Q. なぜ住宅会社によって保証内容が違うのか?
A. 法律で共通する10年の責任以外は、各社が対象・期間・条件を独自に決めているからです
住宅会社を比較すると、次のような保証が表示されています。
- 初期保証10年
- 初期保証20年
- 初期保証30年
- 最長60年保証
- 永年保証
- 住宅設備10年保証
「60年保証なら安心」
「10年保証の会社は不安」
そう感じるかもしれません。
しかし、保証は年数だけでは判断できません。
最長60年と書かれていても、10年ごとの点検や、住宅会社が指定する有償メンテナンスを受けることが条件になっている場合があります。
反対に保証期間が短く見えても、第三者機関の保険、完成保証、地盤保証、定期点検などが充実している場合もあります。
重要なのは「何年保証されるか」だけではありません。
誰が、何を、どんな条件で、いくらまで保証するのか
ここまで確認する必要があります。
新築住宅には法律で10年間の責任がある
新築住宅では、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」について、事業者が引き渡しから10年間の責任を負います。
主な対象は、次のような部分です。
構造耐力上主要な部分
- 基礎
- 柱
- 梁
- 耐力壁
- 床
- 屋根版
- 土台
雨水の浸入を防止する部分
- 屋根
- 外壁
- 開口部
- 屋根や外壁内部の防水部分
- 雨水を排出する配管の一部
この10年間は、住宅会社が自由に短くできるものではありません。
国土交通省によると、新築住宅を供給する事業者には、10年間の責任を果たすため、保険への加入または保証金の供託による資力確保が義務付けられています。国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険」
したがって「構造と雨漏りを10年保証します」という説明だけなら、その会社だけの特別なサービスではなく、法律上求められている基本部分です。
10年保証ですべて直るわけではない
法律上の10年責任があるからといって、住宅の不具合がすべて無償で直るわけではありません。
主な対象は、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分です。
一般的に次のような不具合は、別の保証基準やメーカー保証で判断されます。
- クロスの隙間
- 床の傷
- 建具の調整
- キッチンの故障
- エコキュートの故障
- トイレの故障
- 照明器具の故障
- エアコンの故障
- 経年劣化
- 使用方法が原因の破損
- 災害による損傷
例えばエコキュートが故障しても、法律上の構造・防水に対する10年責任で修理されるわけではありません。
保証書には、必ず対象部分と対象外部分があります。
「住宅全体を10年間、何でも無償修理する制度」だと誤解してはいけません。
法律の保証と会社独自の保証は違う
住宅の保証は、大きく分けると次のようになります。
| 保証の種類 | 主な対象 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 法律上の10年責任 | 構造・防水 | 保険か供託か |
| 会社独自の長期保証 | 構造・防水など | 延長条件・有償工事 |
| 住宅設備保証 | キッチン・給湯器など | 対象機器・上限額 |
| 地盤保証 | 地盤沈下など | 期間・限度額・免責 |
| シロアリ保証 | シロアリ被害 | 点検・再施工条件 |
| 防水保証 | 屋根・外壁など | 部位ごとの期間 |
| メーカー保証 | 設備・建材 | メーカーの保証条件 |
| 完成保証 | 工事中の会社倒産 | 保証限度額・対象費用 |
同じ「30年保証」でも、対象が構造だけなのか、防水まで含むのか、設備も含むのかで価値は大きく違います。
保証年数を横に並べるだけでは、本当の比較にはなりません。
「初期保証」と「最長保証」は違う
保証を見るときに、特に注意したいのが次の言葉です。
- 初期保証30年
- 最長60年保証
初期保証30年なら、一定の条件のもとで引き渡しから30年間保証される仕組みと考えられます。
一方、最長60年保証は、最初から無条件で60年間保証されるとは限りません。
例えば、
- 5年ごとの定期点検
- 10年目の有償点検
