介するときも、相談会社が行う基本業務は大きく変わらない場合があります。
- 相談者から希望を聞く
- 予算を整理する
- 住宅会社の特徴を説明する
- 面談日程を調整する
- 商談後の感想を確認する
- 断りを代行する
それでも、定額ではなく建築金額の一定割合で費用を計算すれば、住宅価格が2倍になると相談会社の収益も2倍になります。
なぜ、このような料金体系が使われるのでしょうか。
定額方式と割合方式の違い
紹介や成約に関連する費用には、主に二つの計算方法があります。
定額方式
住宅契約一件につき、あらかじめ決めた金額を支払います。
例えば、
一件契約するごとに100万円
という方式です。
建築金額が2,500万円でも5,000万円でも、相談会社の収益は100万円です。
割合方式
建築金額へ一定の料率を掛けます。
例えば、
建築金額の5%
という方式です。
| 建築金額 | 5%相当額 |
|---|---|
| 2,000万円 | 100万円 |
| 2,500万円 | 125万円 |
| 3,000万円 | 150万円 |
| 4,000万円 | 200万円 |
| 5,000万円 | 250万円 |
| 6,000万円 | 300万円 |
建築金額が上がるほど、相談会社の収益も増えます。
理由1.契約によって住宅会社が得る売上に連動できる
割合方式を採用する理由の一つは、住宅会社が得る売上に応じて費用を決められることです。
相談会社から見れば、
「2,000万円の契約と5,000万円の契約では、住宅会社が得る売上が違う」
という考え方です。
高額な契約ほど住宅会社の売上が大きいため、相談会社が受け取る金額も大きくする仕組みです。
不動産仲介、保険、販売代理などでも、取引金額に連動する料金体系があります。
しかし、売上が大きいから住宅会社の利益も同じ割合で大きいとは限りません。
高性能設備、特殊な建材、難しい造成工事などが含まれれば、契約金額が高くても原価が高く、利益が少ない場合があります。
建築金額だけでは、住宅会社が実際に得る利益は分からないのです。
理由2.住宅価格が上がれば報酬も自動的に増える
定額方式では、住宅価格が上昇しても、料金を改定しなければ相談会社の収益は変わりません。
一方、割合方式なら、料率を変えなくても住宅価格の上昇に応じて収益が増えます。
例えば、料率5%のまま建築金額が3,000万円から4,000万円へ上がると、報酬は150万円から200万円になります。
| 時期 | 建築金額 | 5%相当額 |
|---|---|---|
| 価格上昇前 | 3,000万円 | 150万円 |
| 価格上昇後 | 4,000万円 | 200万円 |
| 増加額 | 1,000万円 | 50万円 |
相談会社の紹介業務が変わらなくても、建材や人件費の上昇によって住宅価格が高くなれば、相談会社の収益も自動的に増えます。
ここ数年のように建築費が上昇する局面では、割合方式の収益も増えやすくなります。
理由3.契約できたときだけ大きな費用を払える
住宅会社にとって割合方式のメリットは、契約前に大きな費用を支払わなくて済むことです。
通常の広告では、問い合わせや契約がなくても掲載料や広告配信費を支払います。
成約連動型なら、紹介された相談者が契約しなければ、大きな成約費用は発生しません。
契約によって売上が確定した後、その一部を支払います。
住宅会社から見れば、
売上が確定していない段階で広告費を失うリスクを減らせる。
というメリットがあります。
その代わり、一件契約したときの支払額は高くなる可能性があります。
理由4.料金を簡単に計算できる
割合方式は、計算方法が単純です。
建築金額×料率
これだけで金額を算出できます。
住宅会社の規模、地域、工法、相談回数などを細かく計算する必要がありません。
例えば5%なら、
- 2,500万円×5%=125万円
- 3,500万円×5%=175万円
- 5,000万円×5%=250万円
となります。
しかし、計算が簡単であることと、相談者にとって公平であることは別です。
相談業務の内容や難易度ではなく、住宅の契約金額だけで報酬が決まるからです。
理由5.高額商品の紹介価値を高く評価している
割合方式には、契約単価が高いほど紹介の価値も高いという考え方があります。
住宅会社が自社で3,000万円の契約を獲得するためには、広告、展示場、営業担当者、設計提案などに多額の費用がかかります。
相談会社が契約可能性の高いお客様を紹介すれば、住宅会社は自社の集客負担を減らせます。
そのため、住宅会社が契約金額の一定割合を顧客獲得費として支払うことには、事業上の合理性があります。
ただし、本当に契約可能性の高いお客様を紹介していることが前提です。
住宅ローンの可能性、総予算、建築時期、家族の合意などが整理されていなければ、住宅会社が高額な費用を支払う価値は下がります。
相談会社の仕事量は本当に2倍になるのか
建築金額2,500万円と5,000万円では、5%相当額が125万円から250万円へ増えます。
しかし、相談会社の仕事量が必ず2倍になるとは限りません。
| 業務 | 2,500万円の住宅 | 5,000万円の住宅 |
|---|---|---|
| 初回相談 | 必要 | 必要 |
| 予算整理 | 必要 | 必要 |
| 住宅会社紹介 | 必要 | 必要 |
| 面談調整 | 必要 | 必要 |
| 商談確認 | 必要 | 必要 |
| 断りの代行 | 必要 | 必要 |
| 5%相当額 | 125万円 | 250万円 |
相談会社の業務量より、住宅会社の売上額を基準に料金を決める仕組みだと分かります。
この仕組み自体が直ちに不当ということではありません。
しかし、相談者が「自分の相談に250万円分の業務が必要だった」と受け取ると、実態とは違う可能性があります。
予算を下げると相談会社の収益も下がる
