Q. なぜ住宅展示場の家は豪華なのか?
A. 実際の平均的な家ではなく、お客様の感情を動かして家を売るためにつくられているからです
住宅展示場へ行くと、どの家も大きく、豪華に見えます。
- 大きな吹き抜け
- 広いリビング
- 高級キッチン
- タイル張りの壁
- 造作洗面台
- 間接照明
- ホテルのような寝室
- 大型の玄関収納
「こんな家に住みたい」
そう感じるのは当然です。
住宅展示場のモデルハウスは、お客様に夢や憧れを持ってもらうために設計されています。
生活の現実をそのまま再現する場所ではなく、住宅会社の技術、デザイン、設備を最大限に見せる営業施設です。
展示場を見ること自体は悪くありません。
しかし、モデルハウスの広さ、設備、価格を自分たちが建てる家と混同すると、予算オーバーの原因になります。
1. 一般的な住宅より大きくつくられている
実際に建てる住宅が24~30坪前後でも、住宅展示場のモデルハウスは40坪、50坪、場合によっては60坪を超えることがあります。
広い家は、それだけで豪華に見えます。
例えば同じLDKでも、
- 18畳のLDK
- 25畳のLDK
- 30畳のLDK
- 吹き抜けを含む40畳相当の空間
では、受ける印象がまったく違います。
展示場には、一般的な住宅では採用しにくい広さの玄関、廊下、吹き抜け、客間などもあります。
しかし、床面積が増えれば、次の費用も増えます。
- 建築費
- 固定資産税
- 冷暖房費
- 外壁や屋根の修繕費
- 掃除の負担
- 必要な土地面積
60坪のモデルハウスを見た直後に30坪の間取りを見ると、狭く感じるかもしれません。
しかし、それは30坪が小さいのではなく、比較している相手が大き過ぎるのです。
2. オプションを大量に採用している
モデルハウスには、住宅会社が提案できる設備やデザインを見せるため、さまざまなオプションが採用されています。
例えば、
- 上位グレードのキッチン
- 大型食器洗い乾燥機
- カップボード
- 高級浴室
- タンクレストイレ
- 造作洗面台
- 無垢床
- タイル外壁
- 間接照明
- 造作家具
- 大開口サッシ
- ハイドア
- 勾配天井
- 吹き抜け
- 全館空調
- 中庭
- 大型バルコニー
などです。
展示場で「このキッチンも、この床も標準仕様だ」と思ってはいけません。
標準仕様は別の商品で、モデルハウスと同じ設備にすると数百万円の追加になる可能性があります。
見学するときは、設備ごとに、
- 標準仕様
- オプション
- 参考展示
- 販売対象外
のどれなのかを確認してください。
3. 家具と照明で豪華に見せている
モデルハウスには、インテリアコーディネーターが選んだ家具、照明、カーテン、小物が配置されています。
- 高級ソファ
- 大型ダイニングテーブル
- デザイン照明
- 統一された家具
- 観葉植物
- 絵画
- ホテルのようなベッド
- 生活感を消した収納
これらによって、住宅そのもの以上に豪華な印象を受けます。
しかし、その家具やカーテンは建物価格に含まれていないことがあります。
モデルハウスと同じ雰囲気にしようとすれば、建物完成後に家具、照明、カーテンで数十万円から数百万円必要になる可能性があります。
「モデルハウスと同じ家はいくらですか」と聞くときは、家具やインテリアまで含めた金額なのか確認してください。
4. 生活感がないから広く見える
モデルハウスには、実際の生活で使う物がほとんど置かれていません。
- 洗濯物
- 学校用品
- ランドセル
- おもちゃ
- 郵便物
- ティッシュ
- ごみ箱
- 掃除道具
- 季節家電
- 食品のストック
- 充電コード
これらがなければ、部屋は当然きれいで広く見えます。
モデルハウスの収納も、生活用品で満杯にはなっていません。
見学するときは、きれいな状態を見るだけではなく、自分たちが実際に暮らした場合を想像してください。
- どこに洗濯物を干すのか
- ランドセルはどこへ置くのか
- 掃除機はどこへ入れるのか
- ごみ箱をどこへ置くのか
- 洗面所にタオルや下着が入るか
- 家族全員の靴が玄関収納に入るか
豪華さより、生活用品が収まるかの方が重要です。