- 指定された防水工事
- 指定された外壁塗装
- シロアリ再施工
- 住宅会社以外による工事の禁止
- メンテナンス履歴の保存
などが延長条件になっている場合があります。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターも、10年を超える独自保証では、有償点検や補修が延長条件になる場合があると説明しています。住まいるダイヤル「20年保証を受ける条件」
「最長60年」という大きな数字より、その保証を60年間維持するために必要な費用と条件を確認してください。
長期保証に必要な有償工事を確認する
長期保証の延長条件として、住宅会社指定の有償メンテナンスが必要になることがあります。
例えば、
- 外壁塗装
- シーリング交換
- 屋根防水
- バルコニー防水
- シロアリ処理
- 給排水管の点検
- 防水部材の交換
などです。
必要なメンテナンスを行うこと自体は悪いことではありません。
住宅を長持ちさせるためには、点検や補修が必要です。
問題は、契約時に費用が分からないことです。
長期保証を比較するときは、次の質問をしてください。
- 何年目に点検が必要ですか
- 点検は無料ですか、有料ですか
- どの工事をすると保証が延長されますか
- 工事費はいくらくらいですか
- 他社へ工事を依頼しても保証は続きますか
- 指定工事をしない場合、どの保証が終了しますか
60年保証を維持するために、住宅会社指定の工事を繰り返す必要があるなら、その費用も住宅の維持費です。
保証料が無料に見えても、延長条件となる工事費の中に費用が含まれている可能性があります。
延長保証は誰が行うのか
長期保証には、主に次のような仕組みがあります。
- 住宅会社が独自に保証する
- 保証会社が保証する
- 保険法人の延長保証保険を利用する
- 点検と有償補修によって保証を更新する
住宅会社独自の保証では、その会社が存続していることが重要です。
建築した会社が廃業・倒産した場合、会社独自の保証を受けられなくなる可能性があります。
一方、第三者の保険法人による延長保証保険では、保険契約の内容に従って対応されます。
国土交通省が案内する延長保証保険も、新築時の10年間が経過した後、検査や必要なメンテナンス工事を行うことを加入条件としています。国土交通省「延長保証保険」
確認するべきなのは「保証があります」という言葉ではありません。
- 保証主体の会社名
- 保険法人の名称
- 保険証券の有無
- 保証限度額
- 免責金額
- 会社が倒産した場合の扱い
まで書面で確認してください。
住宅設備保証は構造保証とは別
キッチン、浴室、トイレ、エコキュートなどには、通常メーカー保証があります。
ただし、メーカー保証の期間は設備や部品によって異なります。
住宅会社によっては、メーカー保証終了後も修理費を補償する住宅設備延長保証を付けています。
確認したいのは、次の項目です。
- 保証対象となる設備
- 保証期間
- 修理回数
- 1回当たりの限度額
- 保証期間中の累計限度額
- 出張費や部品代
- 経年劣化の扱い
- 消耗品が対象になるか
- 修理不能時の交換条件
- メーカーが撤退した場合の扱い
「設備10年保証」と書かれていても、すべての設備を新品へ交換してくれるとは限りません。
修理費の上限が決まっていたり、購入金額を上限としていたりする場合があります。
地盤保証も内容が同じではない
地盤保証は、地盤の不同沈下などによって建物へ損害が発生した場合に備えるものです。
住宅会社によって、次の内容が違います。
- 保証期間
- 保証限度額
- 対象となる沈下
- 修復工事の範囲
- 調査費用
- 仮住まい費用
- 免責事項
- 保証会社
「地盤20年保証」という年数だけでは不十分です。
沈下した地盤だけを直すのか、傾いた建物の修復まで対象なのか、仮住まい費用まで出るのかを確認してください。
完成保証は建築後の保証とは違う
完成保証は、住宅会社が工事中に倒産した場合に備える制度です。
これは、完成後の雨漏りや設備故障を保証する制度ではありません。
住宅会社が倒産すると、
- 支払済みのお金が戻らない
- 工事が止まる
- 別の会社を探さなければならない
- 引き継ぎ工事で費用が増える
- 完成時期が遅れる
可能性があります。
完成保証では、保証制度の範囲内で代替会社の紹介や増加費用などに備えます。
