Q. なぜ住宅会社は総額を最初に教えないのか?
A. 本体価格だけを安く見せた方が集客しやすく、契約後に付帯工事やオプションを追加しやすいからです
住宅会社が最初に総額を教えない理由には、土地、間取り、設備が決まっておらず、正確な金額を計算できないという正当な事情もあります。
しかし、土地や希望条件を確認する前から分かる費用もあります。
建築確認申請費、標準的な付帯工事、照明、カーテン、外構の予算など、生活開始までに必要になる費用を概算で提示することは可能です。
問題なのは、必要になると分かっている費用まで見積りから外し、建物本体価格だけを安く見せることです。
お客様が支払うのは本体価格ではありません。
土地を購入し、家を建て、外構を整え、実際に生活を始めるまでの総額です。
「総額」には3つの考え方がある
住宅会社がいう総額と、お客様が考える総額が違うことがあります。
家づくりでは、少なくとも次の3種類を区別する必要があります。
| 総額の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 建築請負総額 | 建物本体・付帯工事・申請費など |
| 入居までの総額 | 土地・建物・外構・諸費用・家具家電など |
| 生涯の住宅費 | 住宅ローン・光熱費・税金・保険・修繕費など |
「コミコミ価格」と表示されていても、土地、外構、地盤改良、登記などが含まれていない場合があります。
何をもって総額としているのか、項目ごとに確認する必要があります。
本体価格を安く見せた方が問い合わせが増える
住宅広告では、大きく表示された価格が最初の判断材料になります。
同じような家に見えるなら、多くの人は1,980万円より1,580万円の広告に関心を持ちます。
そのため、住宅会社は価格を安く見せるために、次の費用を本体価格から外すことがあります。
- 屋外給排水工事
- 仮設工事
- 建築確認申請費
- 設計費
- 地盤調査・地盤改良
- 照明・カーテン
- エアコン
- 外構工事
- 太陽光発電
- 登記・住宅ローン費用
広告価格が嘘でなくても、その価格だけでは生活を始められない可能性があります。
本体価格は、住宅会社へ来場させるための入口として使われることがあるのです。
最初に高い総額を見せると断られやすい
土地、建物、付帯工事、外構、諸費用を含めた総額を最初に提示すると、お客様は高いと感じるかもしれません。
一方、本体価格だけを見せれば、「これなら建てられる」と思ってもらいやすくなります。
打合せが進み、土地を紹介され、間取りを作成してもらうと、お客様には時間と労力がかかります。
その後で追加費用が分かっても、
「ここまで進めたから」
「別の会社で最初からやり直すのは面倒」
「多少高くても仕方がない」
と考えやすくなります。
最初に安く見せ、断りにくくなってから総額を上げる販売方法には注意が必要です。
土地が決まらなければ正確な総額は出せない
土地によって必要な工事は変わります。
例えば、次の条件は現地を確認しなければ判断できません。
- 水道管の引込み状況
- 下水道または浄化槽
- 道路との高低差
- 擁壁の状態
- 電柱や電線の位置
- 工事車両の進入条件
- 残土処分量
- 地盤改良の必要性
- 解体や造成の有無
- 法令上の制限
そのため、土地が決まっていない段階で、1円単位の正確な総額を出すことは困難です。
これは住宅会社が総額を隠しているとは限りません。
ただし、モデルケースや過去の実例から、概算の予算枠と変動する項目を示すことはできます。
「土地が決まらないと分かりません」で終わらせず、最低・標準・最大の想定額を確認しましょう。
間取りと仕様が決まっていない
注文住宅では、床面積、建物形状、窓、設備、内装などによって金額が変わります。
間取りが決まっていなければ、正確な見積りができないのは当然です。
しかし、最初の資金計画では、すべての商品を決める必要はありません。
希望する広さと一般的な仕様を基に、概算総額を提示できます。
この段階で重要なのは、安く見せることではなく、予算内に収まる可能性があるかを確認することです。
概算でも予算を大きく超えているなら、土地、面積、仕様を早い段階で見直せます。
契約後にオプションを追加する仕組み
契約時の見積りを最低限の仕様にしておき、契約後の打合せでオプションを追加する会社があります。
契約後に増えやすいのは、次の項目です。
- キッチンや浴室のグレードアップ
- コンセントや照明配線
- 収納棚
- 室内物干し
- 窓やシャッター
- カーテンレール
- 外壁や床材
- 造作洗面台
- ニッチや間接照明
- 太陽光・蓄電池
契約前は標準仕様の詳しい内容が分からず、契約後にショールームへ行って初めて不足に気づくケースもあります。
標準仕様書、設備一覧、電気配線数などを契約前に確認してください。
「別途」「一式」「未定」に注意する
見積書に次の表現が多い場合は、総額が確定していない可能性があります。
- 別途
- 一式
- 概算
- 予算取り
- 土地条件による
- 現場確認後
- お客様負担
- 詳細打合せ後
- 見積りに含まない
すべての概算や未定項目が悪いわけではありません。
地盤改良のように、調査しなければ確定できない費用もあります。
重要なのは、なぜ未定なのか、いつ確定するのか、最大でどの程度を想定するのかを確認することです。
未定項目を0円として資金計画を作ってはいけません。
総額に含めたい主な費用
| 分類 | 主な費用 |
|---|---|
| 土地 | 土地代・仲介手数料・測量・造成 |
| 建物 | 本体工事・設備・標準仕様 |
| 付帯工事 | 給排水・仮設・電気・ガス |
| 申請 | 建築確認・設計・各種申請 |
| 地盤 | 地盤調査・地盤改良 |
| 外構 | 駐車場・フェンス・門柱・庭 |
| 入居準備 | 照明・カーテン・エアコン |
| 諸費用 | 登記・ローン・保険・印紙 |
| その他 | 家具家電・引越し・仮住まい |
| 予備費 | 追加変更や想定外への備え |
住宅会社ごとに、含まれる項目は異なります。
本体価格や坪単価だけを並べても、正しい比較にはなりません。
総額表示でも追加費用は発生する
総額表示だから、絶対に追加費用が発生しないわけではありません。
契約後にお客様が間取りや設備を変更すれば、追加費用が必要になります。
また、地盤改良、埋設物、アスベスト、想定外の造成など、事前に確定できない費用もあります。
信頼できる総額表示とは、「今後、何があっても1円も増えない」という意味ではありません。
契約時点で分かる費用を含め、未確定項目と追加になる条件を明確にすることです。
住宅会社へ聞くべき10の質問
- この金額で住み始められますか
- 見積りに含まれていない項目は何ですか
- 付帯工事には何が含まれていますか
- 建築確認申請費と設計費は含まれていますか
- 地盤改良費はいくら見込んでいますか
- 外構工事はいくら予算を取っていますか
- 照明・カーテン・エアコンは含まれていますか
- 標準仕様とオプションの違いは何ですか
- 契約後に金額が変わる条件は何ですか
- すべてを含めた資金計画書をもらえますか
回答は口頭だけでなく、見積書や資金計画書へ記載してもらいましょう。
総額を比較する正しい方法
複数の住宅会社を比較するときは、条件をそろえる必要があります。
- 同じ延べ床面積
- 同じ間取り
- 同程度の住宅設備
- 同じ断熱等級
- 同じ耐震等級と計算方法
- 気密測定の有無
- 太陽光発電の容量
- 付帯工事の範囲
- 建築確認申請費
- 保証内容
- 外構予算
- 消費税込みの最終金額
A社は付帯工事込み、B社は本体価格だけなら、価格差があって当然です。
安い会社を探すのではなく、同じ条件で最終的にいくら払うのかを比較してください。
山梨県では土地条件で総額が変わる