5. 「標準仕様の家」ではないことが多い
モデルハウスは、その住宅会社ができる提案をまとめて見せる場所です。
そのため、実際に多くのお客様が建てる標準的な住宅とは異なる場合があります。
例えば、
| 比較項目 | モデルハウス | 実際の計画例 |
|---|---|---|
| 延床面積 | 50坪 | 30坪 |
| LDK | 30畳+吹き抜け | 18~20畳 |
| キッチン | 上位グレード | 標準仕様 |
| 洗面台 | 造作・2ボウル | 既製品 |
| 床 | 無垢・タイル | 標準床材 |
| 窓 | 大型・特注 | 標準サイズ |
| 照明 | 間接照明多数 | 必要箇所中心 |
| 家具 | コーディネート済み | 別途購入 |
| 外構 | 高額な展示用外構 | 予算内で計画 |
見学した家と、見積書に入っている家が違えば、「思っていた家と違う」という結果になります。
住宅展示場では、営業担当者へ次の質問をしてください。
この展示場のうち、私の見積もりに含まれるものへ印を付けてください
標準とオプションを口頭で聞くだけでなく、一覧にしてもらうことをおすすめします。
6. 展示場と同じ家はいくらなのか?
モデルハウスを見学すると、営業担当者から「標準的な家なら2,500万円くらいです」と説明されることがあります。
しかし、知りたいのは標準的な家の価格ではありません。
目の前にあるモデルハウスの価格です。
確認するべきなのは、次の金額です。
- 建物本体価格
- オプション総額
- 設計・申請費
- 付帯工事
- 太陽光発電
- 空調設備
- 照明・カーテン
- 家具・家電
- 外構工事
- 消費税
- 同じ仕様で建てた場合の総額
例えば、標準的な30坪の建物が2,300万円でも、50坪の展示場に吹き抜け、造作家具、高級設備、外構を加えれば、4,000万円、5,000万円以上になる可能性があります。
モデルハウスと同じ家が欲しいなら、その場で建築総額を聞いてください。
明確に答えられない場合は、夢だけを見て契約しないことです。
7. 豪華な展示場の費用は誰が負担するのか?
住宅展示場を運営するには、多くの費用が必要です。
- モデルハウスの建築費
- 展示場への出展料
- 土地や施設の利用料
- 電気・水道・空調費
- 修繕費
- 営業担当者の人件費
- 受付スタッフの人件費
- イベント費
- 広告宣伝費
- 建て替え・改装費
住宅会社が利益を生み出すのは、販売する住宅です。
したがって、展示場や広告などの営業経費も、会社全体の事業費として住宅価格から回収されます。
豪華な展示場には、実物を見られる、設備を比較できる、企業の安心感を得られるという価値があります。
その価値へお金を払う考え方もあります。
ただし、豪華な展示場を持つ会社だから、自分の家の耐震・断熱・気密性能まで高いとは限りません。
展示場の豪華さと、建てる家の基本性能は分けて確認してください。
8. 暖かさや涼しさにも展示条件がある
モデルハウスへ入ると、冬は暖かく、夏は涼しく感じます。
しかし、その体感だけで住宅性能を判断するのは危険です。
確認したいのは、次の条件です。
- エアコンの台数
- 設定温度
- 何時間運転しているか
- 全館空調を使用しているか
- 来場前から運転しているか
- 室温と外気温
- UA値
- C値
- 気密測定の有無
- 換気方式
大きなエアコンを複数台、朝から運転していれば、断熱性能が高くなくても見学時間中は快適にできます。
本当に確認するべきなのは、「暖かく感じた」という印象ではありません。
- 断熱等級
- UA値
- 窓の仕様
- 断熱材の種類と厚さ
- 全棟気密測定
- 実測C値
- 換気方式と熱回収率
です。
住宅性能は、モデルハウスの体感だけでなく、数値と検査結果で判断してください。
9. 展示場では見えない部分が重要
展示場で目に入るのは、キッチン、床、照明、家具、タイルなどです。
しかし、家族の安全や住み心地を決める部分は、完成後には見えません。
- 基礎
- 構造材
- 接合金物
- 耐力壁
- 防水
- 断熱材
- 気密処理
- 配管
- 換気経路
- 構造計算