ただし、完成保証にも限度額や免責があります。
「瑕疵保険へ加入しているから倒産しても完成する」という説明は正しくありません。
瑕疵保険と完成保証は、対象となる時期も事故も違います。
デザインハウス甲府では、工事中の万一に備え、全棟へ完成保証を付けています。
保証対象外になりやすいケース
保証書には免責事項があります。
例えば、次のような場合です。
- 地震、台風、洪水などの自然災害
- 所有者の使用方法が原因の故障
- 必要な点検を受けていない
- 指定された補修を行っていない
- 他社による増改築
- 設備の消耗品
- 経年劣化
- 結露やカビの原因が生活方法と判断された
- 保証申請の期限を過ぎた
- 建物を譲渡した
- 保証書を紛失した
自然災害による損害は、住宅保証ではなく火災保険や地震保険の対象になることがあります。
保証と保険を混同しないことが大切です。
保証期間が長ければ高性能住宅とは限らない
長期保証は安心材料の一つですが、住宅性能そのものではありません。
60年保証の家だから、
- 耐震等級3
- 許容応力度計算
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- C値0.7以下
- 全棟気密測定
が自動的に備わるわけではありません。
保証は、不具合が発生した後の対応です。
耐震、断熱、気密、防水、換気、施工管理は、不具合を起こしにくくするための品質です。
長い保証書を付けることと、最初から正しく施工することは別問題です。
保証期間だけで住宅会社を選ぶのではなく、構造計算、現場検査、気密測定、施工写真なども確認してください。
保証内容を比較するチェック表
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 法定10年部分 | 構造・防水の対象範囲 |
| 資力確保 | 瑕疵保険か供託か |
| 初期保証 | 無条件で何年間か |
| 最長保証 | 延長できる最長年数 |
| 延長条件 | 点検・指定工事・費用 |
| 保証主体 | 住宅会社か第三者か |
| 保証限度額 | 事故ごと・累計の上限 |
| 免責 | 自己負担額・対象外事項 |
| 設備保証 | 対象機器・修理上限 |
| 地盤保証 | 期間・限度額・修復範囲 |
| シロアリ保証 | 再施工の条件 |
| 完成保証 | 工事中の倒産への備え |
| 定期点検 | 時期・回数・有料無料 |
| 会社倒産時 | 保証が継続するか |
| 売却時 | 次の所有者へ承継できるか |
この表を住宅会社ごとに埋めれば、「10年」「30年」「60年」という数字だけでは見えなかった違いが分かります。
契約前にもらうべき書類
保証については、口頭説明だけで判断しないでください。
契約前に次の書類を確認します。
- 保証書の見本
- 保証基準
- 免責事項
- 定期点検スケジュール
- 延長保証の条件
- 指定メンテナンス工事の内容
- 瑕疵保険法人の名称
- 地盤保証書の見本
- 設備保証の対象一覧
- 完成保証の内容
- 会社倒産時の取扱い
「詳しい内容は引き渡し時に説明します」と言われたら注意してください。
保証内容は、住宅会社を選ぶための重要な判断材料です。
契約後ではなく、契約前に確認するべきです。
俺流結論
住宅会社によって保証内容が違うのは、法律で共通する10年部分以外を、各社が独自に設計しているからです。
最長60年という言葉だけで、安心だと判断してはいけません。
確認するべきなのは、
- 最初から何年間保証されるのか
- 何が保証されるのか
- 誰が保証するのか
- いくらまで保証されるのか
- 延長に有償工事が必要か
- 会社が倒産しても保証が残るか
です。
私は、保証の長さだけでなく、不具合を起こしにくい施工品質と、困ったときに相談できる会社の姿勢が重要だと考えています。
保証書が長くても、電話がつながらない会社では安心できません。
家づくりは契約や引き渡しで終わるものではありません。
住宅会社の本当の姿勢が分かるのは、家を売るまでではなく、家を売った後です。
保証年数の大きさではなく、保証の中身と、引き渡し後も責任を持って対応する会社かどうかを確認してください。
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