山梨県では、土地の広さや形状だけでなく、水道、下水、高低差、地盤、擁壁などによって総額が大きく変わります。
甲府市、甲斐市、南アルプス市、中央市、笛吹市でも、同じ建物が同じ総額で建つとは限りません。
敷地が広ければ、屋外給排水管が長くなり、外構面積も増えます。
昔の田んぼや盛土された土地では、地盤改良費が発生する可能性があります。
古い住宅の建て替えでは、解体、アスベスト調査、仮住まい、往復2回の引越しも必要です。
山梨県で総額を確認するなら、住宅会社に土地を見てもらい、建物と土地条件を同時に見積もることが重要です。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、安い本体価格だけを大きく見せるのではなく、最初から総額が分かる提案を大切にしています。
24坪平屋3LDKは、付帯工事、建築確認申請費、消費税込みで2,050万円。30坪二階建て3LDKは、同条件で2,200万円です。
標準仕様は、壁厚約160mmの2×6工法、許容応力度計算による耐震等級3、制震装置evoltz、断熱等級6、UA値0.46以下です。
全棟で気密測定を行い、C値0.7以下を基準としています。熱回収率92%の第一種熱交換換気、8kW以上の太陽光発電、長期優良住宅、完成保証も標準です。
ただし、土地ごとに変わる地盤改良、造成、外構などは、現地確認や調査をしなければ確定できません。
だからこそ、含まれる費用、含まれない費用、後から変わる可能性のある費用を、契約前に分けて説明することが重要だと考えています。
住宅性能を削って価格を安く見せるのではありません。
不要な面積、複雑な形、過剰な装飾を見直し、家族が建てた後も無理なく暮らせる総額へ調整します。
よくある質問
土地がなくても総額は出せますか?
正確な確定額は出せませんが、希望地域、土地予算、建物面積を基に概算総額と変動項目を提示することは可能です。
コミコミ価格なら追加費用はありませんか?
コミコミの範囲は会社ごとに異なります。地盤改良、外構、照明、カーテン、諸費用などが含まれているか確認してください。
地盤改良費は最初から分かりますか?
地盤調査前に確定することはできません。ただし、周辺事例などから予算枠を確保することはできます。
契約後に総額が増えるのは普通ですか?
施主が仕様変更をすれば増える場合があります。しかし、契約前から必要と分かっていた工事が後出しされるのは別の問題です。
総額はいつまでに確認すべきですか?
遅くとも工事請負契約前です。未確定項目、別途費用、追加になる条件まで書面で確認してください。
俺流結論
住宅会社が総額を最初に教えない理由は、一つではありません。
土地や間取りが決まらず、正確に計算できない場合もあります。
しかし、正確に分からないことと、必要な費用を説明しないことは違います。
建築確認申請費が必要なことも、外構や照明、カーテンが必要なことも、住宅会社なら最初から分かっています。
確定できないなら、概算として予算へ入れればよいのです。
一番危険なのは、未定の費用を0円として「予算内です」と説明することです。
お客様は、本体価格を払うために35年、40年、50年の住宅ローンを組むのではありません。
完成した家で暮らすために住宅ローンを組みます。
だから比較すべきなのは、坪単価でも値引き額でもありません。
土地、建物、付帯工事、外構、諸費用を含めて、実際にいくら必要なのかです。
私は、最初から総額を説明できない会社より、分かる費用と分からない費用を正直に分け、最悪の場合まで予算へ入れる会社の方が信頼できると考えています。
関連Q&A
- 総額表示とは何か?
- なぜ住宅会社は本体価格を大きく表示するのか?
- なぜ家づくりは予算オーバーするのか?
- なぜ契約前と契約後で話が変わるのか?
- なぜオプションが増えるのか?
- なぜ外構工事は別になるのか?
- なぜ照明やカーテンが含まれていないのか?
- なぜ坪単価で比較してはいけないのか?