建築金額連動方式では、相談者の予算を下げると、相談会社の収益も下がります。
料率5%として、建築予算を4,000万円から3,000万円へ見直した場合を考えます。
| 内容 | 見直し前 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 建築金額 | 4,000万円 | 3,000万円 |
| 5%相当額 | 200万円 | 150万円 |
| 差額 | 50万円減少 |
相談者にとっては、借入れを1,000万円減らせます。
しかし、相談会社の収益は50万円減ります。
つまり、
- 相談者の利益:予算を下げ、返済負担を減らす
- 相談会社の利益:契約金額が高いほど収益が増える
という方向の違いが生まれる可能性があります。
誠実な担当者なら、報酬が減っても相談者に無理のない予算を勧めるでしょう。
しかし、仕組みとして利益の方向が一致していないことは、利用者も知っておくべきです。
高額な住宅会社ほど紹介収益が増える
同じ料率なら、価格帯の高い住宅会社と契約するほど相談会社の収益が増えます。
| 紹介先 | 建築金額 | 5%相当額 |
|---|---|---|
| A社 | 2,500万円 | 125万円 |
| B社 | 3,500万円 | 175万円 |
| C社 | 5,000万円 | 250万円 |
A社とC社では、収益に125万円の差があります。
この構造があるからといって、必ずC社を優先して紹介するとは限りません。
しかし、中立を掲げるなら、少なくとも次の説明が必要です。
- 住宅会社ごとの料率は同じか
- 契約金額によって担当者の評価が変わらないか
- 低価格の住宅会社も公平に紹介するか
- 予算を下げる提案もするか
- 報酬条件を紹介判断から分離しているか
オプション追加でも報酬が増える可能性
建築金額連動の契約では、何を計算対象へ含めるかも重要です。
次の費用まで対象になる場合、契約後の追加工事によって支払額も増える可能性があります。
- 住宅設備のグレードアップ
- 太陽光発電
- 空調設備
- 照明・カーテン
- 外構工事
- 地盤改良
- 追加変更工事
- 造作家具
例えば、契約後に500万円の追加工事が発生し、その金額も5%の対象なら、相談会社へ支払う費用は25万円増えます。
相談会社が追加工事の内容へ関与していなくても、契約金額の増加によって報酬が増える可能性があります。
当社が過去に提示された条件
当社が過去に提携した一部の住宅相談サービスでは、紹介されたお客様が契約した場合、建築金額の4%ないし5%相当を広告費等として支払う条件が提示されました。
契約時期、地域、サービス、住宅会社によって条件は異なります。
すべての住宅相談サービスが同じ仕組みであるとは限りません。
住宅会社側から見れば、契約できなければ大きな成約費用が発生しない点はメリットです。
一方、契約すれば一件当たり100万~250万円を超える費用になる可能性があります。
この金額を住宅会社がどのように負担するのかは、消費者にとっても無関係ではありません。
定額方式のほうが中立なのか
定額方式なら、契約金額が上がっても相談会社の報酬は増えません。
そのため、建築予算との利益相反は割合方式より小さくなります。
しかし、定額方式にも問題はあります。
- 契約を成立させなければ収益が出ない
- 成約しやすい会社が優先される可能性
- 定額料金が高額な場合がある
- 掲載料と成約費用の両方が発生する場合がある
料金が定額だから、必ず中立とは限りません。
重要なのは、報酬の計算方法と紹介基準を公開していることです。
利益相反を減らす料金体系
相談者との利益相反を減らす方法として、次のような料金体系が考えられます。
- 契約金額に関係しない定額制
- 報酬へ上限額を設定する
- 住宅会社ごとの料率を統一する
- 相談者が定額相談料を支払う
- 成約報酬を受け取らない
- 収益源を関連事業で確保する
- 紹介担当者の評価を契約金額と切り離す
- 報酬条件を相談者へ事前開示する
どの方法にもメリットとデメリットがあります。
重要なのは、「無料」「中立」という言葉だけでなく、利益の方向がどこへ向いているかを確認することです。
利用前に確認する質問
無料住宅相談を利用する前に、次の質問をしてください。
- 成約費用は定額ですか、建築金額連動ですか
- 割合方式を採用している理由は何ですか
- 料率は何%ですか
- 住宅会社ごとに料率は同じですか
- 報酬に上限額はありますか
- 追加工事も計算対象ですか
- 予算を下げると相談会社の報酬も下がりますか
- 高額な住宅会社ほど報酬は増えますか
- 担当者の評価は契約金額に連動しますか
- 報酬と紹介判断を分離する仕組みはありますか
「業界では一般的な条件です」
という回答だけでは、相談者にとって公平かどうかは分かりません。
最終結論
紹介に関連する費用を建築金額へ連動させる理由は、住宅会社の売上に応じて報酬を得られ、住宅価格の上昇にも自動的に対応できるからです。
住宅会社には、契約できなければ大きな費用が発生しないメリットがあります。
相談会社には、高額な契約ほど収益が増えるメリットがあります。
しかし、相談者にとって最善なのは、必ずしも高額な住宅を契約することではありません。
予算を下げる。
借入れを減らす。
今は契約しない。
低価格でも必要な性能を満たす住宅会社を選ぶ。
これらが相談者にとって正しい判断でも、相談会社の収益は減る可能性があります。
無料住宅相談を利用するときは、こう質問してください。
「私の建築予算を下げると、あなたの会社が受け取る金額も下がりますか?」
この質問への答えを聞けば、相談者と相談会社の利益が本当に同じ方向を向いているかが見えてきます。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁










