「標準仕様」でも、選ぶ色や形によって追加料金が出る?
A. 出る場合があります。「標準仕様」とは、メーカーが用意する全色・全デザインを自由に選べるという意味ではありません。住宅会社が指定した品番・サイズ・色・形だけが標準です。
「このキッチンは標準仕様です」
そう説明されると、多くの人はカタログに掲載されている色や形を、すべて追加料金なしで選べると思ってしまいます。
しかし実際には、
標準商品ではあるが、選んだ色は上位価格帯
ということがあります。
「選べる」と「無料で選べる」は違う
メーカーの商品には、同じシリーズでも複数の価格帯があります。
例えばシステムキッチンでは、次のように分類されています。
- グループ1:単色などの基本カラー
- グループ2:木目柄・マットカラー
- グループ3:石目柄・高質感カラー
- グループ4以上:塗装・特殊素材・立体加工
実際にLIXILのキッチン「シエラS」でも、扉カラーが複数のグループに分けられています。LIXIL「シエラS 扉デザイン・カラー」
住宅会社の標準がグループ1までなら、グループ2や3の色を選ぶと追加料金です。
つまり、営業マンの言う、
「25色から選べます」
と、
「25色すべて追加料金なしです」
は、まったく意味が違います。
追加料金が出やすい設備
キッチン
キッチンは、色だけでも価格が変わりやすい設備です。
- 扉の色・表面仕上げ
- 取手の形や色
- ワークトップの色と素材
- シンクの色
- キッチンパネルの柄
- レンジフードの色
- 水栓の形
- カップボードとの色合わせ
木目、石目、艶消し、鏡面、塗装仕上げなどは、上位価格帯になりやすくなります。
取手についても、色だけでなく形状や扉グループによって選択範囲が異なります。LIXILのリシェルでも、扉グループによって選べる取手が違うことが案内されています。LIXIL「リシェル 扉デザイン・カラー」
浴室
浴室では、次の変更で追加料金が出る場合があります。
- アクセントパネルの柄
- 全面を同じ柄にする
- 浴槽の色・形・素材
- 床の色や機能
- カウンターの形
- 水栓・シャワーの色
- ブラック系の部材
- 照明の形
ショールームの展示浴室は、高級感を出すために上位パネルや照明、ブラック部材を組み合わせていることがあります。
展示品と同じ色にしただけでも、標準仕様から10万~30万円以上増える場合があります。
室内ドア
室内ドアは「色だけ選んだつもり」でも、実際には形が変わっていることがあります。
- 木目柄の価格帯
- ガラス入りデザイン
- ハイドア
- 引戸への変更
- ブラックの取手
- 枠の色変更
- 上吊り引戸
- ソフトクローズ機能
特に、標準高さ2mから天井近くまであるハイドアへ変更すると、ドア本体だけでなく枠や下地も変わるため、家全体では数十万円の追加になることがあります。
外壁・屋根
外壁材や屋根材でも、色と柄によって価格が変わることがあります。
- 標準外壁より厚い外壁材
- 深彫りや高耐候タイプ
- 特殊塗装・金属調・石目柄
- 2色・3色の外壁張り分け
- 張り方向の変更
- 見切り材やコーナー部材
- 特注色や受注生産色
外壁の色を2色にしただけなら追加なしの会社もあります。しかし、張り分け位置が複雑になると、材料のロス、見切り材、施工手間が増えます。
問題は色数ではなく、使う材料と施工方法が変わるかどうかです。
窓・サッシ
サッシでは、次のような変更に注意します。
- 外観色と室内色の組合せ
- ブラック・木目調
- 窓枠の色
- ハンドルの色
- 窓の形・開き方
- サイズ変更
- 格子入りガラス
「黒い窓にしたい」と伝えた結果、サッシだけでなく水切り、軒裏、雨樋、換気フードまで黒に変更され、追加料金が広がることもあります。
スイッチ・コンセント
白い標準品から、黒、グレー、マット仕上げ、スクエア型へ変更すると追加になる場合があります。
1カ所では数百円から数千円でも、家全体で30~50カ所変更すれば、数万円から10万円近くになることがあります。
色とデザインだけで50万円増える例
30坪の住宅で、次の変更をした場合を考えます。
| 変更内容 | 追加金額例 |
|---|---|
| キッチン扉を上位カラーへ変更 | 12万円 |
| 浴室パネルを上位柄へ変更 | 8万円 |
| 室内ドアを一部ハイドアへ変更 | 15万円 |
| 外壁を複雑に張り分け | 10万円 |
| スイッチ・コンセントをブラックへ変更 | 6万円 |
| 合計 | 51万円 |
構造や住宅性能を変えていなくても、色と形の選択だけで50万円を超えることがあります。
住宅ローンに含めれば、51万円でも金利2%・35年返済の総支払額は概算約71万円です。
「数万円ずつだから」と選んでいると、最終的には大きな金額になります。
ショールーム展示品は標準仕様とは限らない
住宅設備メーカーのショールームは、商品の魅力が伝わるように、上位仕様を組み合わせて展示している場合があります。
展示品に「標準採用品」と書いてあっても、次の部品まで標準とは限りません。
- 扉カラー
- 水栓
- 食器洗い乾燥機
- レンジフード
- ワークトップ
- 収納
- 照明
- タオル掛け
確認すべきなのはシリーズ名ではなく、品番と仕様の組合せです。
契約前に「標準色一覧」をもらう
口頭で「好きな色を選べます」と聞くだけでは不十分です。
契約前に、次の資料を受け取ってください。
- 標準で選べるメーカーと商品名
- 標準品の品番・サイズ
- 追加料金なしで選べる色
- 追加料金が出る色と差額
- 標準の取手・水栓・パネル・扉形状
- 展示品と標準仕様の違い
- 色変更の最終期限
- 発注後の変更・キャンセル費用
特に有効な質問は、これです。
「このカタログに載っているうち、追加料金なしで選べる色に印を付けてください」
さらに、気に入った色が決まったら、
「この色・形・取手を選んだ状態で、追加金額はいくらですか?」
と、組合せ後の金額を書面でもらいます。
契約後の色決めは予算が膨らみやすい
契約時には白い標準キッチンで見積もり、契約後にショールームで好きな色を選ばせる会社があります。
この順番では、気に入った色を見つけた後に、
「その色はオプションで12万円です」
と言われても、心理的に元へ戻しにくくなります。
キッチンで12万円、浴室で8万円、ドアで15万円と積み重なり、最終的に100万円以上増えることもあります。
理想的なのは、契約前に実際の色・形・設備を決め、その仕様を反映した見積書で契約することです。
「標準仕様が豪華」より確認すべきこと
住宅会社の比較では、標準仕様の数より、標準範囲の明確さを見るべきです。
- 標準で選べる色を公開している
- オプション金額を契約前に提示する
- 展示品と標準品の違いを説明する
- 色決め後の総額で契約できる
- 変更履歴と差額を残す
ここまで行う会社なら、契約後の追加費用を抑えられます。
標準仕様とは、商品名ではありません。「どの品番を、どの色と形で、いくらまで選べるか」です。
「たくさん選べます」という言葉ではなく、追加料金なしで選べる範囲を数字と品番で確認してください。