高級キッチンは将来交換できます。
内装も変更できます。
しかし、構造、断熱、気密、防水を完成後に直すには、大きなお金が必要です。
展示場を見学したら、インテリアだけでなく、構造模型、施工写真、計算書、検査結果も見せてもらってください。
10. 展示場見学で聞く12の質問
住宅展示場では、次の質問をしてください。
- このモデルハウスは何坪ですか
- 同じ家を建てると総額はいくらですか
- 標準仕様とオプションを分けてください
- オプション総額はいくらですか
- 家具・照明・カーテンは含まれますか
- 外構工事はいくらかかっていますか
- 標準的なお客様は何坪の家を建てていますか
- 標準的な建築総額はいくらですか
- 耐震等級3は許容応力度計算ですか
- 断熱等級とUA値はいくつですか
- 気密測定は全棟で行いますか
- このモデルハウスのC値はいくつですか
「これはオプションですか?」と一つずつ聞くより、標準仕様書とオプション一覧を出してもらった方が確実です。
展示場で決めてはいけないこと
初めて展示場へ行った日に、次の行動を急ぐ必要はありません。
- 申込金を支払う
- 建築申込みをする
- 仮契約をする
- 土地の買付けを入れる
- 住宅ローンの借入上限を予算にする
- 今月限定の値引きで契約する
モデルハウスを見た直後は、感情が動いています。
その状態で予算や会社を決めると、豪華な設備を基準にしてしまいます。
一度帰り、自分たちの総予算、必要な床面積、優先順位を確認してください。
展示場は、契約する場所ではなく、比較するための情報を集める場所として使う方が安全です。
現実的な完成見学会も見る
住宅会社を判断するなら、豪華なモデルハウスだけでなく、実際にお客様が建てた住宅も見せてもらってください。
完成見学会では、次の点を確認できます。
- 現実的な床面積
- 実際の天井高さ
- 標準仕様の設備
- 一般的な収納量
- 生活動線
- 実際の建築総額
- エアコンの台数
- 住宅性能
- 施工の仕上がり
30坪の家を検討しているなら、50坪の展示場より、実際に建てられた28~32坪程度の家の方が参考になります。
展示場の豪華さより、自分たちの予算に近い実例を見ることが重要です。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、豪華なモデルハウスへ多額の経費をかけるより、実際に建てる住宅の基本性能と総額を重視しています。
標準的な価格例は、
- 平屋24坪・3LDK:総額2,050万円
- 二階建て30坪・3LDK:総額2,200万円
です。
付帯工事、建築確認申請、消費税などを含め、最初から総額を分かりやすく提示します。
さらに、
- 許容応力度計算による耐震等級3
- 制震装置evoltz
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- 全棟気密測定
- C値0.7以下
- 第一種熱交換換気
- 太陽光発電8kW以上
- 長期優良住宅
- 完成保証
を標準としています。
豪華に見せるための家ではなく、実際に建てた後、暖かく、安全で、無理なく返済できる家を提供することが大切だと考えています。
俺流結論
住宅展示場の家が豪華なのは、平均的なお客様がそのまま建てる家ではなく、住宅を売るための家だからです。
大きな吹き抜け、高級キッチン、タイル、造作家具、間接照明。
それらは魅力的ですが、多くがオプションであり、同じ家を建てれば大幅に予算を超える可能性があります。
住宅展示場は夢を見る場所です。
しかし、家づくりは現実の暮らしをつくることです。
私は、展示場を見て「素敵ですね」で終わらせるのではなく、次の3つを必ず確認してほしいと思っています。
- この家は何坪なのか
- オプションはいくら入っているのか
- 同じ家を建てたら総額はいくらなのか
憧れだけで契約してはいけません。
自分たちの予算で建てられる広さ、標準仕様、住宅性能、最終総額を確認する。
展示場の豪華さではなく、建てた後の暮らしで判断してください。
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